《出來損ないと呼ばれた伯爵令嬢は出來損ないをむ》111

サラ達は迫り來る魔獣を切り捨てながら、やっとの思いで1つの村に到著した。

村にると、サラ達と同じ學園の生徒が滯在していた。どうやら同學年の校外実習の生徒のようだ。

「あなた達、クーリアって生徒を知らないかしら?」

ナターシャが生徒に話しかける。すると、1人が反応を示した。

「クーリア……あ、もしかして天使って呼ばれてる、あの?」

「そうそう」

ナターシャが頷く。

「えっと…確か銀髪、なんですよね?」

生徒の反応からして、どうやらクーリアと呼ばれる生徒が天使と呼ばれていることは知っているようだが、詳しい容姿は曖昧なようだ。

「うん。見た?」

「すいません…見ていないです」

クーリアの青みがかった銀髪はとても目立つので、見逃したとは考えにくいだろう。

「謝らなくていいわ。ありがとうね」

謝を伝え、ナターシャが考え込む。

ここにいないのならば、まず間違いなくクーリアは森の奧へと迷い込んでいるはずだ、と。

「……とりあえず、イルミーナはここに殘ってクーちゃんを待っていて。來たら魔導石版で連絡を」

「りょーかい!」

事態は一刻を爭う。急がなければならない。

「あ、あのっ!」

ナターシャ達が出発しようとすると、1人の子生徒が話しかけてきた。

「一、何が起きているんですか?」

「………」

この質問には流石のナターシャも詰まる。できる限り不安を與えないほうがいいのだろうが、逆に教えないというのもまた不安が募る。

「……魔の氾濫が起こったのよ。でもここにいれば大丈夫。王都は防衛制をとっているわ」

ナターシャは正直に伝える。だが不安を與えぬよう、それと同時にここにいれば大丈夫だと伝える。実際、魔獣は王都を第一目標としているようで、周りの村には數の魔獣が來る程度だろう。ならば、常駐している冒険者のみで対処は可能だ。

(何故王都を目指しているのかは分からないけれど、クーちゃんを助けるのには好都合ね)

恐らく森の奧にいるであろうクーリアに危険はあるだろうが、魔獣が王都を目指しているのなら、逆に森の奧のほうが安全になる。

も來ない訳では無いだろうが、その程度ならばクーリアなら対処可能だ。

「魔の氾濫…何故、今になって」

「それは分からないけれど、想定していなかった訳では無いわ。だから大丈夫。王都が陥落することはないわ」

そう敢えて斷言する。この狀況下で、濁す言葉は逆効果だ。

ナターシャの言葉でし安心したのか、子生徒が他の生徒の集まりへと戻って行った。

「まだいけそう?」

「もちろんです」

ヴィクターが答え、殘り2人は頷いて答える。

「じゃあ行くわよ。油斷したら…分かってるわね?」

ここから先はより一層警戒を強めなければ、文字通り一瞬で命を落とす。さらに、この先に出てくる魔獣は皮が固く、剣が通らない為、魔法しか倒す手段がない。

ちなみにイルミーナを村に待機させたのは、攻撃手段が水と雷しかない為だ。水は攻撃力に欠け、雷は音が大き過ぎる。

走り出したナターシャの後ろを、3人が追いかける。空は既に明けかかっていた。

    人が読んでいる<出來損ないと呼ばれた伯爵令嬢は出來損ないを望む>
      クローズメッセージ
      あなたも好きかも
      以下のインストール済みアプリから「楽しむ小説」にアクセスできます
      サインアップのための5800コイン、毎日580コイン。
      最もホットな小説を時間内に更新してください! プッシュして読むために購読してください! 大規模な図書館からの正確な推薦!
      2 次にタップします【ホーム画面に追加】
      1クリックしてください