《出來損ないと呼ばれた伯爵令嬢は出來損ないをむ》121

もう1人のクーリアのようなは、蔦の柵の外からサラ達をその紅い(・・)瞳で靜かに見つめていた。

『ソれはわたシノ』

そう口にし腕を上げた瞬間、蔦がサラ達のほうへと襲いかかる。

「っ!《ファイヤーボール》!」

いきなりのことに揺しつつも、襲いかかってきた蔦をサラが焼き盡くした。

そのまま柵の蔦も焼こうとしたが、新たに地面から現れた蔦がサラの魔法を薙ぎ払う。

『ムダ。にんゲンはヨワい』

「なら、貴方はどうなのよっ!」

魔法が効かないならと、サラが魔導銃の引き金を引く。しかし、それもまた蔦に叩き落とされた。目には到底見えない速度で飛ぶ魔導弾を、だ。

「なっ!?」

『…ソノ武、キらイ。うばッタ、わたシの…だカラ、ケス。ぜんぶ。邪魔、サセナイ』

その言葉とともにサラ達の足元から蔦が突き出し、完全にを拘束する。

必死で藻掻くが、更にキツく拘束されていく。

さらに地面から現れた蔦は、ナターシャの腕の中で眠るクーリアへとび……

「《リジェクト》」

砕け散った。

『……ふぅン。まダ、生キてた(・・・・)ンだ』

「勝手に殺さないでくれる?」

未だきが取れないナターシャの腕から、クーリアがするりと抜け出す。

「クー…」

「大丈夫だよ、サラ」

クーリアが微笑み、サラ達に絡み付いた蔦にれる。すると、蔦はまるでクーリアの意思に従うようにサラ達から離れ、地面へと消えていった。

「え……?」

「痛いところ、ない?」

「あ、うん…って、それわたしの臺詞だから! クーは大丈夫なの!?」

鬼気迫る表を浮かべ、クーリアに詰め寄る。

「平気だよ、心配掛けてごめんね」

「ホントにそうよ! 全く貴方は……」

クーリアの腕を摑みながら、サラが泣き崩れる。

『……ソレが、ソンなに大ジ?』

「當たり前でしょ! わたしの親友なんだから!」

の言葉に対して、サラが涙目になりながら怒りの聲を上げる。

『……気ニいラナイ。破ヘン(・・・)の癖に』

「破片……? どういうことなの?」

サラがクーリアへと目線を向ける。だが、クーリアはを見つめるだけで何も答えない。

『もうイイ。モう、いらないカラ』

その言葉と共に蔦がクーリア達へと襲いかかる。

……だが、

「戻って」

クーリアがそう呟くだけで、蔦が地面へと戻っていく。その様子を見て、今まで無表だったの顔に僅かな驚愕が浮かんだ。

「驚いた? 破片如きに力を使われて」

『……ワタしをコロすつもリ?』

「さぁ? でも、貴方が止まらないのなら、わたしはそれをするかもね」

『止まルツモりなんテない』

クーリアの言葉に食い気味に答える。……まるで、それだけが生きる理由だとでも言うように。

「そう……なら、戦う(殺し合う)しかないみたいね」

クーリアが、ホルスターから魔導銃を引き抜いた。

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