《【連載版】無能令嬢と呼ばれ婚約破棄された侯爵令嬢。前世は『伝説の大魔』でした。覚醒後、冷遇してきた魔法學園にざまぁして、國を救う。》10
「目覚めた気分はどうだ?
リンジー……いや。
『伝説の大魔』エララ」
彼は私の二つの名を呼んだ。
リンジーの名と、彼が思い出させてくれた、私の前世の名。
私は悠然と答えた。
「いい気分よ。
私って、こんなに強かったのね。
今までいろんな事に萎して生きてきたのがばかみたい。
あんなに弱いずるい人達にビクビクしていたなんてね。
ねえ、私の前世のエララとしての記憶は漠然としているの……。
あなたは一何者?エララの知り合いだったの?」
「いずれ思い出すさ。
リンジー。俺は、お前が不遇な人生を送っているのを見るのが、耐えられなかっただけだ」
私の背後で扉がノックされた。
「リンジーお嬢様。お食事をお持ちしました」
私が振り返ってドアの方を見た一瞬で、男は姿を消していた。
お母様付きのメイドが震える手で食事のお盆を運んできた。
そこには、暖かで豪華な食事が並んでいる。
「私の部屋付きのメイドは?」
「リンジーお嬢様のご希どおり、本日でかかか、解雇となりました!
Advertisement
新人がってくるまでは奧様付きの私が、擔當とさせて頂きました。
相がないように気をつけて勵みます。よろしくお願いしますぅ」
完全に怯えてみ上がっている新擔當のメイド。
私はその様子に苦笑い。
いつもお盆を雑に置くメイドは、私の指示通り解雇になったのね。
まあ、仕事を雑にやるメイドなんてそれでいいのよ。
「そう。これからはよろしくね。ありがとう。じゃあ下がっていいわよ」
「は、はひいい!」
彼は震えつつも靜かな手付きでテーブルにお盆を置くと、深々とお辭儀をして部屋を出ていった。
私はいつも通り、一人で食事を食べ始めた。
暖かなスープは、本當に味しかった。焼いた角牛のステーキも良い焼き加減であつあつ。溫かいパンも添えられている。
両親がいつも摂っている食事と同じ。
通常の侯爵家令嬢の食事だ。
私は、『無能令嬢』と呼ばれている間、一般的な貴族令嬢の生活は奪われていたのだ。
本當の力に目覚め、改めて溫かな食事を噛みしめると、頬に涙が伝った。
私はゆっくりと味しい食事を噛み締めた。
そして、あの謎の男とは、またいつか出會うだろう。
そんな予がしていた――。
◇ ◇ ◇ ◇ ◇
翌日。
私は王宮に出向いた。
そして、謁見の間でレジュッシュ國王陛下と久々の対面を果たした。
王からの用件。
一つ目は、アンドルー王子の非禮への詫びだった。
王は玉座で、額を抑えて俯いて私に詫びの言葉を並べた。
「リンジー・ハリンソン。
わが息子が迷をかけた。これまでの非禮の數々、許してやってほしい」
「別に。気にしておりません。
私とアンドルー殿下は、今は『いいお友達』ですからね」
「それに娘のビクトリアが、兄を侮辱したと決闘を申し込んだそうだな。
言いがかりも甚だしい……それも申し訳なかった。
娘に傷一つつけず、決闘を終わらせてくれたこと、謝するぞ」
「ええ、私にも分別がございますから。
彼は『お姉さま』と私を慕ってくれているようです。
これまではあまり関わりがありませんでしたが、話してみてわかったのですが、ビクトリア様はとても可らしい方ですわ。姉と慕って頂き栄です」
「そ、そうか……。
寛大なリンジーよ。
今日はもう一つ、頼みがある。
現在我が國は、隣國と冷戦関係である事は知っているな」
「はい。
両國の間にある自由國境地帯の件ですね。
魔が跋扈(ばっこ)する<赤荒野の斷崖(レッドクリフ)>をどちらの領土にするか。
押し付け合う形で數十年膠著狀態と聞いております」
「うむ、その通り。
當然、魔が棲み著き、人が暮らせぬ地域を自國領土にはしたくない。
両國が領有を押し付けあっておる。
過去、サンドル國は<赤荒野の斷崖(レッドクリフ)>をこちらに押し付ける替わりに、同じくどちらの國にも屬さない自由國境地帯、平和なサンタ・ヴェレ諸島を寄越せと言い出してな。
當然斷ったのだが、それ以降両國は數十年冷戦狀態だ。
もちろん大きな戦が起きているわけではない。
両國の兵士が<赤荒野の斷崖(レッドクリフ)>を挾む形で向かい合い、魔退治に勵んで居るのが現狀だ。
しかし、その疲労から両國兵同士の険悪さも段々と増してきている。
そんな中、最近になりサンドル國が、新たな和平調停の條件を出してきた。
サンタ・ヴェレ諸島の領有権の主張を取り下げる替わりに、<赤荒野の斷崖(レッドクリフ)>の魔を一掃せよ、それならばあの一帯を引きけ終戦とする、と言い出したのだ。
もちろん、無理と分かっての上での條件渉だ。
広大な<赤荒野の斷崖(レッドクリフ)>には、數え切れないほどの魔が生息し、しかもどれもが中級以上の魔だ。
一掃するなど出來ようはずがない」
「なるほど。
その條件を斷れば、サンドル國に、平和なサンタ・ヴェレ諸島に攻め込んでくる口実を與えてしまう。
戦爭を避けようとサンタ・ヴェレ諸島を譲れば、國境は近づき我が國には脅威となるし、<赤荒野の斷崖(レッドクリフ)>の魔の討伐は全て我がレジュッシュ王國の義務となってしまい、兵は疲弊し民の不満が募る……と。
いずれにせよ、近い將來、両國の衝突は避けられない狀況ですね」
「飲み込みが早いな。リンジー。
魔法が発できない頃から、聡明ではあると思っていたが……。
そなたのことを軽く見すぎていたようだ。
私もまたリンジー・ハリンソンに詫びねばならぬな。本當にすまなかった。
『虛(ゼロ)級』の魔法使いのリンジー・ハリンソン。
お前に頼みだ。
今の狀況で、<赤荒野の斷崖(レッドクリフ)>の問題を解決する手段はないか?
その頭脳と能力を貸してはくれぬか」
「――わかりました。
私がこの問題を解決します。
その代わり、陛下にお願いしたい事がいくつかございます」
私は陛下に近寄る許可をいただき、耳打ちで己の希を伝えた。
「なんと……そんな事でいいのか?」
「はい。
この願いを聞きれてくれると約束して下さい。
そうすれば、私が両國の悩みのタネ、<赤荒野の斷崖(レッドクリフ)>の魔を一掃してみせましょう」
(続く)
もしお気に召しましたら、上からブックマークに追加、
評価↓の☆☆☆☆☆を★★★★★に変えてポチ。
いいね、想、レビューなどを頂けるととても勵みになります。
ここから先かなり短編と変わっていきます。
新キャラも絡んでいきますので、楽しみにしてもらえると嬉しいです。
みんなは天才になりたいですか?僕は普通でいいです
「何? なんか言いたそうな顔してるけど。」 「んー?? そう見えるのはアンタが何か言って欲しいからじゃないのか?」 「…………はあ?」 時にはぶつかる事もある。ちょっぴり甘酸っぱい、全速全力バスケ部ラブコメ!! ※なるべくルールが分からなくても楽しめるように工夫していきます ※バスケシーンが読みたいんだよ! って方は2章から読まれることをお勧めします
8 76我が家の床下で築くハーレム王國
この春から大學生になった柏原翔平。念願の一人暮らしも葉い、明日入學式を迎えるはずだった。だがその日の晩、彼の家の床には大きな穴が開いていて、そこから何故か女の子が現れる。しかし少女は何故か全裸だった。 これは普通の大學生が自分の家の床下で繰り広げるちょっと不思議な物語。 ※2016年10月17日、全編改稿完了及び、新裝版床ハレに際してタイトル変更しました
8 90女であり男でもある私は復讐をしていきます
容姿端麗、文武両道な伯爵令嬢シトラル・サランバールは國の次期権力者達の嫉妬を買い、15歳の時無実の罪で殺されてしまう。 その後、神と名乗る少年に出會い神に選ばれ、加護を貰っている同い年の子に転生(?)する。 転生した子は男の姿にも女の姿にもなれる體質に強力な魅了魔法と光魔法を持って生まれていた。 その力を使い、無実の罪でシトラルを殺した人たちに復讐をしていくことを決意する 今度こそ最愛の人と幸せな人生を!! 初めて書いた作品なのでまだまだ下手なところは沢山あると思いますが、アドバイスやフォローをしていただけるとありがたいです!
8 134乙女ゲームの悪役令嬢になったから、ヒロインと距離を置いて破滅フラグを回避しようと思ったら……なぜか攻略対象が私に夢中なんですけど!?
「イザベラ、お前との婚約を破棄する!」「はい?」悪役令嬢のイザベラは、婚約者のエドワード王子から婚約の破棄を言い渡されてしまった。男爵家令嬢のアリシアとの真実の愛に目覚めたという理由でだ。さらには義弟のフレッド、騎士見習いのカイン、氷魔法士のオスカーまでもがエドワード王子に同調し、イザベラを責める。そして正義感が暴走した彼らにより、イザベラは殺害されてしまった。「……はっ! ここは……」イザベラが次に目覚めたとき、彼女は七歳に若返っていた。そして、この世界が乙女ゲームだということに気づく。予知夢で見た十年後のバッドエンドを回避するため、七歳の彼女は動き出すのであった。
8 91出來損ないと呼ばれた伯爵令嬢は出來損ないを望む
この世界には魔法が存在する。 そして生まれ持つ適性がある屬性しか使えない。 その屬性は主に6つ。 火・水・風・土・雷・そして……無。 クーリアは伯爵令嬢として生まれた。 貴族は生まれながらに魔力、そして屬性の適性が多いとされている。 そんな中で、クーリアは無屬性の適性しかなかった。 無屬性しか扱えない者は『白』と呼ばれる。 その呼び名は貴族にとって屈辱でしかない。 だからクーリアは出來損ないと呼ばれた。 そして彼女はその通りの出來損ない……ではなかった。 これは彼女の本気を引き出したい彼女の周りの人達と、絶対に本気を出したくない彼女との攻防を描いた、そんな物語。 そしてクーリアは、自身に隠された秘密を知る……そんなお話。 ※←このマークがある話は大體一人稱。 1話辺り800〜2000弱ほど。
8 130(本編完結・番外編更新中です) 私のことが嫌いなら、さっさと婚約解消してください。私は、花の種さえもらえれば満足です!
※ 本編完結済み 12月12日番外編を始めました。 本編で書くことができなかった主人公ライラ以外の視點や、本編以降のことなども、書いていく予定にしています。どうぞ、よろしくお願いします。 辺境伯の一人娘ライラは変わった能力がある。人についている邪気が黒い煙みたいに見えること。そして、それを取れること。しかも、花の種に生まれ変わらすことができること、という能力だ。 気軽に助けたせいで能力がばれ、仲良くなった王子様と、私のことが嫌いなのに婚約解消してくれない婚約者にはさまれてますが、私は花の種をもらえれば満足です! ゆるゆるっとした設定ですので、お気軽に楽しんでいただければ、ありがたいです。 11月17日追記 沢山の方に読んでいただき、感動してます。本當にありがとうございます! ブックマークしてくださった方、評価、いいねをくださった方、勵みにさせていただいています! ありがとうございます! そして、誤字報告をしてくださった方、ありがとうございました。修正しました。 12月18日追記 誤字報告をしてくださった方、ありがとうございます! 修正しました。 ※アルファポリス様でも掲載しています。
8 104