《自稱空気の読める令嬢は義兄の溺を全力でけ流す(電子書籍化進行中)》溺なんて聞いてない
読んでくださってありがとうございます。更新おそくてすみません。
「これは……失禮致しました、アンダー公爵令嬢」
ゲラゲラ笑っている公爵令嬢に、見たこともないような慇懃な態度で禮を取る義兄。膝の上には私。
「いやいや、面白いものを見せてもらった。いつも澄ました顔でご令嬢達の熱い視線を無視しているアニストン殿も、義妹の前では素が出るんだな。アニストン伯達が言ってたとおりだ」
「…………は? 父達は、なんと……?」
「夜會で言いふらしているぞ。うちの息子は義理の娘を溺している。の繋がりは無いし、正しい手続きを踏んで養子縁組をしているわけではないので、二人とも人したら婚姻を結ばせたいと思っている。うちには縁談を寄越さないようにと」
初耳だった。私の衝撃も凄かったが、義兄のけた衝撃の方が何倍も大きかったようで、言葉を失くし、ぷるぷると震えている。私がれている部分が、急激に熱を持ってきた。義兄は晩なのか、そういう話にとんと弱いのだ。チラと顔を見ると、真っ赤になっている。
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「お義兄様、大丈夫です! 私が、全力で否定してまわりますので! 溺などというも葉もない噂は、この私が、きっと跡形もなく消し去ってみせますわ!」
自分のを叩いて宣言すると、盛大に噴いた人がいる。公爵令嬢だ。
「溺の噂を跡形もなく消し去る令嬢が、その相手の膝で抱っこされてるとか! ちょ……やめ……お腹痛いいいい!」
「…………その笑いのツボ……」
昔の知り合いに似ている。公爵令嬢を見詰めていると、義兄が頬を両手で挾んできた。
「ガンつけるなよ。アレは猛獣だぞ」
「猛獣」
彼には聞こえないぐらいの聲で、注意された。だが、地獄耳らしい。不機嫌そうに顔を歪め、私達を指差してくる。
「聞こえているぞ、アニストン」
「あら、どちらのアニストンに仰っていますの?」
「はぁ?」
「おい、やめろ、チェルシー!」
「義兄も私も、アニストンですわ。それにしても、公爵令嬢って他人を指差したり下品に笑ったりするものなんですねぇ」
「…………あ?」
「先ほどから失禮ですわ。馬鹿にされている気分です」
売られた喧嘩は買う。空気を読んで。理不盡な事を言う輩は無視するが、目の前の公爵令嬢は、私の記憶が確かならば昔の知り合いである。
「おいおい小娘、本気か? 公爵令嬢に喧嘩売ってんのか? その可い顔に拳を叩きつけてやってもいいんだぞ?」
「あら。既に貴方には毆られた事がありますわよ」
「は?」
「相変わらずね、大將」
「えッ」
「こんなところで會うとは思わなかったわ」
ニコリと笑ってみせた。私を膝の上で抱っこしている義兄は目を丸くしている。
大將は、顎をでながら私の顔を凝視した。眉間に皺を寄せ、首を捻り、口をぱくぱくと開け閉めし。兇悪なまでに目つきを悪くして數分。急に表を明るいものに変えた。
「空気か!!」
「いや、空気って。悪口か」
「違います! 名譽あるニックネームですよ!」
呆れかえったように私を見てくる義兄の頬を指でつついてやる。悪口なわけがないではないか。空気の読める令嬢を、空気と呼んで何が悪い。
「なんだよ空気! あの時急に姿を消したお前を、皆で心配してたんだぞ。手紙くらい寄越せばよかったのに!」
「手紙だと、その場の空気が読めないじゃないですか」
「ブレないだな」
「それより、大將ってだったんですね。私、男かと思ってました」
「まあ、そうだな。男に見えるように暮らしていたからな。だから、公爵家に引き取られた時は、大変だった。マナーやら何やら、言葉なんかもつかえなかったし」
「え、今も使えてないですよ」
「大切な場面では貓を被るから大丈夫だ」
「そういうものですか」
公爵がメイドに手を出して孕ませてしまった子、それが大將だったらしい。正妻はよく出來た人間で、子を授かったメイドに妾の立場を與えようと話したのだが、メイドはそれを固辭して市井に逃れた。夜間の飲食店で働き子を養うのは大変だったようで、過労で倒れた時、優しかった正妻を思いだし連絡をした。公爵からは逃げたいが、子に罪はない。自分が死んでしまっても子供が逞しく生きられるようにしてしい。懇願された正妻は、なにはともあれ公爵に知られぬように教育だ、と、訳ありの子供達を集めた孤児院に大將を放り込んで教育を施した。私が出會った時點で、いったい何の教育を施されたのだろうというじではあったが。
「公爵が亡くなったんで、正妻様が引き取って下さったんだ」
「……はあ」
「後を継いだ腹違いの兄は、優秀だぞ。綺麗なだからってメイドを無理矢理手籠めにした奴のがっているとは思えないほどな」
「へえ」
「おい、聞けよ。ちゃんと話を」
「すみません、話が長くて疲れちゃって。ああ、お茶はまだかしら」
「空気全然読んでねえだろ!」
義兄の膝の上で、クッキーを貪る。めで甘みがないのが好みだ。義兄は私が膝から落ちないように、お腹に腕をまわして支えてくれている。義両親がいうところの溺だろうか。ぷんぷん怒っている大將を見て、義兄の友人の男二人は肩を震わせて笑っていた。気の置けない間柄といっても、ここまで貴族令嬢の仮面を崩してしまった大將を見るのは、初めてなのかもしれない。
「失禮します。旦那様方がお帰りになりました」
モーガンが無表で義兄に告げる。義母も一緒に帰ってきたらしい。明るい聲が、扉の向こうから聞こえてきたのは、その時だった。
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