《(本編完結・番外編更新中です) 私のことが嫌いなら、さっさと婚約解消してください。私は、花の種さえもらえれば満足です!》アル

一回目の投稿です。

黒い煙から生まれ変わった花の種を、私は目立たないよう、裏庭の奧の一角に私専用の庭を作ってもらって植えている。

今日も、その庭で、生まれ変わった種を植えたり、育ってきた花の世話をしていると、アルがきた。

出會ってから、毎日通ってくるので、一人でこんな庭の奧までやってくるほど、すでに、うちに馴染んでいる。

そして、自分の席のように切り株にすわる。

「なあ、ライラ。昨日まで、なかったと思うが、その青い花に黃い水玉がある花はなんだ?」

と、眉間にしわをよせて、聞いてきた。

「よくぞ聞いてくれました! つぼみになって2か月。ようやく、今日、ひらいたんだよ! きれいでしょ?!」

私が、にっこり笑って言うと、

「いや、そんな、いい笑顔で言われてもな…。どう見ても、不気味すぎるだろ? すごい毒がありそうだが、大丈夫なのか?」

と、アルが心配そうに聞いてきた。

「大丈夫だよ! もっと、すごい花もあったけど、今まで、かぶれたことは一度もないもん。それに、もともと、私の手の中で、花の種に生まれ変わったんだよ? 毒はないよ? まあ、さすがに、食べたことはないけどね」

と答えながら、今度、食べてみてもいいかなと考え始める。

「ライラ! 変なことは考えるな! 絶対、食べるなよ?!」

と、アルが真剣な顔で言ってきた。

「…わかってるって! まあ、今は食べないよー」

私がそう言って、ふふんと鼻で笑うと、

「未來永劫、そんな訳の分からないものを食べるな! いいか?!」

と、しつこいくらい、念をおす。

「あのね、アル。正直、最初は怖いし、面倒そうだから、アルには近づかないでおこうと思ったよ? でも、私が間違えてた。アルって心配だよね。執事のジュードみたいだよ?」

「はあ?! そんなこと思ってたのか?! 失禮な奴だな。…まあ、ライラは、そんな特殊な能力を持ってるのに、うかつだし、あぶなっかしいからな。助けてもらった手前、ほっとけないだろ」

「私はしっかりしてるよ? 14歳になったし、大人のレディーだもんね」

私はをはってみせた。

アルは、盛大にため息をついて、

「顔に土をつけたレディーを初めて見たな。ほら、ここついてるぞ」

と、自分の頬のあたりを指差した。

私はあわてて、手でこする。

「あああ、更に汚れがひろがってる! 人の邪気はきれいにするのに、自分のはとれないんだな?」

と、アルは言いながらも、立ちあがって私の前に立った。

そして、ポケットから素敵なハンカチをだして、背の低い私にあわせてかがむと、丁寧に顔をふいてくれた。

「ほら、とれたぞ」

こういうところは、數ない王子様要素だね。

「ありがとう、アル!」

私は、至近距離のアルの目を見て、にっこり笑う。

すると、アルは、あわててをおこし、紫の瞳をそらした。

読みづらいところも多いと思いますが、読んでくださった方、ありがとうございます!

ブックマーク、評価、いいねをくださった方、勵みになります! ありがとうございます!

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