《(本編完結・番外編更新中です) 私のことが嫌いなら、さっさと婚約解消してください。私は、花の種さえもらえれば満足です!》パトリックの記憶 1

パトリック視點です。期からはじまります。

ぼくには、三歳年上のルドルフ兄様がいる。

剣も強く、勉強もできて、おもしろくて、やさしくて、かっこいいルドルフ兄様。

ぼくの自慢の兄様で大好きだ。

7歳になったぼくに、今年から、家庭教師の先生がついた。ルドルフ兄様を教えていた先生だ。

ルドルフ兄様が好きみたいで、見た目は、ルドルフ兄様によく似たぼくを、「そっくりですね」そう言って、微笑んだ。

だけど、勉強がはじまったら、ちょっとがっかりした顔をした。

きっと、ルドルフ兄様と比べたのかも。

だから、ぼくは、聞いてみた。

ルドルフ兄様って、そんなに勉強ができたの?って。

すると、先生は、うれしそうに答えた。

「ええ、本當に優秀でした。それに、努力もおこたりません。習ったことは、次の時までに、しっかり習得されておりました。たまに、理解しづらいところがあると、私を質問ぜめにして…。好奇心が強くて、勉學がお好きな方で。私も教えるのが楽しかったです」

さすが、ルドルフ兄様だ。すごい!

そう思ったのに、ちょっとだけ、の奧のほうが、ちくりとした。

學園でも、同じようなことがあった。

擔任の先生が、ぼくの績表を、ちょっと殘念そうな顔で手渡してきた。

もしかしてと思って、ぼくは、聞いてみた。

ルドルフ兄様を教えられてたんですか?って。

すると、擔任の先生は、うれしそうに答えた。

「ええ、ちょうど、パトリック君と同じ7歳の時のルドルフ君の擔任でした。本當に驚くほど優秀な生徒さんでした。パトリック君も、お兄様を見習って、がんばっていきましょうね」

やっぱり、ルドルフ兄様って、すごいんだ…。

そう思ったら、また、の奧のほうが、ちくりとした。

それから、ぼくを見て、ちょっとがっかりした顔をする大人を見かけることが、多くなっていった。

あ、でも、もしかしたら、ぼくが、今まで気づかなかっただけなのかもしれないけどね。

たとえば、最近、習い始めた剣の先生。ほかには、親戚の人たちとか、それに、1年に1回だけ、家族で會いに行くおじい様も同じような顔をしたっけ…。

でも、お父様もお母様もルドルフ兄様も、僕に対して、そんな顔は絶対にしない。

いつだって、優しくて、ぼくを沢山ほめてくれる。

なのに、ぼくは、最近、ルドルフ兄様を見かけると、ほんのちょっとだけ、ちりりっと痛いものがを走るようになった。

そんなある日、お父様が、郊外で仕事があるから、避暑を兼ねて、みんなで一緒に行こうと言った。

でも、ルドルフ兄様は、秋からの留學準備で忙しいから、行かないそうだ。

今までだったら、「ルドルフ兄様と一緒がいい!」って、わーわー騒いでいたぼくだけれど、なんだか、ちょっぴりほっとした。

だって、旅行に行った先でも、ルドルフ兄様と比べられて、だれかに殘念そうな顔で見られるのは嫌だから…。

パトリック視點、まだ続きます。

読みづらいところも多いと思いますが、読んでくださった方、ありがとうございます!

ブックマーク、評価、いいねをくださった方、勵みになります。ありがとうございます!

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