《いじめられっ子のキャJKは自分を変えるため、ダンジョンに挑む〜底辺弱者は枕とレベルアップで強者へと駆け上がる〜》充実した日々
「さてさて報酬は?」
寶箱を開けて中を確認する。その中にはオークが使っていた鉈がっていた。
私達のような人間が使い易いサイズの鉈である。
「んー魔剣とどっちが強いか分かんないな」
◆
武:オークセイバーの鉈
耐久値:130
スキル:【切り】【木切り】【反撃切斷】
◇
【切り】
を切る時により多くのダメージを相手に與える。が切りやすくなる。
【木切り】
木を切る時に補正が掛かる。木が切りやすくなる。
【反撃切斷】
対象の攻撃に合わせて振るう事により、攻撃力が上昇する。
「程、魔剣の方が強いけど、包丁と魔剣の中間のサイズなんだよなぁ」
重さも良い。大きさも良い。これは使って行きたい。
だけど、このオークを倒したのは私一人では無い。
だから、田中さんに許可を求める。
「うん。良いよ! どうせ使わないし。それに約束したしね。使えるは殘しておくってね。あ、もう一つあるよ」
「これは⋯⋯ピアス?」
◆
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裝飾:オークピアス
耐久値:20
スキル:【斬撃攻撃威力上昇】【嗅覚敏】
◇
容は文字通りと言うべきじ。
流石はボスのドロップアイテムだろう。相手の戦い方に沿った報酬っぽく、近距離寄りだった。
ピアスは著ける気が無いので、売る事に決めた。
「さて、帰りますか」
「うん。と、言いたいけど、歩けるまでちょっと休憩」
「あ、私も良い?」
「どうぞぉ。ヒノ」
ヒノが大きくなって、田中さんも寢転ぶ。
私の服を來た田中さんと顔を合わせる。そう、顔を合わせた。
初めて見た田中さんの顔は普通だった。
「どうしたの?」
「いえ。初めて見たなぁって」
「あ、確かに。全然顔合わせてくれなかったしね。改めて挨拶しとく?」
「今更ですよ⋯⋯」
別に、何もじない。
恐怖をじない。その事に、私はしだけ自信を取り戻した。
「ヒノ、【催眠】」
強制的に眠り、を回復させて行く。
回復が終わったら、ゲートを通って外に出る。
後ろではゲートにヒビがり、弾けて砕ける。
の粒子が地面へと落ちて行く。
その景を田中さんは畫に収める。
スマホを作して、攻略したと連絡をれる。
後はあっちが調査して終わりだろう。
「それでは」
「うん。あ、今度は何時にする?」
「そうですね。じゃあ、明日の午後1時から、いつもの場所で集合しましょう」
「おっけー」
そして、私は帰る場所に帰った。
最近は料理の練習をして、だいぶ作れる様にった。
「あ、源さんいらっしゃい!」
常連の源さんが來たので挨拶をする。
常連相手ならだいぶ會話をする事が出來る。
それだけが私の心を安定させてくれる。
「あぁ、こんばんわ七瀬ちゃん」
私は使い終わったグラスなどの洗いやお客さんとの會話が仕事だ。
「最近冷えるよねぇ」
「ほんとですよねぇ。雪はまだ降ってませんが、降らないと嬉しいです」
「はっはっは。子供は積もる事が嬉しいと思うんだけどね」
「雪は溶けないと飲水に使えませんし、純粋に汚いし、そのまま食べても水なので腹にも溜まらない。しかも足場も悪くする。雪は害悪ですよ害悪」
「変な観點からのセリフだよね」
そんな私の橫に紗波さんが立って、肩に手を置いて來る。
「最近料理が様にってね。特別料金で良ければ作らせるぞ?」
「え、ちょ、何を勝手に」
「お、そりゃあ良いね。頼むよ」
「え、いやいや。ないない。わ、私の料理って、まだまだだし」
「安心しろ、誰も味いとは言ってない!」
紗波さんが親指を上げて言ってくれる。堂々とした自信溢れる顔だぁ。
腹立つわぁ。
なので、作る事にした。
チャーハンである。
「出來上がりです!」
源さんに差し出し、食べて貰う。
スプーンに一口掬い、口に運んで食べる。
その景にドキマギしながら私は見守る。
自分の出せる全力できちんと作った。だけど、人に料理を振る舞うなんて、紗波さん達以外では初めてになる。
それが源さんとると、尚更張する。
「うん。味しいよ」
親指を上げ、らかい笑みを浮かべてくれる。
「ッ!」
「良かったね」
「う、あ。は、はい!」
嬉しかった。純粋に褒めらる事が堪らなく嬉しかった。
今すぐに跳ねて踴り出したい程に嬉しいと思った。
日々疲弊する人生。ヒノが來てからし楽しくなった人生。
そして、ここに來てから私の人生はより明るくった。
この気持ちは誰にも分からない。理解してしくもない。
毒親からの解放、人からの、それだけで、私の心はとても癒された。
「だ、大丈夫かい?」
「え?」
源さんに言われて何かと顔を上がる。
バッと上げた時に空中に水滴が舞う。に反し、奧の源さんを映し出す。
頬にれれば流れる水が指先に著く。
「はは、なんだよ、これ」
客人の前なのに、素の口調を出してしまった。
しかし、それに気づく程の余裕は無かった。
初めてかもしれない。で涙を流すなんて。
ちなみに、その後から大変だった。
お客さんが増え、常連は源さんの食べているに驚き、特別枠として注文がる。
私を変えてくれた常連の人達の願いとあれば考えるよりも先にがく。
必死に食材と調理用に食い付き、同じ手順で、それでいてただの流れ作業にらないように一つ一つ丁寧に真剣にやる。
最初は焦がしてばっかりだった。まともに包丁すら扱えなかった。
だけど、今は違う。ある程度形がある。
社辭令でも、褒めてくれた人が居る。
そが私を勇気付けた。
料理の楽しさを知って、自然と笑顔を作りながら出來たのだ。
閉店後、私は椅子に座って燃え盡きていた。
初めての経験で神的にも的にも疲れた。
ヒノで寢れば回復すると分かっているが、それでも疲れるモノは疲れる。
「ちょ、アンタその痕どうしたの?」
正面から見て気づいたらしく、頬にある切り傷にれて來る。
裕也さんも驚いて、まじまじと見て來る。
「可い顔に傷なんて⋯⋯」
「ありがとうございます。ですが、大丈夫です。消そうと思ったらすぐに消せるんで。ただ、し殘しておこうと思いまして。今の自分の功績ってじで」
「そ、そうかい?」
ヒノの回復は調節出來るようで、本當にありがたかった。
完全に切り傷の痕がある。
私が珍しく、相手の意を汲み取って戦った、自分らしくない決著。
それを示す為に殘してある。
ある種の守りだ。
クソサン共にどんな風に扱われるか分からない。
だけど、今はそんな事関係ない様に思える。
それだけ、そう考えれるだけ、今の自分には余裕がある。
充実した日々とは、この事を言うのだろう。
「お風呂、って來ます!」
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