《した魔法~生まれ変わった魔法が、15年ぶりに仲間と再會する~》7 懐かしい場所
止まらなかった涙が一瞬で引いた。
「ちょっ……」
何故彼がそこに居るのか。緑チェックのシャツを羽織った私服姿。
見てしまった事を後悔する顔だ。
しかし、ゆっくりとそこを離れた修司がそのまま見逃してくれたと思ったのも束の間(つかのま)、あろうことか彼は店にり、芙の所にやってきた。
芙はひりひりと腫れた瞼(まぶた)をもう一度強く(こす)り、後ろに立つ修司へくるりと椅子を回す。
「何してるんだ? 一人で」
「お晝ご飯……です」
初めてわす言葉。恥心(しゅうちしん)に顔を上げる事ができず俯(うつむ)く芙に、修司は「そうか」と辺りを確認する。
「でも、何でもないから気にしないで。大丈夫だから」
「……強がれるなら平気だな」
心がチクリと痛んだ。
同じクラスで寮生、けれど聲の記憶すらないほどに遠い存在だった彼に助けられた。
「ありがとう」
「別に何もしてないし」
しだけ落ち著いて顔を上げると、無想な修司がうっすらと笑っているように見えた。
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「く、熊谷くんは、買いか何か?」
「散歩」
「散歩……なんだ」
一人で町の散歩とは意外だ。
「そういえば、アンタ名前何だっけ?」
學校で何度も繰り返した自己紹介。
彼はずっと外を見ていたから聞いていないとは思ったが、それでよく泣いている芙に気付いたと心してしまう。
「有村芙、です」
もう一度自己紹介。彼を真似て名前だけ言うと、修司は「覚えとくよ」と笑った。
「じゃあ、また寮で。もう泣くなよ?」
そう言って、修司はさっさと店を出て行ってしまった。
あまりクラスのにらず、孤獨でニヒルな男子だと思っていたが、他の男子より落ち著きがあると言ったほうがしっくりくるような気がする。どこか大人びていて、何故か父・和弘を思わせた。
彼の背中が小さくなっていくのを見送って、芙は再びテーブルに向き、冷めたハンバーガーを頬張る。
隣の客がれ替わって、サラリーマン風のスーツ姿の男がコーヒーを飲んでいた。苦味のある香ばしいその香に、芙は記憶の風景を垣間見る。
大魔が力を與えた魔法使いは五人で、芙と類、弘人以外に子が二人居た。その一人・粟津咲(あわづさき)の祖父が経営する喫茶店に、何度か皆で集まった事がある。
あそこが仲間への手掛かりになるかもしれない――そう期待を膨らませるが、思い浮かぶのは店の風景ばかりで場所どころか店の名前すら浮かんでこない。
「どこ……だったかなぁ」
テーブルに頬杖をついて、芙は唸った。
住宅地の中にある、常連客しか來ないような小さな喫茶店だ。コーヒーの匂いが店いっぱいに漂っていて、白髭のマスターがいつも甘いカフェオレを出してくれた。
高校生の町子は、自転車でそこに行っていた。家からし離れていて、暗くなると弘人が「の子一人じゃ危険だから」とやたら心配して家まで送ってくれた。
「どこだったかなぁ」
頭を捻るが、記憶の風景が店から中々抜け出す事ができない――けれど。窓に、小學校の校舎が映った。
「そうだ!」と閃くように蘇る小學校と、その脇の高架線を走る電車の風景。芙は飛びつくようにスマートフォンを握って地図を開くと、駅からの線路を辿った。
町子の家とは反対方向。駅から二キロほど南下した線路脇に小學校を見つける。
まだ時間は二時前。五時過ぎの電車までに駅に戻れば、六時半の夕食に間に合う事ができる。
芙は殘りのハンバーガーと手付かずのポテトを頬張り、し薄くなってしまったコーラを流し込んだ。
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