《した魔法~生まれ変わった魔法が、15年ぶりに仲間と再會する~》24 ニヒルな彼
類に會えたことをいち早く咲に報告したかったが、土日はメグの買いやカラオケに付き合ってなかなか一人の時間が取れず、ようやく電話できたのは日曜の夕食後だった。
本屋で買ってきた分厚い小説を読むのだと、メグが張り切って機にかじりついたところを見計らって、スマートフォン片手に抜け出してきた。
寮の周りは畑や田んぼばかりで死角がなく、芙は修司と話した桜の下へ向かう。
花はまだ咲いていたが、今朝方降った雨のせいで、大分葉が見えてしまっている。地面に落ちた花びらの絨毯を逃れて、フェンス側のコンクリートに腰を下ろした。
渡されたカードの番號を打ち込むと何コールかの後転送がかかり、「はい、粟津です!」とすぐに咲が返事した。
「咲ちゃん! あのね、えっとね」
「ん? あぁ、もしかして芙? どうした?」
類のことを話そうとすると、たちまち興が沸いてうまく言葉にすることができない。
「落ち著いて」
「う、うん――あのね、うちのクラスに類がいたの」
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とりあえず思い付いた結論だけを伝えると、長い沈黙が起きて、その後に「え?」と小さく咲が聞き返してくる。
確かに、あまりにも説明不足だと反省し、芙は、
「だからね、クラスメイトの中に、類の生まれ変わりの男の子がいたんだよ!」
「ええええっ」
今度は間髪れずに、咲の聲が話の向こうに轟いた。あまりのボリュームに芙はスマートフォンを耳から遠ざけ、落ち著いたのを見計らって改めて構える。
「本當かい? 類って、あの類? 桐崎類?」
「そうなの。私もびっくりしちゃって」
「そんな事ってあるんだね。すごい事だよ、それ。そっかぁ、男だったか」
興冷めやらぬ様子で、咲は聲を弾ませる。
「カッコ良くなってたかい?」
「え――そう言われてみれば、あんまり変わらないかもしれない」
「そうなの?」と咲。
顔が違うのは當たり前だが、漂う雰囲気が修司と類は一緒だ。
「うん――友達がね、彼のことをニヒルだ、って言ってたよ」
「それって、ただ無想なだけなんじゃないの? 確かに類だね、それは」
うんうん、と咲は一人納得する。
「でも、良くその子が類だって分かったね。お互い名乗り出たわけじゃあないんだろ?」
芙は、週末の肝試しの話を咲に伝えた。
「丸くて足の生えた魔翔かぁ。見た目が良くないね、それは。私は會ったことないかな。魔翔ってさ、前も言ったけど、魔法使いのレベルに応じて出てくると思うんだよね。だから、もしこの間店で出たやつより大きかったなら、類は私より強いんじゃないかな」
「ええっ?」と思わず飛び出た自分の聲の大きさに、芙は慌てて口に掌を押し付けた。周囲に誰もいないことを確認して、ボリュームを絞って話を続ける。
「でも、力が戻ったのは最近みたいなこと言ってたような」
「そうかぁ。でも、あんなに嫌がってたのに、魔法使いを選んだんだね。新生・類かぁ。會いたいなぁ。今度連れておいでよ」
咲は実に楽しそうだが、芙は類の言葉を思い出して「それがね」と言葉を濁らせた。
「今は會いたくないって言うの。頃を見てから、って」
「確かに気まずいのはあるんだろうけど、弘人も會いたがってたんだろ? 折角運命的な再會をしたんだ、芙が嫌じゃないならってみてよ。それとも、芙が弘人に會い辛い?」
先日は笑顔で別れることができたが、また仲間として會うことに戸いをじてしまう。
「……ちょっとだけ。でも、頑張るよ。私もみんなで集まりたい」
弘人の件は、それでも気の持ちようで何とか乗り切れる気がするが、問題はどうやって修司を連れ出すかだ。咲の店に向かったら、きっと付かれてしまうだろう。
何パターンか頭に思い描くが、どれも修司が怒って逃げ出す結末に辿り著いてしまう。
「難易度が高いよね」
「急がなくて良いよ。類は芙が町子だって分かって、嫌な顔したかい?」
「ううん、そんなことないよ。昔の類と話してるみたいだった」
「アイツは元々優しいし、弘人よりずっと大人だからね。側にいるなら頼ると良いよ」
「あれ、その臺詞――」
つい先日、同じ様な言葉を聞いた。
「この間、肝試しの後に、寮母のミナさんに同じ様なこと言われたなぁ、と」
「あぁ、送った時に會った人さんか」
「そうそう。あの時咲ちゃん、ミナさんを誰かと間違えたんだよね」
「うん。どっかで見た気がしたんだけど。全然思い出せないや。年取るって恐いね」
あははと笑う咲に、芙は「咲ちゃんもまだ若いよ!」と真面目にフォローをれる。
「でも本當、いつ力が戻って魔翔に襲われるかもしれないし、気をつけるんだよ。町子が強かったから立ち向かいたい気持ちもあるんだろうけど、素手で戦う相手じゃないんだからね。ちゃんと助けてもらうか、一人ででも逃げるんだよ」
「分かってるよ。ありがとう、咲ちゃん」
魔翔にいつ襲われるか分からない。今この一人で居る所を襲われたら、無防備に殺られてしまうのだろうか。
闇を見據えて、戦いたいと気が焦る。
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