《した魔法~生まれ変わった魔法が、15年ぶりに仲間と再會する~》32 消燈時間
消燈を告げるラブソングが最後のサビにる直前に芙は寮の裏口にまで來ることができた。
一階は既に照明が消されていて、真っ黒い闇の中に緑の非常燈がっている。
硝子扉の鍵を開けたまま出てきたはずなのに、ノブに手を掛けると固く施錠されていた。
仕方ないとポケットにれてきたスマートフォンを取り出す。ここを突破する方法と言えば、ミナに見つかる前に中から誰かに開けてもらうしかない。
こんな時間にここにくる生徒などいないので、メグに頼るしかなかった。
ミナが一部屋一部屋を回る消燈前の點呼だが、幸運にも芙の部屋は開始から五分後くらいの順番だ。
すぐにメグに來てもらうことができれば、まだまだ余裕。焦ることもなくスマートフォンを起させたとき、硝子の奧に人気をじた。
「ひゃあっ」
れ合った視線に思わず出た聲が大きくなって、芙は慌てて口を塞ぎ、その相手に肩をすくめた。これは待ち構えられていたシチュエーションなのだと斷念して項垂(うなだ)れるが、Tシャツに膝丈のルームウエア姿の修司は「バーカ」とをかしただけで、すんなりと扉を開けてくれた。
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彼の忠告を聞かずに弘人の所へ行ったことも、全部ばれている。
後ろめたさから芙はすぐにることができなかったが、
「早くしないとミナが來るぞ」
ほらと急かされて、反的に中に飛び込んだ。
「あ、ありがと」
「とりあえず、一緒にお前の部屋行くからな」
突拍子もない言葉。子の部屋がある三階は男子タブーだ。細かい規則の中で先輩たちが試行錯誤を繰り返している噂は聞くが、自分がそれをしようなんて思ってもいなかった。
そんな中を気にとめることもなくスタスタと階段を上る修司の背中に、芙は一杯音を殺してぶ。
「駄目だよ。消燈だよ? 部屋にはメグもいるし」
ちょうど消燈のメロディが止んで、修司が足を止める。肩越しに振り返り、
「森田さん、俺の部屋にいるから」
あぁそうなのかと察した後に、メグと祐が一緒にいるシーンがじわじわと頭の中にあるスクリーンに沸いてきて、事の事態に頬を赤らめる。しかし、ふと妄想を遮るように現れた、恐怖に満ちた弘人の表に頭が冷靜になっていく。
修司に話すことと、聞きたいことが次から次へと沸いてくる。
足音を忍ばせながら後を追い、ミナに見つかることなく部屋の中にり込むことができた。照明は點いたままだったが、彼の言った通り中にメグの姿はなく、読みかけの小説はわずかの未読ページを殘して機の上に行儀よく殘されている。
バタリと扉が閉まる音に張が走る。今まで何度か二人きりになったことはあるのに、自分の部屋だというだけで息が詰まりそうになった。
「ね、ねぇ……修司?」
話をせねばと切り出すと、修司はメグの掛布団をバサリとはいで枕を二人分中へ仕込み、小柄なメグが中に潛っているように見えなくもない狀況を作り上げた。そして何の躊躇いもなくクローゼットを開き、中へとって扉を閉めてしまう。
「とりあえず、森田さんは寢てるってことにしといて」
彼の提案は功を奏した。古典的な噓なのに、ミナは疑問を抱く素振りも見せず「あなたもゆっくり休んでね」とだけ告げて次の部屋へと移してしまったのだ。
「こんなに簡単なの?」
拍子抜けしてしまって、芙はぺたりとベッドの上に腰を下ろした。
早々にクローゼットから出てくる修司。
「そりゃ責任あるから、門限は厳しくなるよ。でも中のことは、あからさまなのは注意するけど、それ以外は大目に見てくれるんじゃないのか」
修司は機の椅子を芙の前まで引いてきて座ると、のけ反るように腕を組んだ。
「それで、お前は弘人と門限まで外で何やってんだよ」
やはり気付かれていた。
弘人に気を付けろと言った修司。々話したい事はあるのに、先に「ごめんなさい」という言葉が口から洩れる。
しかし修司は眉をひそめ、
「ごめんじゃないだろ。忠告してやったのに。そうやって一人でほいほいついて行って、町子は死んだんじゃないのか?」
「ホイホイって、ゴキブリみたいに言わないで。それに気を付けろだけじゃわかんないよ」
「もうし警戒心をもった方がいいってことだよ」
「仲間なのに? 弘人は仲間なんだよ? それなのに疑って見ろっていうの?」
「アイツは――いや。アイツにどこまで聞いた?」
覗き込むように首を曲げて、修司は腕を組みかえる。
芙はをきゅっと結んだ。思い出そうとするだけで、息が詰まりそうになる。
「何も聞いてないよ。ただ、薫が來たの。薫には私が杖を手にして魔法を使えるようになったら、敵になるかもしれない、って言われた」
「薫も承知済み――か。やっぱりな」
「一人で納得しないで。みんなそうやって曖昧にしか答えてくれない。全然わかんないよ」
ぴょんとベッドを飛び降りて、芙は修司に詰め寄った。椅子に座った彼の視線を逆に見下ろして訴える。
修司は腕を解いて「説明してやるよ」と頷いた。
「あとね、魔翔が出たのにヤツは弘人を狙わないの。なんで? 弘人も戦おうとしないどころか、怯えてた。薫が一人で倒したんだよ」
興する芙の言葉を遮るように、弘人は「わかった」と立ち上がった。しだけ間を置いて、神妙な面持ちで肩の力を抜く。
「アイツは類と同じことをした――魔翔と取引したんだ」
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