《した魔法~生まれ変わった魔法が、15年ぶりに仲間と再會する~》45 強くなりたい
寮に戻ると既に辺りは暗くなっていたが、まだ食堂の明かりは煌々とついている。
「大魔に説明できる?」
咲は助手席の窓を開けてを乗り出し、外に降りた二人に聲を掛けた。
「あぁ。あとは何かあったらすぐ報告する」
「そうだね、頼んだよ。あの二人も疲れてると思うから、夜中に何かしてくるってことはないと思うけどね。芙も修司も眠れないかもしれないけど、今日は休んだ方がいいよ。私は明日の朝また來るから、一旦帰るね」
何かあったら夜中でも連絡して――と念を押して、咲は暗い夜道を帰って行った。
芙は修司と寮へり、その足で寮母室へ向かう。建に漂う溫かい食事の匂いといつもと変わらないにぎやかな聲に、芙はホッと安堵した。
寮母室に夏樹の姿はなかった。パジャマ姿のミナは二人の顔を見ると、ベッドから起き上がって「お疲れさま」と溫くなった額のタオルを外した。
し疲れた顔をしているが、ミナは思ったより元気そうだ。
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ダムでのことを修司が説明するのを、芙は彼の後ろでじっと聞いていた。
薫と弘人が大魔を倒そうとする意志は変わらないこと。弘人が魔翔に乗っ取られているということ。
ミナは相槌を打ちながら最後まで聞くと「わかりました。ありがとう」と禮を言って、今度は「うーん」と唸った。
「予想通りと言えば予想通り、だけど。どうしましょうか……」
小首を三往復ほど捻らせてから、ミナは視界に飛び込んだ時計が示す時間に眉を上げた。
「とりあえず一晩考えてみるから、二人はきちんと食事をとって。夜はきちんと寢て力を戻しておいてね」
食堂が閉まるまであと十分。一分でも遅れると夕飯を食べ損ねてしまう。山の中にポツリと建つ寮からは、コンビニや商店も遙か彼方の距離にしかないのだ。
けれど夏樹の事が気になって、芙は時計を確認してぺこりと頭を下げた。
「夏樹……佐倉先生が、すみません」
夏樹がミナに付きまとっているようにしか見えず、姉として謝りたかった。けれどミナは「頭なんか下げなくていいのよ」と手を振った。
「佐倉先生も別に悪いことしてるわけじゃないし。でも、町子の弟だもんね。貴が悩んでしまうのも無理ないけど――気にしてないから」
「はい。ありがとうございます」
禮を言いつつも下を向いたままの芙を、ミナは覗き込んだ。
「でも気になる? 私が大魔だから」
「そっ、そんなことは……しだけ」
正直に答えて、芙はミナから目を反らす。
彼は大魔だ。外見は周りに溶け込んでいるが、十六年間彼のが時を刻まないことが表すように、普通の人間とはし違う。
だから二人が関係になるんてありえないと思っていた。
けれど、それは絶対ではないとじる。
「芙になって、ここに戻ってきて――幸せの定義が人それぞれ違うってことを知らされた、って言うか。芙はずっと魔法使いに戻って戦うこと、強い自分になれることが幸せだと思ってきたんです。でも、弘人は戦うことなんて全然んでいなかった。だから、私が誰かの幸せを決めつけることなんてできないって思って」
「んもう、頭の中が飛躍しすぎよ。青春漫畫の読みすぎじゃない?」
思わず頬を紅させるミナを、可いと思ってしまう。
「でも、幸せの定義が人それぞれってのは、正しいと思うわ」
下げていた首をぐいっと上げて、芙は「そうですよね」と目を輝かせた。
「だから夏樹の事、私には遠慮しなくて良いですからね!」
ミナはふふっと聲を出して笑い、「ありがとう」と目を細めた。
「じゃあ、幸せの定義ついでに、一つ聞いてもいいかしら」
ミナは二人を互に見つめ、「ねぇ?」と尋ねる。
「二人はまだ、魔翔と戦いたいと思う? もっと強くなりたいと思う?」
「強く、って。今以上に――ですか?」
芙は修司と顔を見合わせて、確認し合うように頷いた。
「もちろんです。そんなこと、できるんですか?」
「聞いてみただけ。強くなるのは大変なのよ? 貴方たちが魔法使いになったようにね」
悪戯っぽく笑って、ミナは「時間よ」と二人を部屋の外へ送り出した。
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