した魔法~生まれ変わった魔法が、15年ぶりに仲間と再會する~》エピローグ

東北の夏は涼しいと思っていたのに、この街にも暑さはしっかりとやってきた。

「昔もこんなに暑かったっけ? これってきっと、最近流行りの溫暖化のせいだと思うの」

昔を思い返し芙は顔を手でパタパタと仰ぐが、特に効果を得ることはできなかった。

「まぁ、しょうがないんじゃないのか? 夏なんだし」

寮を出るとき、ばったりと修司に會った。

メグが祐の人になってしまい、芙は毎日一人で登校している。

登校とはいえ校舎までのたった數百メートル。芙にとっては大した問題ではないが、メグにとっては貴重なひと時なんだとか。今朝も彼はヘアセットに15分も掛けていた。

弘人と薫が魔法使いを放棄してから數日。五月を過ぎて、制服は待ちに待ったセーラー服へと替えした。

あの日以來二人からの連絡は途絶えたままだ。

ミナはあの日、予告通り高熱を出して三日間も寢込んでしまった。その期間、授業が空くたびに夏樹が足しげく寮母室へ通い、男子たちのブーイングをけていたのは言うまでもない。

ミナは満更でもない様子だが、その真意は誰にもわからなかった。

昇降口を潛って靴を出したところで、先に履き替えて待っていた修司が「そういえば」と切り出した。

「ミナに聞いたけど、町子のおばあさんに會いに行くんだって?」

「そうなの! ミナさんが夏樹に頼んでくれたの」

もしやと思ってミナに相談したら、彼の一聲で夏樹は二つ返事で了承してくれたのだ。のパワーは偉大だと心してしまう。

「良かったな」

「うん。ミナも一緒に、って條件付きだけど。それでも良かった」

両親が亡くなって、町子も夏樹も祖母に育てられた。芙が生まれ変わって、弘人の次に會いたかった人だ。

「ねぇ修司、生きてると葉う夢ってあるんだね」

「年寄り臭いこと言ってんな」

「この世に三十年以上生きてるんだから仕方ないでしょ? それでね。おばあちゃんに會えたら、ただいまって言ってみようかな、って思って」

悪戯っぽく笑って、芙は歩き出した修司の橫にぴったりと並んだ。

「そうだな。今すぐは無理だけど、俺も町子の弟に過去の事を全部話して謝りたいって思うよ」

「修司……」

町子と類の話をいつか夏樹に出來る時が來るだろうか。

「ありがとね」

見上げる視線に、修司はし驚いた顔をしつつ「あぁ」と返事する。

ひゅう、と風が吹いた。

キィキィ、と聲が混じる。

ボンという破裂音と共に現れたのは、二人の長をゆうに超えた、壁のような魔翔だった。

今までの奴等とは比べにならないレベル。

けれど、もう恐いとは思わない。

「行きますか」

橫目に修司を見上げて、芙はポケットから杖を取り出した。

end

    人が読んでいる<戀した魔法少女~生まれ変わった魔法少女が、15年ぶりに仲間と再會する~>
      クローズメッセージ
      つづく...
      あなたも好きかも
      以下のインストール済みアプリから「楽しむ小説」にアクセスできます
      サインアップのための5800コイン、毎日580コイン。
      最もホットな小説を時間内に更新してください! プッシュして読むために購読してください! 大規模な図書館からの正確な推薦!
      2 次にタップします【ホーム画面に追加】
      1クリックしてください