《機甲學園ステラソフィア》東の王者

後半戦。

今日の日程はこれから行われるABブロック4試合、計8試合で終了となる。

前半戦8試合と後半戦8試合で勝ち殘ったチームが明日対戦をし、そこで決勝のカードを決めるのだ。

そして、最盛り上がりとなる決勝戦はその翌日の休日に神都カナンの大スタジアムを使って行われる。

それだけ、この新生歓迎大會は學だけではなくマルクト國民から注目される試合であるのだ。

「後半戦はチーム・ソルフェージュは準備があるんで、あたし、マジェスティックフォーのイリエ・ユカが司會を引き継ぐのだ!」

新たに出てきたイリエ・ユカ司會の元、後半戦が開始された。

試合は進み、第6試合が開始された頃だ。

「……あれ?」

「どうしたんだスズメちゃん?」

恐らく次の試合の參加チームだと思われるチームのメンバーが席を外していく。

そんな中、スズメは1人のの姿にその目を引かれた。

艶やかな黒髪を揺らし、勝気にも、無にも見える不思議な雰囲気の瞳の

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「ヒラサカ、イザナ……?」

「ヒラサカって言うと……ヘブンズフィールドのヒラサカ・イザナか!?」

「そうです……東の四天王ヘブンズフィールド中。その、エースです」

四天王決定戦中等クラス東ブロックの覇者ヘブンズフィールド中學。

、ヒラサカ・イザナはそのトップエースであり、サエズリ・スズメらプラヴダ中が決勝に於いて苦をなめた相手でもあった。

不意に、イザナがスズメの方へと目を向けた。

イザナとスズメの目と目が合う。

しかし、彼は気付いていないのか、それとも意にも介していないのか。

イザナの表は変わらぬまま、ふいと顔を逸らし他のチームメンバーについて歩き出す。

「アイツらは――チーム・ミステリオーソだな」

「ミステリオーソ……」

「順調に行けば、準決勝で當たることになるね」

第6試合も終わり、第7試合が開始される。

そう、チーム・ミステリオーソの初戦だ。

「えっと、第7試合Bブロックぅ! その時、世界がいた! チーム・アブダクション!!」

歓聲と共に、チーム・アブダクションのメンバーとチームがモニターに映される。

4年エイリアス・グラネとその裝騎スーパーノヴァ。

3年バーンネス・ハルカとその裝騎サンフレア。

2年スズノ・G・フーカとその裝騎ノーザンクロス。

1年オーガニア・ミドリとその裝騎アストロン。

「対するは、不思議大好き仲良し4人! チーム・ミステリオーソ!!」

4年ヒンメルリヒト・ヒミコとその裝騎フリップフロップ。

3年クラスタリアス・リコリッタとその裝騎ラヴァーズ・シックス。

2年レインフォール・トーコとその裝騎ニューウェイ。

そして1年、ヒラサカ・イザナとその裝騎アイロニィ。

「チーム・ミステリオーソ1年、ヒラサカ・イザナちゃんはなんと去年の四天王決定戦東ブロック優勝中學のエース! どんな戦いを見せてくれるか楽しみなのだ」

ヒラサカ・イザナの裝騎アイロニィ。

に、腰や背中に武を多數裝備した灰のその裝騎。

「ベース騎は……PS-H2ヘルメシエル、ですかね」

「マハと同じなんですよ!」

「そうだな……」

手に持っているのは14mmサブマシンガン・レッカ。

その背に増設されたウエポンラックには側面に取り付けられた盾が特徴的な9mmシールドナインライフル。

腰にも弾と思しきものをぶら下げているのが分かる。

「それではBブロック7回戦、開戦なのだぁ!!」

チームリーダーのヒミコが搭乗する裝騎フリップフロップがイザナの裝騎アイロニィへと何か合図を送る。

それに、アイロニィが頷くと、他のメンバーを置き去り、チーム・アブダクションの元へと突撃していった。

「おい、まさかアイツ……」

「1人で、倒すつもりですね」

「あらあら……」

最軽量騎であるヘルメシエルがベースであるアイロニィはその機力を生かし、チーム・アブダクションの裝騎へと近付いた。

それからの手際は鮮やかだった。

一瞬でアブダクションと接したかと思うと、両手に持ったサブマシンガン・レッカによる撃で先頭を進む3年ハルカの裝騎サンフレアを撃破。

そのまま、木々を巧みに利用しながら、他の3騎の迎撃を凌ぐ。

腰のストックのの1つが自で解除され、腰から地面へと落ちようとする弾。

それを足を巧みに使い、アブダクションの3騎の元へと蹴りれる。

その蹴りれた弾へサブマシンガンの弾丸を撃ち込み――発。

これは火力よりも煙が多くでるように設計された煙幕弾らしかった。

煙幕で目がくらまされた一瞬、その中で更なる音が響き、2年フーカの裝騎ノーザンクロスが機能を停止したことが畫面上に示される。

生き延びた2騎の、1年ミドリの裝騎アストロンへと9mmシールドナインライフルを両手に、連しながら的確に命中させ撃破。

「す、すごい……」

手早く淡々と、そして的確に相手の裝騎を沈めていく様は驚異的だった。

「裝騎の火管制があれば2持ちでも當てることは出來る……けど……」

「アレはそんな機能使ってませんよ……自分の力と、勘と、経験で裝騎の弱點を的確に狙い落としていく……」

「あれが東の四天王校エースの実力か……」

4年グラネの裝騎スーパーノヴァが放つ12mmフラッシュライフルの雨を潛り抜け、スーパーノヴァへと薄する。

スーパーノヴァの放つ銃弾を、左手に持ったシールドナインライフルの盾で防ぐだけではなく、右手のシールドナインライフルを撃ち當て、弾き飛ばしながら防ぐと言う荒技も見せ會場を盛り上げた。

フラッシュライフルを投げ捨て、リュウセイ・ブレードを引き抜き近接戦に備えようとしたスーパーノヴァ。

だが、アイロニィはそれよりも早くスーパーノヴァの背後へと回ると、腕の部分に隠されていたナイフが出されアイロニィの手に収まる。

その手に持ったナイフ・クサナギをスーパーノヴァへと突き刺した。

「試合しゅ~りょ~! Bブロック七回戦は、チーム・ミステリオーソが勝利なのだぁ!!」

湧き上がる場に対し、騒然とするスズメたち。

いや、それはスズメたちだけでは無かった。

この戦いを見ていた機甲科の生徒は全員複雑な面持ちでその戦いを見守っていたのだ。

「私達……勝てるんでしょうか…………」

スズメのその言葉は、ある意味、その場にいた機甲科全員の思いと重なった。

オマケイラスト

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