《機甲學園ステラソフィア》事前報・リリィワーズ
「ミステリオーソの前に、リリィワーズとの戦いもしっかり考えないとな」
「いつもしっかり考えているようには思えないのですわ」
「勝てるなら何でもいいんですよ!」
などと言いながら、いつも通りのブリーフィングの時間。
「チーム・リリィワーズの差し當たっての脅威はリーダーのナガトキヤ・ライユの裝騎キラが使うステルス迷彩だな」
四年ナガトキヤ・ライユが使うPS-S-S2サリエルをベースにしたくすんだ赤の裝騎キラ。
その手に持った可式戦闘鎌インコンシステント・ラヴと言い、そのステルス機能と言い、凄まじいインパクトを見せる裝騎だ。
「マジェスティックフォー戦で見せたやつですね……あんなことができる裝騎が居たなんて」
「まだ試験的な機能らしいけどね」
特殊な機により、裝騎周囲のを屈折させその姿を過させる裝騎キラのステルス機能。
加えて、裝騎の裝甲自にエネルギーを流すことで探知波を防ぐようなコーティングがされる特殊な裝甲を使用しているため、探知波による解析で仮想映像を作り出すサードパーソンビュアーなどの仮想視認システムにも表示されない。
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カメラや眼による視認はステルスを使用する側も含め互いに不可能となるが、裝騎キラは裝甲の隙間にある探知機による仮想視認システムによって相手を一方的に捉えることができるという。
しかしその為、実際にはバーチャルビュー時には裝甲の隙間にある探知機だけが解析され表示される。
そして、カメラや眼による視認も、の屈折が完全ではないためなのか微妙な揺らぎとなって見ることができるのだ。
「でも、探知波を防ぐってことはレーダーには映らないってことなんじゃ……?」
「モード・ヘレネの波力障壁ってあっただろ?」
「あ、はい。探知波や魔力の波を魔力を使って歪ませるってでしたね……」
「そ、あの波力障壁は誤った探知反応を造したりできるし、そういうことができればレーダーに映らなくする事も出來るだろうけど、裝騎キラの裝甲は単純に吸収しちゃうからなぁ」
「に例えれば真っ黒――――ってことなんですか?」
「そうだな。その周囲だけ明らかに探知波の異常が分かるから、レーダーにも異常(ピキューリア)反応として表示されて分かるってことだ」
「ふーん……」
「まぁ、アタシもそういうのは詳しくないから、大こんなじって思っとけば良いよ。理屈はどうあれ、実際にそういう事が起きてるのは確かだしな」
「それはそうですね」
「とりあえず、レーダーと視界の違和には注意を払っておけ」
そう言うツバサに他の三人は頷く。
「このチームで目立った能力を持ってるのはコイツくらいかな」
「でも、他の方もそれなりの実力者ですから気を付けないいけないですわね」
「ああ、例えばハクツキ・クレスのクレセントムーン。この裝騎はな戦闘が得意だからな……思わぬ攻撃をけることも多いかな」
三年ハクツキ・クレスのるPS-R4ラファエルをベースとした月のような白の裝騎クレセントムーン。
両手に構えたチャクラム型の武アニュラーイクリプスを使った格闘戦法が得意な裝騎だ。
舞うような獨特な機でアニュラーイクリプスによる格闘戦を行う為、なかなかきを捉え辛い。
「なんつーか、ダメージコントロールが得意なんだよなクレスは」
「ダメコンですか」
「攻撃の反を利用して勢を立て直したりさ」
「普通にけを取るだけでも、裝騎だと結構難しいんですけどねぇ……」
「そんだけ騎使としての技力が高いんだろうな……。んで次が二年のリュディケちゃんの裝騎だな」
二年オルフェシア・リュディケのるPS-S3シェムハザをベースにした藤をした裝騎リラライラ。
手足に機力増強用のブースターを備えた裝騎だ。
手足をブースターで加速させることで、通常の裝騎では出せないスピードを出すことができるが、その分消耗が激しく、加えて、ややピーキーなつくりとなっている。
「碗部、腳部のブースターによる加速行が特徴的なPS-S3シェムハザがベースですか……」
「リュディケちゃんがよく使うのは、マジェスティックフォー戦でも使ってたダガーガン・トロイメライだな」
「ダガーガン……ダガー狀の弾を発する武ですね」
「そうだ。それも、スパーキングダガー弾だとか、マインダガー弾だとか、んな種類を持ってるって所が厄介なんだよな」
強力な電流を流すことで、裝騎のきを止めることができるスパーキングダガー、そして相手に突き刺したダガーが発する事でダメージを與えるボムダガー。
それらをベースとしたダガーガン用の弾――そういった種類富な特殊武を扱うのが裝騎リラライラの特徴だった。
「そして一年アルク・アン・トワイちゃんの裝騎レーゲンボーゲンか」
「ベース騎はPS-Ca1カンヘルですか……」
報端末に表示されたそれを見てスズメが呟く。
「ああ、前回の戦闘ではあまり目立ったところは無かったけど」
一年アルク・アン・トワイがるPS-Ca1カンヘルがベースのグリーンにパープルのマジョーラカラーが目をひく裝騎レーゲンボーゲン。
今の所、目立った武裝は17mm銃撃砲グリュンドラヒェしか見せていない。
しかし、17mm銃撃砲グリュンドラヒェはかなりの威力を誇る銃だ。
ヘビィマシンガンとも俗稱される銃で、基本的な機能としてはマシンガンを大型化させたような様相。
その為に、重量が重く、裝弾數もなめなのだが。
「そういえば、あの裝騎はホバー騎でしたね」
「そうだな。その重裝甲さと言い、フォイアゾイレを外したPS-Me2メタトロンって印象だな」
「まさにそんなじの裝騎ですね……それ以外にも何か機能を隠してないとも言えませんしね」
「まぁ、逆にあれだけしかないのかもしれないけどな」
「あれだけだとしても、グリュンドラヒェは驚異的ですね……下手をしたらフュンフトマティ砲やフォイアゾイレ砲なんて訳ないかもしれない」
「まったくだな……」
「そういえば、レーゲンボーゲンの背中……何を背負ってるんでしょう?」
裝騎レーゲンボーゲンは手に持った17mm銃撃砲グリュンドラヒェにやや目が行きがちになるが、背中にも、何やら箱狀のを裝備していた。
「グリュンドラヒェの予備マガジン、とか?」
「私にはマガジンパックとは何故か思えないんですよね……それに、両腕についてる何かの照裝置っぽいのも気になります……」
「照裝置?」
「はい――これ見てください」
スズメがそう言いながら、報端末のディスプレイに表示された裝騎レーゲンボーゲンの腕の部分を拡大する。
すると、レーゲンボーゲンの腕の突き出た所、その部に隠れるようにして一か所だけ黒く染まる部分があった。
腕の形全を銃に例えると、確かにその黒く染まっている部分が銃口に見えなくもない。
「注意はしておくべきだな」
「はい、まだ未知の裝騎ですし何があるか分かりませんし」
「と、言うことだけど分かったか?」
「ええ、大丈夫ですわ」
「大わかったんですよ!」
「今回の相手は抑々の戦闘スタイルが変わってるヤツが多いからね。作戦自は搦め手無しで正面から攻めてくるだろうが、戦の際は1騎1騎の挙に気を付けろ」
「諒解!!」
「それじゃ、自分らしく戦っていこう! チーム・ブローウィング、勝つぞ!!」
「おー!!!」
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