《幽霊公(プランセス・ファントム)》1-4
今から何百年前の出來事かなど、もう分からないくらい昔の事だ。
その頃、人の言葉ではハールィチの地と呼ばれた片田舎で、の丈を超えた野心を持てあました農夫が、二人の魔と契約をわした。
『ひとつ、魔がその力を男と男の子孫に分け與える代償として、男の子孫は末代に至るまで、その壽命を分け與え続ける。
ひとつ、契約が違えられる事無く続けられる証しとして、また代を重ねるに従って弱まるであろう、魔の力を補うとして、百五十年毎に男の家の當主は魔と婚姻し、子を為す。
ひとつ、婚姻を結ぶ代の當主は、伴となる魔を従える。
ひとつ、契約破棄の代償は、當主の死をもって支払う。』
二人の魔、すなわち一人の男の夢魔(インキュバス)と一人のの夢魔(サキュバス)とこの「の契約」をわした男は、契約通りサキュバスを妻に迎え、ソブラスカ公爵家の始祖となった。
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そのソブラスカ家最後の姫は、いらいらと寢室を歩き回っていた。寢間著(ネグリジェ)の裾が、彼が方向転換する度に、ひらひらと床を舞う。
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白大理石の暖爐では、ぱちぱちと薪がはぜている。
「あの男、どうしてって來れたの?」
パサージュのあの部屋は、ユーディトが許可を與えた人間しか行き著けない。通りがかりの人間には、エレベーター橫のあの螺旋階段は、見えさえしないはずだ。
「何で眠らなかったの?おまけに記憶を消そうとしたのに、全く効かなかったわ。」
「あれは記憶を作しようとしたのか?」
貌の夢魔の問いに、ユーディトは顔を上げた。
「そうよ。わたくし、ジーヴァほど力が無いもの。人一人殺すのは大儀だわ。」
契約から千年以上の時を経て、夢魔(インキュバス)ジルヴァーヌスは、稀に見る力の持ち主になった。もう一方の風來坊(サキュバス)もしかり。
「殺そうとしなくて、良かったのかもしれないぞ。」
寛いだ格好で寢椅子にかけていたジーヴァは、腳を組み替えた。
「どういうこと?」
「あの男、魔力が効(・)か(・)な(・)い(・)質かも知れない。」
「何か知ってるの、ジーヴァ?」
遠くを見るような表を見せた彼を、ユーディトは歩くのを止めてじっと見た。
「ごく稀にだが、魔の影響をけにくい人間がいる。ユーディト、お前の先祖もそんな男だったよ。」
「でも、あなたと契約が結べたんでしょ?それなら、完全に効かないってわけじゃないじゃない。」
「そうだな。あの男の場合は、夢にわされないという程度のことだった。」
夢魔が見せる甘な夢は、人をわし言いなりにさせ、時には命を奪う。ソブラスカ家の始祖は、そんな魔力に耐があったと言う。実際、そんな人間でなければ、魔のは彼の脈に付かなかっただろう。
だが、今日の男は違った。夢にわされないどころか、ユーディトもジーヴァも、彼の夢にることさえ出來なかったのだ。
「あの男、攻撃していたら反作用があったかもしれない。」
「反作用……。」
発した魔力が、弾かれて返ってくることだ。
「そうなったらユーディト、お前は一溜まりもなかったぞ。」
夢魔としてのユーディトの力は弱くはない。だが、自然現象までれるジーヴァとは違って、彼のはただの人間のものだ。あっさりとご臨終していただろう。
「そんな最期、笑うに笑えないわね。」
乾いた笑い聲を立てた彼の頭を、ジーヴァはぽん、とたたいた。
「安心しろ。あれはただの人(・)だ。始末する方法はあるさ。」
「ありがとうジーヴァ。あなただけはわたくしの味方ね。」
艶然と騒な臺詞を口にした夢魔に、ユーディトも無邪気な笑みを返した。
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