《幽霊公(プランセス・ファントム)》2-4
ぱたん、と後ろ手に扉を閉じると、ユーディトはずるずると客間の床に座り込んだ。
遠出はやはりにこたえる。罰當たりな契約を結んだ先祖が心底恨めしい。
「どうした、けないのか?」
「……………。」
ジーヴァの聲に答えるのも億劫で、黙り込んだままじっとしていると、腕が背中と膝裏に差し込まれて、ふわりとが浮いた。
彼の上著の生地がひんやりと気持ちよくて、ユーディトは頬を寄せてその覚を楽しんだ。
そのまま運ばれて、そっと寢臺に下ろされる。
「……………。」
「何だ?」
目で訴えたユーディトに、彼は耳を寄せた。
「ドレスが、きついの。がせて…。」
「その臺詞、使うには二年ほど早いぞ。」
ふっ、と息だけで笑われた。
だが、ドレスの背に並ぶ釦を外す、彼の手つきは手慣れている。
しゅるっ、と音を立ててコルセットの紐が解かれると、ユーディトは、ほう、と息をついた。當世のモードの殘酷なことったら。自由に呼吸(いき)さえできないのだから。
何度、こうやって彼に甘やかしてもらっただろう。ジーヴァの肩にを預け、うっとりと半ば眠りに落ちながら、ユーディトは考えた。彼が安心して甘えられるのは、人ならぬの彼だけだ。
服をがされたが羽布団にくるまれると、ユーディトはもう一つ我が儘を言った。
「おなか、すいた…。」
「デザートを二度もお代わりすれば、十分なのではないか?」
低い笑い聲が耳をくすぐる。
夢魔のが強く出たユーディトには、人間の食事はあまり口に合わない。食べようと思えば食べられなくもないが、味しいとは思えないのだ。甘いだけは例外だが。
だが、夢魔として糧を得るには、ユーディトは不利な立場に置かれていた。自由に姿を消して人に近づけるジーヴァたちとは違い、人としてのを持つ自分は、相手に直接れなければ「食事」ができない。
苦の策として考えついたのが、あのパサージュの部屋だ。悪魔祓いを求める人間をおびき寄せては、その気や彼らに憑く魔を摂っている。
といっても、彼の選り好みは激しいが。
「足りないものは、足りないわ。」
駄々をこねていると分かっていて、言いつのる。自分には甘いジーヴァが、折れてくれるのは分かっていたから。
「食い意地の張った姫君だ。」
小さくため息をつくと、彼はユーディトの口にを押し當てた。與えられた気を、彼は小さな歓喜の聲を上げて飲み下した。彼の気は、彼が口にした何よりも甘い。
人の食事は嫌だと泣く彼に、これまでジーヴァは幾度も気を分け與えてくれた。
いつからだろう、それが男の口づけへと変わったのは。舌がり合わせられるに、ユーディトは背を小さく震わせた。
その痺れるような覚を最後に、彼の意識は闇に飲まれた。
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