《幽霊公(プランセス・ファントム)》3-5

アドリアンの立ち直りは早かった。

「いやあ、こうして我が目で人ならぬ者を見る日が來るとはね。あなたと出會えたことを神に謝しますよ、公(プランセス)。」

(何でこうなっちゃうの……。)

ユーディトは、はあーっ、とうな垂れてため息をついた。

魔力も効かなければ、魔を見ても恐れない。それどころか、アドリアンは興味津々でジーヴァを見つめている。

「彼はジルヴァーヌス。わたくしの家と契約している夢魔の一人ですわ。」

こうなっては仕方が無いので、ユーディトは彼にジーヴァを紹介した。

「そうですか。よろしく、ジルヴァーヌス。」

嬉々として挨拶をしたアドリアンを、ジーヴァはじろりと不機嫌そうに睨み付けただけだった。

そんなことは気にも留めず、アドリアンはユーディトに向き直った。

「の一人、とおっしゃるからには、他にもいるのですか?」

「ええ、の夢魔(サキュバス)がもう一人。」

「ご一緒ではないのですか?」

「昨夜はいましたけれど、今日は分かりませんわ。」

「やはりしい姿をしているのですか?」

「そうですわね。」

俄然、アドリアンの目が輝きだした。

「それは是非ともお會いしたいですね。」

「おい、バカ殿。」

それまで黙っていたジーヴァが口を開いた。

「二番目の妻の寢室と、婚約者の寢室を見せろ。お前の寢室もだ。」

『やっぱりジーヴァも魔が絡んでいると思うの?』

見上げたユーディトに、ジーヴァは頷いた。

『お前も気付いただろう?はっきりとはしないが、気配はある。』

『そう……。』

「ところで、『バカ殿』って、僕のことですか?」

二人の會話に、アドリアンの間延びした聲が割り込んだ。

「そうだ。」

「そうですわ。お似合いでしょう?」

彼の質問に二人揃って肯定されて、アドリアンは何とも言えない顔をした。

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