《幽霊公(プランセス・ファントム)》4-2
ドーギュスタン子爵は、面の皮だけでなく、胃袋も丈夫だったようだ。
「おはようございます。ご機嫌はいかがですか、公(プランセス)。」
翌日の晝過ぎ、サロンで晝食代わりに梨のシブーストを食べていると、彼はにこやかな笑顔で現れた。
まだし顔は悪かったが、何事も無かったかのような顔をしているアドリアンを、ユーディトは手にしたフォークも忘れて、まじまじと見てしまった。
「………わたくしは変わりありませんわ、子爵。お加減はもうよろしいのですか?」
「ええ、もうすっかり良いですよ。」
「それは良かったですね。」
非常に殘念そうな顔をした彼の橫に、アドリアンは腰掛けた。
「ジルヴァーヌスはどちらに?」
「今は席を外しておりますわ。」
ユーディトは適當に誤魔化した。ジーヴァが日中は現れないと知られたら、この男のことだ、図に乗って何をされるか分からない。
「まだ城の案が殘っていましたね。今日はどちらからご覧になりますか?僕の部屋にお出でなさいますか?」
「それでは二番目の奧様の部屋から。」
ジーヴァは、二番目の夫人の部屋だけでなく、バベットとアドリアンの居室も見た方がいいと言っていた。だが後者は、ジーヴァが一緒でないとまずい。
日暮れまでの適當に時間を潰すことにして、ユーディトはソファから立ち上がった。
*******
綺麗に整えられていたが、フルールの部屋は、ジュヌヴィエーヴの部屋に較べると沒個的だった。客間と言われても疑問に思わないくらい、生活に乏しい。
「隨分と殺風景ですのね。」
「ああ、彼はそれほど長い間、ここにいたわけではありませんからね。だから個人的なは、ほとんど殘っていないのです。」
問いかけるように見たユーディトに、アドリアンは説明した。
「ジュヌヴィエーヴが亡くなって二年ほどして、僕はフルールと再婚しましたが、彼は式の三月後に自殺してしまいました。」
(この男は一、何歳なのだ?)
「…最初の奧様のお輿れはいつでしたの?」
「今から五年前です。亡くなったのはその一年後です。」
「ドーギュスタン子爵。」
「何でしょう?」
「意外とお年を召しているのですね。」
「ははは。それはよく言われます。ですが、僕は二十六歳です。あなたとも釣り合う年齢ですよ。」
「寢言は寢ておっしゃい。」
「ジルヴァーヌスはもっと上なのではありませんか?」
「……………。」
確かに、彼はずっと年上だ。千年ほど。
「後に殘される者は辛い。」
「えっ?」
ジーヴァと自分の関係のことを言っているのだろうか。一瞬、ユーディトはどきりとしたが、アドリアンの端正な橫顔は、フルールの部屋だけを見ている。
「あなたなら、どちらを選びますか?思い出を殘して去られることと、何も殘さずに行ってしまうこと。後に殘されるとすれば、どちらがマシですか?」
ユーディトは、もう自分しか殘っていないソブラスカ家の、広すぎる屋敷を思い浮かべた。次にあそこを去る人間は、自分の他にはいない。
そう考えると、アドリアンの質問自が愚問に思えた。
それでも。
「何も殘さない人間などおりませんわ。」
殺風景な部屋だと言って置いてよく言う、と自分でも思ったが、言葉が口をついて出てしまった。
ふっと目元だけで笑ったアドリアンは、靜かに同意した。
「そうでしたね、公(プランセス)。あなたはよくご存じのことでした。」
共などするつもりは無かったので、忌々しくてユーディトは歯噛みした。
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