《親のり人形は自らその糸を切ろうとしている》俺達、出會いました ①①

駿が初めて泊まる今日。やっと一人になれる時間がやってきた。一日の終わりの浴。しかし、足がかない俺にとってお風呂も大変な場所だ。

まず俺がお風呂にる時は車椅子に乗ったまま、服をぐ。

お風呂場のドアを開けて、バスチェアまで車椅子を持っていき、今度はを車椅子からバスチェアまで移させる。

車椅子にバスタオルを敷いておき、車椅子はお風呂場から離す。

そしてドアを閉めて、やっと洗えるのだ。

一つ一つの工程が慣れていなければめんどくさくはなくなる。慣れるまでが大変だが。

シャワーに打たれていた時、ふと思い出した。

『リハビリを頑張れば、普通の生活ができなくても足はかせることができるかもしれない』

主治醫の言葉だ。

最初の1.2年はリハビリを頑張っていたが、先が見えなくて不安になり、病院にすら行かなくなった。

諦めた。

そんなことを考えていたら、お風呂場のドアがトントンと鳴った。

「律」

「なに?」

「お風呂終わったら呼んでよ。著替え手伝うよ」

「大丈夫だよ、慣れてるし」

「さっき約束したじゃん。律を助けるって」

見た目によらず、真面目だな。

さっき言った言葉を忠実に守ろうとしている。

でも、今までどんな時も一人でやってきたから、助けてもらうことはし照れくさい。

「呼んでね、ちゃんと」

次の俺の言葉を聞かず、念を押され、駿はドアから離れた。

を洗いながら、俺は下を向きし笑ってしまった。

洗い終わるとし躊躇した。

本當は呼びたくなかったんだが、あれだけ呼んでねって言われたら呼ばないといけないなって思ってしまう。そんな俺も真面目なんだろうか?

呼ばなかったら後々怖いし

「しゅ……駿……」

「はいはーい」

恥ずかしい気持ちが勝ち、呼ぶ聲が小さくなってしまった。

それを知ってか知らずか、ドアからひょこっと顔を出し、ニコニコした顔でタオルを持ってきてくれた。

「タオルここにあるよ」

「このタオルは俺が律を拭いてあげるタオル。髪の拭いてあげる」

タオルで俺の頭を覆い、髪のを丁寧に拭いてくれた。

俺は自分の持っていたタオルでをある程度拭き、上の服を著た。

パンツとズボンは膝くらいまで上げた狀態だ

「パンツ履くなら、肩貸してあげる」

駿は俺に近づき、自分で自分の肩をポンポンと叩いた。

「自分で出來るって」

とブツブツいいながら、駿の肩に手を回した。

「立てる?」

「わからない」

「じゃ、いっせーのーでって言うから足に力れてみて。無理なら俺が抱き抱えてパンツとズボンあげるから。いくよ。いっせーのーで」

そう言われ足に力をれようとしたが、自分で思ってる以上に力がらずショックをけた。

「(え……昔はおし浮くくらいまであげれてたのに……)」

俺はただ、駿の肩に手を回しただけでなにも出來なかった

駿は一生懸命力をれ俺を持ち上げ、パンツとズボンをあげてくれた

「はい、出來たよ。律どうした?痛かった?」

「全然なにも出來なかった」

「仕方ないじゃん」

「昔はもうちょっと出來てた。そういえば最近は足を使わずに自己流で々してた」

下を向く俺に、駿は顔を覗きこんできた。

「そんな寂しそうな顔をしないで」

「俺、寂しそうな顔してる?」

「してる」

「どうしよ、このままなにも出來なくなったら」

出來なさすぎて、急に俺の心は絶で満たされた。

「俺さ、よくわかんないけど足をかすのにリハビリとかあるんじゃない?そういうのは?」

「行ってたけどやめた」

「なんで?」

「だって同じことばっかりしてて、なにも変わらなかったから」

「それは続けないから変わらないんだよ。リハビリを続けたら変わったのかもしれないよ」

確かに、駿のいう通りだ。

あの時は事故の直後で、歩けてた自分を思い描いていた。しかしリハビリをやるにつれて、理想と現実のギャップが大きく悩んでたような気がする。

「律はどうしたいの?歩きたいの?そのままでいいの?」

「そりゃ、歩きたいよ。でも、、、」

「無理だったとしても、それに近づく努力は律自の思いだと思うよ」

俺は駿を見上げた。

「もう一回頑張りたい。リハビリ」

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