《親のり人形は自らその糸を切ろうとしている》さようなら、俺達 ①

攜帯を切ったあと、心臓の鼓は鳴り止まなかった。俺は忘れるように仕事に打ち込んだ。

でも忘れることは出來なかった。

駿はなにをしてるんだろう。

もしかすると攜帯だけとられて、行方不明かもしれない。もしかするともう帰ってこないかもしれない。

考えれば考えるほど、気持ちが張り裂けそうだった。

何故、本人が行きたくないって言っていた高校に無理矢理行かせたのだろう。

後悔した。

時間が刻々と過ぎていく。

アクセサリーを見ると、今の自分の心を表してるかのように青や緑ばっかりで切ないになった。

ダメだ、ダメだ。

仕事に影響している。

一度休憩をしよう。

俺はリビングに戻りコーヒーをれた。

熱い熱いコーヒーは湯気をたって、匂いが充満する。

コーヒーを一口飲むと、ガチャと玄関のドアが開いた。

お願い……駿だよね、帰ってきたの?

そんな気持ちが大きくなった。

人影が玄関にるとその人が誰かはっきりした。

駿だ。

普通を裝わないと……。

「お、、おかえり」

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こういうとき無表でよかったと思う。

「ただいま」

「楽しかった?高校」

「うん、いつも通りなじ」

確かにいつも通りなじで俺に接してくれた。鞄を椅子に置き、駿は洗面所に向かった。

俺は洗面所に駿が行ったのを見屆けた。

駿の背中が切なくなる。

ごめん

ごめん

悪いのはわかってるけど

さっきの電話のこともあるし、確認したいことがある。

そう思い、機に殘されたスマホを見た。

誰もいないが、スマホを奪うように取り畫面を開いた。

ロックはかかっていない。

お願い、お願い、お願い。

勘違いであってほしい。

過呼吸になりそうなくらいに呼吸が早くなる。

メールは……

あっ、あった。

震える手でメールを開く。

【いつ帰ってくるの?】

メールの相手は……

「お、、お姉さん、、?」

駿のお姉さんだ。

【帰らないって】

【なんで?またあの日みたいに抱いてよ。私貴方が好きなの。駿……】

メール容に俺は衝撃をけた。

その後も、ここでは言い表せないほどの容だった。

まず、兄弟の會話ではない。

カップル……いや……そんな綺麗なものではない。

の売買をしてる人の會話、そんなじだ。

ガチャ……

洗面所のドアが開く音がして、俺は急いでスマホを消した。

どうしよ

どうしよ……

コーヒーを飲む手が震える。

コーヒーがを通らない。

「仕事終わった?」

「あ……いや……まだかな……」

駿と目を合わせられない。

怖い……今俺は駿を軽蔑している。

どうしたらいい?

「じゃ、俺が夕ご飯作るわ」

「あ……ありがとう……」

駿が首元をる時、ふと赤い斑點が見えた。

そこで確信した。

あ、あの電話のことは本當だったんだ……と。

仕事が殘ってるから、とその場から離れた。

早く駿から離れたい。

仕事場に急いで戻り、俺はアクセサリーを見た。

なんだろう、アクセサリーがぼやけて見える。

そして……

アクセサリーが濡れていることに気づいた。

俺は自分が涙を流しているのがわかった。

「……うぅ……」

久々に流した涙が、涙とわかるまでし時間がかかった。

駿にバレないように、鼻と口を両手で覆い聲を殺した。

この思いをどこにぶつけたらいい?

天井を見ても、床を見ても涙が溢れて止まらない。

『一ノ瀬家に近づかないほうがいい』

先生が言ってたことはこのことだったんだろうか……。

「律、コーヒー忘れてる」

ガチャとドアが開き、俺は反的に振り返ってしまった。

「律……」

そりゃ驚くだろう……

だって無表だった俺が泣いてるんだから。

「どうしたんだよ」

駿はコーヒーを機の上に置き、俺のそばに來た。

「なんもない」

「なんもなくないじゃん!泣いてるだろ?」

駿に肩を揺さぶられ、駿がぼやけて見えた。

見ないふり

聞かないふりしてきたけど

もう、辛過ぎてなにが辛いのかもわからなくなった。

「駿は今日どこ行ってたの?」

聞いてしまった。

お願い、高校って言って……

「……高校じゃん。」

ほら。駿は高校って言ってる。

信じようよ。

「俺、朝電話かけたんだけど……」

聞いたらダメだ……。

ほら、駿の顔がこわばってる。

「で……電話?」

の人が出た、電話」

駿の目が泳いでる。

「……駿のお姉さんって言ってた」

「で……?」

「……で?」

「他はなんか言ってた?」

「……なにも……なにも言ってない…」

「噓つくなって……」

ふと立ち上がった駿は、橫にあった椅子に座った。

「あの人バカだから俺達の関係言ってたんだろう?どうせ」

本心を突かれて、なにも言えなくなった。

下を向く俺にさらに続いた。

「軽蔑した?俺のこと」

なにも、言えない。

本當のことだから。

「……俺出ていくわ」

駿はふと立ち上がり、リビングに向かった。俺は駿の後ろについて行った。

駿は振り返ることもなく、鞄を持ち、玄関で靴を履いている。

「ま……待って」

「……もう無理。」

「無理じゃないって!」

必死に出ていくのを止めようと、俺は駿の腹部に手を回した。

「自分の姉ちゃんと関係を持ってるなんて気持ち悪いだろ?」

「き……気持ち悪くない……!」

「気持ち悪いって律の顔に出てるだろ!」

「駿は自分勝手すぎるだろ!」

駿の服を見ると自分の涙で変してるのがわかった。

「なんも言わない駿が悪いんだろ!なんも言わなかったら俺わからないよ」

「言ってやるよ、俺は自分のお姉ちゃんとの関係持ちました。これでいい?」

上から見下ろされ、怖くなり手を離した。

その隙を見て、駿は家を出て行った。

「そんなこと聞きたいんじゃない、、、」

俺が聞きたかったのは、お姉さんとどういう関係か。じゃなくて何故お姉さんとそういう関係になったか……だ。

「わかんないよ……どうしたらいいかわからないよ」

とめどなく出てくる涙に、俺はどうすればいいかわからなかった。

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