先生と會食してから何日か経った。

それにしても慣れというものは怖い。

駿のいない生活が長くなっていくが、その生活に慣れてしまったようだ。

きっと、なにもなかったかのように時間が過ぎていくかもしれない。

しかも仕事は時間を待ってくれない。こうやっている間も注文がたくさんり、忙しくなる。

忙しすぎてご飯を食べない、機でうつ伏せで寢るなんて普通になっていった。

駿がいた時は家事もしてくれて、助かったよな。そういう時に駿を思い出す。

自力で探そうかと思ったこともあったが、どこから探せばいいかわからず諦めた。

々な疲れが溜まり自分で肩をみながら、今日もカップ麺にお湯を注いで、3分待っていた。

すると攜帯が鳴り出した。

いつも通り注文がったと思い気軽に攜帯を持った。

【一ノ瀬翔先生】

畫面を見て、目が飛び出しそうになった。

なんの電話だろう、、、不安と期待がり混じりスマホを耳をあてた。

『お久しぶりです』

「お久しぶりです」

安心する。聲のトーンはいつもの先生と変わらない。

『リハビリどうですか？』

「忙しくて、ちょっとサボってます。」

『正直者ですね。あ、そうだ。おめでとうございます。』

おめでとうございます……俺、誕生日ではないんだけど……。

『雑誌に貴方の名前が載ってました。綺麗なアクセサリー作るんですね』

きっと山下さんだ。そういえば雑誌の取材に答えてたのすっかり忘れていた。

『今度僕にも作ってくれませんか？仕事柄アクセサリーはつけれませんが、買いたいです』

「注文立て込んでてし遅くなりますが、それでもよければ」

『全然待ちますよ。あ、あともう一つ』

「なんですか？」

『教えますよ、駿の実家』

「え……？」

『駿の実家、教えますよ』

もう一度言われてたが、耳を疑った。

そしてもう一度思った。

どういう意味なのかと。

『ただ聞く覚悟は出來てるかなぁて思って』

「……出來ていなかったら、あの食事の場で実家を教えてほしいとか言わないです」

『そ、、か。メモできる？今から住所を教えるから』

俺は機の上にあったノートの切れ端に住所を書いた。

この住所……

駿と初めて會った喫茶店に近い。

「なんで教えてくれたんですか？」

『あれからよく考えたんです。人を助けたいって気持ち。僕にもあったなぁて。』

「そうですか」

『だから君が駿を助けたい気持ち、しわかるような気がする』

電話越しだがきっと実家を教えることに々葛藤があったのだろうと思う。

『ただ、約束してしい。もし危険な目にあったらすぐ俺に連絡してしい』

「そんな、駿の両親に會いに行くだけなのに」

『白咲さん、これは大事な話だ。僕でも數年実家に帰ってない。わかる？帰りたくない家に行くってことだ。』

「わかりました、気をつけます」

『健闘を祈るよ』

スマホを切り、もう一度住所を見た。

マップで場所を確認する。

やっぱり駿と初めて會った喫茶店の近くだ。

あの喫茶店の近くに実家があったんだな……。

さらによく見るために3Ｄで見た。

この家が駿が産まれた家。

駿が育った家。

そして、逃げ出した家。

そんな歪な関係を醸し出す家にいけるか、俺。

いや、今は考えるな。

考えれば考えるほど、手が震える。

張する。

でも一歩前に進むことが出來れば、駿も安心して戻って暮らすことができるかもしれない。

また、もしかしたら……。

「駿、俺頑張るよ」

一人で呟き、自分で握り拳を見た。

勇気を出すってこんな力も神力も使うんだな。

しんどいな。

辛いな。

でも、その勇気は無駄じゃない。

って思えるように行に移さないと。

「さて！ある程度仕事を終わらせて明日のために頑張りますか！」

俺はが無くなってび切ったカップ麺をすすりながら、パソコンの畫面を見た。

今日は今日。

明日は明日の風が吹く。

そんな気軽な気持ちで仕事をしていた。

俺は家族がしてくれるのが當たり前で

毒親がどんなじかわからない。

毒親に育てられた子供が傷つくその過程が正直わからない。

今はまだ軽い気持ちだった。

あの日を迎えるまでは……。