《【書籍化】落ちこぼれだった兄が実は最強〜史上最強の勇者は転生し、學園で無自覚に無雙する〜》165.おうちに帰ろう

対校戦は、アンチたち帝國學園が勝利を収めた。

裏でいろいろ企んでいた、神聖皇國の學園長は捕まった。

うちの何考えてるかわからねえルシフェルは、俺らが負けたことに対して、特に何も言ってこなかった。

星杯の獲得が、ルシフェルの目的ではなかったらしい。

そんで戦いの後は、みんなで宴會をした。

で、翌日。

俺たちは、元居た場所に変えることになった。

帝都の城門前にて。

「世話になったな! ユリウス!」

皇國のリーダー、カズマが笑顔で手を差しべてくる。

「気にすんな。困ったときはお互い様よ」

俺は彼の手をぎゅっと握り返す。

最終戦前のような、暗い表はもうしていない。

彼と仲間や家族にかけた呪いは解除されている。

「ありがとう、心の友よ。次は……おれの番だな!」

「どういうこと?」

「ユリウスが困ったときは、おれが駆け付けるということだ!」

助けたことに対して、恩的なものをじているのだろう。

そんなのいいのにな。

ほんと、いいやつだよ。

好きだぜそういうの。

「おう。じゃ、またな」

カズマたちは笑うと、馬車に乗って去っていった。

皇國が帰った後、帝國のリーダー・アンチが話しかけてくる。

「ユリウス。わが友よ。勝ちを譲ってくれたこと、本當に謝するよ」

銀髪サラヘアの優男が、このときはまじめな顔をしていた。

勝ちを譲るかぁ……。

「別に譲ったつもりはないよ」

「いや、今回は運がよかった。それだけだ。でも……」

アンチはまっすぐに見て力強く、決意する。

「僕は、強くなる。そして君が困ったときは、必ずだれより早く駆けつけよう。今よりずっと強くなって」

たしかにアンチは俺らと比べて、戦う力においては低い。

それでも彼には、この気高き神力がある。

強くなりたい気持ちがあれば、強くなれるだろう。

アンチの目を見て俺は確信を得ていた。

「おうよ。またな」

さて、最後に。

東部連邦の連中にあいさつをする。

元王ヒストリアが頭を下げてきた。

「ごめんね」

は闇落ちした後、悪魔になって、東部連邦の生徒としてやってきたのだ。

でも今は和解した。

「おまえは、そっち側でいいのか?」

「ええ。あたしは、こっちでゼロからやり直すわ」

「そっか」

こいつとはいろいろあった。

不愉快な思いもさせられたけど、ま、それはもう昔のことだな。

「それに、リーダーが抜けちゃうんだから、変わりが必要でしょ?」

ヒストリアの隣に、ダンタリオンが立っている。

もう彼は悪魔ではなく、人間に転生してる。

髪の長い、しいは、しかし恥ずかしそうにうつむいてもじもじしていた。

「どうした?」

「わ、わたくし……本當に、その、よ、よろしいのでしょうか……?」

一瞬何のこと言ってるのかわからなかった。

すぐに理解した。

「おうよ。おまえ、俺のになれ」

後ろから、ガイアスがため息じりに言う。

「兄さん……もっとね、こう、ロマンチックな言葉をかけてあげなよ」

なるほどロマンチックな言葉か。

弟がそういうんじゃあ、言い直さないとな。

しかし、ふぅむ、出てこない……。

あ、そうだ。

「ダンタリオン」

「は、はい」

張の面持ちの彼に、俺は言う。

「結婚すっか!」

は目に涙を浮かべて、嬉しそうに笑う。

飛びついてきた彼を抱きしめて、頭をなでてやる。

「なんで泣いてるんだよ」

「ぐす……だ、だって……しあわせで……」

「そっかそっか。そりゃあよかった」

ガイアスが複雑そうな顔をしながらも、しかし拍手してくれた。

「おめでとう、兄さん」

するガイアスと、仲間たちに祝福されながら、彼は言った。

最高の笑顔とともに。

「ユリウスさん。どうか末永く、よろしくお願いいたします」

こうして対校戦はおわり、俺たちは王國へと、帰るのだった。

これにて12章終わりです。

まだまだ続きます。

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