《【最終章開始!】 ベイビーアサルト ~撃墜王の僕と、醫見習いの君と、空飛ぶ戦艦の醫務室。僕ら中學生16人が「救國の英雄 栄のラポルト16」と呼ばれるまで~》第94話 泣きべそ狂戦士③

依。外科処置室にって來い」

先生に呼ばれた。見習い醫のわたしは、オペの準備をした後、中待合(なかまちあい)にひとりでいた。

「今の発音と振、ただ事じゃない。電源が落ちたら人力勝負だ。依にはまだ早いが、手伝ってもらうしかないかも、だ」

そんな理由でオリシャさんの帝王切開のオペ室に室した。

オペ室は壁と床は濃いグリーン。赤いの反対だから。中央にオペ臺があって患者のオリシャさん。それに執刀醫と小児科長(せんせい)、麻酔の専門醫が傍らに立っている。

天井からはんな機材と配線が降りて來ていて、大きなモニターが3つ。X線畫像だったりバイタルだったり、野畫像だったりする。

壁に吸いつくように1列に立つ看護師さん達に、手招きされた。わたしの役目も補助だから、ここでドクターの指示を待って、機材薬剤を用意すればいいのね。

でも、先生方は逃げないのかしら。怖くないのかしら。

依。‥‥‥‥ここにお前をれたのは、確率論だ。全員同じ場所にいた方が『誰かが吹き飛ぶ確率』が減る‥‥‥‥! まあ吹っ飛ばされる時は全員、になるんだがな」

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桜木先生はそんな事を言う。執刀醫の、初老の男の先生もチラッとわたしを見て。

「‥‥‥‥逢初先生。あなたのご友人がこの病院を守ってくれているのでしょう? だったら私達『醫療人』は己の為すべき事を為すとしましょう。いえ。あなたがここにいるならば、不思議と死ぬ気が起こらんのですよ」

ふふふ、と笑顔を作る側で、先生が問い合わせていた用度課からの返事がくる。

「信じられません。病院設備の重子力エンジンの出力が、ありえない數値で‥‥‥‥! 全力でシールドバリアを張りつつ、オペ室などへの電力供給は、微塵も問題ありません!」

*****

「いやくなら早く! ほっとくと3目が來るぞ」

「材質は恐らく鉄か。まだバリア技も対バリア素材も無い時代の兵だ。破片はバリアとS-HC(シュクルン)R-Nで防げる。ただ直撃は無理だ。みんな避けてくれ」

「いちこのガードで、私狙撃できないかな?」

「渚です。ミサイルはビームさえ當てれば確かに!」

「無理! 飛翔はロフテッド軌道! 時速2000㎞とかだ!」

「子です。ラポルト病院直上へ。艦の弾幕で何とかすれば」

「みなさん落ち著いて! まずは移するか決めましょう!」

「‥‥‥‥アンタ何拗らせてんのよ? ミサイルって當たったら死ぬヤツだって」

みんな口々に全通話で喋る。一瞬でこの會話量だ。ミサイルって兵への対処が、未経験なんだ。

「撃った。早すぎる」

紅葉ヶ丘さんの聲で、みんな固まった。

「ちっ! 最初から逃げる時間もなかったね」

西の空にまた柱が見えた。雲に屆く高さだ。

あれが降ってくる頃、同時にミサイルも著弾する。さっきみたいに病院や僕らに直撃しない保証はない。いや、むしろ狙ってきているかもしれない。

エネルギーをシールドバリアに回せばミサイルを迎撃できず、ミサイルを撃ち落とす為にビームを打ちまくったらシールドバリアが張れない。しかも逃げる時間も與えない。

昔の戦爭の映像とか、地上波でたまにやるよね? なんかその日が昔終わった戦爭の終戦の日だとかで。――他人事だった。全然、他人事だったよ。

だって想像するワケないじゃん。戦火に焼かれた事ないんだから。

こんなに、誰かが悪意をもって、ここを狙って撃ってくるなんて考えないよ。

――――いや、悪意だけど殺意か。こんな、殺傷力の高いをわざわざ、ビームとタイミング合わせて撃ってくるなんて。しかも市街地の病院に。

今まさに、新しい命が生まれようとしている病院に。

依達が懸命に戦っているんだ。たったひとつの生命を生み出すために。何人もの人達が。たった、ひとつのために、だよ?

この攻撃で何人殺すつもりなんだ? 僕ら7人か? 100人とかか?

コレ撃ったヤツ。‥‥‥‥答えろよ? 一どういうつもりなんだ?

‥‥‥‥一、どうなってんだよ!?

答えろって言ってんだろうがああ!!!

「うわあああああ!!!!!!」

僕は絶した。そして、泣きじゃくった。人の悪意にれてしまったから。

「暖斗くん!」

「‥‥‥‥ふざけるな!! 俺は!!! ふざけるなって言ってんだよ!!!!」

エンジンが吠えた。落雷のような轟音と閃。「旭雷」が顕現して。

――――出力が臨界値を超える。

「退避! 各機001から離れて!」

僕のDMTは、後背から巨大な竜巻を出した。「旭雷」が視覚を奪い、地響きまで起こした。

エンジンの重力変化が周りの重量までも吸い込み、空に屆く竜巻が猛獣の尾の様に激しく暴れる。

あのの柱は、僕らの直上まで來ていて、金の糸みたいに繊細にほつれ出していた。あの一本一本がビーム砲。そしてその向こうの空から、あの、「人を殺傷するためだけの悪意」が降ってくる。

その空に、「右手」を突き上げて、手のひらを天に向けた。

「來い! カタフニア!」

辺り一面が暗くなった。病院をまるまる覆うように、一瞬で巨大な影が舞い降りて來ていた。

その姿は、悠々と海を泳ぐエイみたいだ。

全幅400mだけど。

先日のミッション、ポイント・カタフニアで認証を得た僕の下僕。

前戦爭で「放し飼い」になってしまった巨大AI兵

砲臺の「雲(ネペレー)」の上位互換が、全幅400m、全長100mになっただけだよ。

降りてきた「カタフニア」は病院を覆う様に漂い、その巨大な影から長い手をばして、僕のDMTの外部電源接點、「コーヌス・テレスコープ」に接続を求めてきた。臨界出力で行き場を失ってプラズマ化していた001のエネルギーが、濁流の様にカタフニアに流れ込んで。

いいよ。エネルギーなんていくらでもくれてやる。

だから、今から僕の言う事を聞け。お前に拒否権は無い。

僕らの頭上に降ってくる、あのクソみたいな悪意を打ち抜くんだ。わかったな!

護るんだ。命を取り出そうとする人達の善意を、悪意が上回ってはならない!

それを僕は、絶対に許容しない!!

「シールドバリア展開! 副砲だ」

カタフニアの副砲は全1032門ある。そのすべてで、サーチライトの様にビームを照して病院上空を埋める。

空が、みるみる黃で染まっていった。

剎那。上空で花火みたいにいくつもの炎が花開いた。もう鳥も飛べないくらいにビームで大空を埋めたから、ミサイルは必ず撃ち抜かれる。

そしてビーム砲撃の雨も、カタフニアの背でける。全部コイツのシールドバイアで対消滅だ。

まだ終わらないぞ。人に、依達の病院に悪意を向けたって事は、その報いをける事も、覚悟してるんだよな?

「主砲用意」

僕は、カタフニアを西に向けた。

カタフニアの主砲は、恐ろしく大口徑のが、126門ある。

※カタフニアは、デザイン畫も製作済。上げます。

ここまで、この作品を読んでいただき、本當にありがとうございます!!

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