《【最終章開始!】 ベイビーアサルト ~撃墜王の僕と、醫見習いの君と、空飛ぶ戦艦の醫務室。僕ら中學生16人が「救國の英雄 栄のラポルト16」と呼ばれるまで~》第94話 泣きべそ狂戦士④
「紅葉ヶ丘さん。集積艦隊の位置報を」
僕が問いかけると、先に子さんから応答があった。
「待った暖斗くん。ラポルトも応する。多弾頭同時(MRS)著弾撃だ。泉さん高度400に」
「子學生。曲砲撃じゃないの?」
「こっちも暖斗くんの怒りに乗っかる。減衰率の低い直接砲だ。空に盾を構えた敵を橫から毆る!」
「わかった。チャージするからその間に」
赦さない。カタフニアの主砲にエネルギーを集めていく。今度はそっちが食らう番だ。
敵も3をするまでそんなに時間を置かなかった。先にこっちが打ち返さないと、また撃たれる。
ならやってやる! マジカルカレント全開だ!
子さんの聲と答える渚さんだ。
「‥‥‥‥『青天井システム』が展開したね。さすが『アフトクラトラス・イポテスの発機』」
「エンジンの臨界値までもってくるもりね。暖斗くん」
「いや、渚學生。あのエンジンに臨界値なんて無いよ」
「え!? それじゃあ!」
「無いんだ。あるとしたらエンジンが溶けるか主軸が折れるかなんだけど、そこまであの発機を回せたパイロットは紘國軍史上存在しない」
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「子學生。データを取っとけって事だね」
「そうだよ。紅葉ヶ丘學生。3次元での理現象の限界が見れるかも、だから」
カタフニアの超巨大主砲に子が収束していく。その空いた窪みは中型DMTがまるっとるくらいの直徑だ。それが橫に3つ並んで、左右上下で12個。その中にそれぞれ、計126個の主砲が蔵されている。
「撃(て)ッ」
かざした右手を前へ向けると、閃がモニターを塞いだ。
極太の線が空を焦がして、西へと飛んでいく。山脈をかすめる地平に近い軌道で。
その後は、暫しの靜寂。
「子です。著弾まで時間がある。今のに説明しておくよ。敵は対ゼノス戦の時からこの『混ぜ込み曲砲撃』を想定してたんだ。普通ミサイルとビームを混ぜ込んだらビームがミサイルに接してして終わり、のハズ。けど実地で試して緻に計算してやってきてる。これ、ミサイルが盡きるまで再現可能なんだよ。ミルフィーユ撃、とでも命名しようかな」
彼の聲は続いた。
「現在敵艦隊からの応は無し。もうすぐ著弾の模様。観測したら紅葉ヶ丘學生が生データ送るからね。岸尾さん管理して」
著弾。ドローンからの映像もあった。海面に浮かぶ敵艦隊が、何條ものにボコボコに毆られていく。傾き、船底を見せる艦もあった。
*****
「うっひゃあああ。とんでもねえなあ。これが『雷(ケラヴノス)』っかあ!」
とある戦艦のブリッジ。先ほどの男が騒いでいる。――相変わらずのだらしない座り方だ。
「騒ぐな。実被害は軽微だ」
そう答える初老の男は、しかし、苦蟲を嚙み潰した様な表だ。
「映像來てるぞ? おおお? エグい。しかも手加減されってし」
映像。海面に浮かぶのはコンギラトの集積艦隊だ。カタフニアの巨大砲は艦隊上空で、すだれ花火の様に拡散砲になった。
「直撃半分、殘りは海面に當たってんじゃんか。コレ、敵がわざとそうしてくれた、ってコトだよな」
「舊時代のミサイル駆逐艦もあった。空中浮遊より、海面撃が安定してた」
「空に浮かぶエネルギーケチって撃に回してたんだろ? おかげでホラ、海に著弾したビームが海水沸騰させて、艦隊のビール煮込みが完だ。火が通っちまったろ?」
「シールドバリアは失ったが、直撃はない。調査中だ」
「あ~あ。ついに『炎(カタフニア)』まで出張っちまったしな。アレが敵戦力になる事は、想定してね~だろ。あ~。せめてあの戦艦にイッパツれときたかったなあ。ミサイルを。そしたらあの『戦艦』の素がわかっかもしんなかったのになあ」
*****
「うう‥‥ぐすっ‥‥ふっ」
僕は隔壁縦席(ヒステリコス)で泣いていた。涙が止まらなかったんだ。
「ほらちょっと。君らの方がコイツと付き合い長いんでしょう? 聲かけなよ」
インカムにコーラの聲が聞こえていた。
「‥‥‥‥っスね」「‥‥‥‥うん」
「コーラさん。そっとしてあげてよ。超兵(カタフニア)使うために、暖斗くんは本気で怒ってみせたんだから」
初島さんや來宮さん、桃山さんの聲が聞こえた。
僕は怒りのままに敵を攻撃した。凄まじい力、暴力で。――――でもその後僕の心を襲ったのは、後悔だったんだ。
「ね? 暖斗さん。これでいいのよ。敵は私達を害そうとしてたんだから。ね?」
ソーラさんがそう言ってくれたけど、それでも心は晴れない。
「まあ、人死にが滅多に出ないのが近代戦爭だからねえ。まあ舊時代の人殺し兵を使ってきたのは向こうなんでなあ」
「き、岸尾さん。馴染なんだから何とかならない? は、暖斗くんがこのままじゃ」
「いや~。ウチが何とかできるんならとっくにしてるんだけど。依もいないしな~」
こんな麻妃と浜さんの聲が聞こえてきたけど、まだ僕の心は‥‥‥。
「れてよ。ココ。時間無いからさ」
コーラだった。ハッチから出てきて、僕のDMTを素手でノックしてる。
「何だよ?」と言いながら、思わずこちらもハッチを開ける。
縦席出たら危ないじゃんか? どうせメソメソ泣く僕をイジりに來たんだろ。
そう思ってた。
「暖斗くん」
いきなり抱きつかれた。
「君さあ。なんでそんな泣けるワケ? さっきまで、ミサイル落ちてくるかもだったんだよ? 自分が死ぬかもだったんだよ? ‥‥‥‥なのに君は、病院と依先生の心配しかしてなかったよね? そこにしか怒らなかったよね?」
「え‥‥‥‥っとそれは‥‥‥‥そう?」
「そうだよ。もちろんアタシ達の事も考えてただろうけどさ。護ろうとしてたんだろうけどさ。アンタの怒りは、もっと大きな視點だった。私はびっくりした」
僕の首に巻いたコーラの腕に、ぎゅっ っと力が込められた。
「みんな、自分の事考えるので一杯だったんだ。『え? ミサイル? ヤバ?』って。それで普通。それで一杯のハズなんだよ。‥‥‥‥君は、変なヤツだ」
「‥‥‥‥」
どう返していいか戸う僕に、彼はパイロットスーツから、一枚のハンカチを取り出した。
「アタシは、その変なヤツの涙を拭きにきた」
コーラらしい、不慣れな仕草だった。ぐいぐい目にりそうなハンカチを、僕はけれた。
「‥‥コーラでも、こんなかわいい柄のハンカチ持ってんだな。‥‥‥‥意外」
「‥‥‥‥うっせ。ぶん毆るぞ」
※「コーラさん子っぽいじゃん。意外」と思ったそこのアナタ!!
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