《【書籍化・コミカライズ】無自覚な天才は気付かない~あらゆる分野で努力しても家族が全く褒めてくれないので、家出して冒険者になりました~》4
クロヴィスさんの話が衝撃的すぎて、聞いてからずっと自分の中で消化出來ない。
……だって、フレドさんが……母國に帰らなければならないだなんて。
もちろん、話を聞いて頭では理解している。フレドさんが「多分俺の母親も同じ目を持ってる」と言っていた。その目の不思議な力の原理を、いや仕組みが分からなくても力を封じる事が出來れば。フレドさんの問題も、フレドさんのお母様についての問題も解決する。
々と問題がある人だとフレドさんは言っていたが、クロヴィスさんによると、この「問題」がなかなか看過できないレベルになっているらしい。「兄さんの目を研究したら、王妃の信奉者達をどうにか出來るかもしれない」そのためにフレドさんをミドガラント帝國に呼び戻したい、という話だった。突然になってしまったのも、手紙では詳しく書けなかったのもこのため。
この理由が理由なので、フレドさん自も急な話に戸いながらも、帰國する事自は承諾していた。話を聞いていたし、必要な事だとは私も分かっているけど……。
Advertisement
「リアナ君、大丈夫かい? ぼんやりしていたようだったが」
「……えっ、あ……申し訳ありません、子爵」
「いや、君にしては珍しいと思って。忙しいからかな。十五等級以上の人工魔石も楽しみにしているよ」
「はい……頑張らせていただきます」
本當は、二〇等級までなら作れるような改良はもう出來ている。ただ……ベタメタール子爵とやり取りをしていて、悪い人ではないのだけど、今以上に深いお付き合いをするのに不安をじていて。改良に功した事は伝えていないし、今後も伝えるつもりはない。
人工魔石事業に目を留められた時に、こちらの事は話していた。私が外國の貴族家出である事や、家出をして來た事。実家の干渉があるかもしれない事を含めて、他の貴族からも庇護してもらう事を引き換えにして取引した……はずだったのだが。
私が家を出奔するまでの事を話した時はとても親になって聞いてくれて、涙まで流して……あの時はこの街で暮らしていく事を想像していたのだけれどな。
実際私の家族が來て向こうの話を聞いたらお兄様達の意見に同調する姿勢を見せられて、不信が募って、現在はちょっと信頼が薄れてしまった。街を離れようかな、と考えるくらいには。
でもやっぱりこの街で親しくなった人も多いし、なんだかんだクロンヘイムとは距離があるから家族も早々來られないし。「やっぱりダメだってなったら違う土地に行けばいい」という選択肢を持てたおかげで気持ちが軽くなって、候補地を調べて話の種にするだけで実際住処替えの的な行には移していなかった。でも最近気持ちがかなり揺らいでいる。
「良い話を期待しているよ。それでちょっと、これをリアナ君に見てもらいたいんだけど」
「? はぁ……」
向かい合って座るローテーブルの上に出された革張りの臺紙を開くと、中には男の人の寫真とがあった。殘り二つも、同じような高級さをじる裝丁の革張りの臺紙に、同じように男……いや年の寫真が納められている。
見てもらいたいと言うから見てみたが、これの意味するところが分からず、私は答えを求めて子爵の顔に視線を戻した。
「ええと……これは」
「リアナ君のお見合い寫真だよ」
フレドさんの話もまだ消化しきれていない所にまたすごい衝撃が來て、直してしまう。「ベタメタール本家から來た話で」「この子は分家だけどリアナ君と年も近い」と語る子爵の言葉が耳を素通りしていく。
「あの……! 子爵、……貴族が囲い込もうとしてくるだろうけど、それから守ってくださるという話で……後援になっていただいたんですよね?」
「そうだね。でもリアナ君の親が強く出てきたのもあって、やはり『庇護している錬金師』というだけでは弱い」
「そんな……約束と違います」
「おや、婚約者や將來を誓い合った人でも?」
いない、と言いかけた私は一瞬躊躇した。いると噓を吐いたらこの場を上手く切り抜けられるだろうか。そうじゃなくても、こんな知らない人と結婚するなんてやっぱり嫌だし。もし私が……。
パッと頭に浮かんだのはフレドさんの顔で、私は慌てて頭を振ってその思い付きを追い出した。
だ、男で親しい人ってフレドさんくらいしかいないから、思わず浮かんじゃっただけで。私は自分の中で誰も聞いてない言い訳をした。
「リアナ君、ベタメタールの本家の力も借りるには『』くらいの名分はないと難しいんだ。私個人的には全面的に力になりたかったのだが。力がある家だからこそ、ふるうには正當な理由が……リアナ君も貴族の家で育ったのなら分かるだろう?」
言ってる事は、理解は出來る。
人工魔石事業がかなりの利益を生み出すと分かった時から、こうした外野からの干渉は起きるだろうと分かっていたから。
確かに「ただの、庇護しているだけの錬金師」を強固に守り続けるのは「婚姻」という手段でにしてしまうよりも難しいだろう。でもその、他の貴族や実家の手を退けてもらう面倒のために、ベタメタール家にかなり有利な契約を結んだのに。
「……今日すぐ決斷できる話ではないので、持ち帰らせていただけますか」
「ああ、もちろんだとも。三人とも素晴らしい人だが、よく考えて決めてくれたまえ」
その後も言質を取られないように注意深く會話をして、なんとか切り上げた。子爵家の魔導車でホテルに送られる最中も、どんよりした気分が続いている。
……どんどんこちらへの要求が強くなっているのはじていた。軽んじられている、と言えば良いのだろうか。子爵の奧様が、「押しの強い人の言葉にすぐ流されるから、私の頼みはいつも後回しにされる」と恨めしげに言っていたのを思い出す。古くから付き合いのある親戚、というだけでゴード一家を優遇して、周囲の人が割を食っていたのもそう。
婚姻や養子という手を使わず他の貴族から守ってしいという私の要求は、あの時の子爵はけれてくれてはいたんだと思う。でも他の聲の大きい人に強く要求されて、無理を通しやすい私の方に譲歩させる事にしたんだろうな。
表彰式も、私は目立つのが嫌だから遠慮したかったんだけど、「もう返事をしてしまったんだ、私の顔を立てると思って」って言われて頷く事になってしまったし。まぁこれは、最後まで斷り切れなかった私が悪いのだけど。
現在の人工魔石の事業を売り渡す契約が済んだら、やっぱり私達もこの街を離れた方がいいな。子爵は、私が十五等級以上の人工魔石の開発に盡力するために、私の手がなくなっても問題のなくなった工場の経営を手放すのだと思っている。フレドさんからもらったアドバイスで、そう思われるように導出來ていて本當に良かった。引き留められずにスムーズに事業引継ぎが出來たし。
……この街は好きだったんだけどなぁ。
フレドさんが國に帰らなきゃいけない事も、私の方も出來るだけ早く街から逃げ出した方が良さそうな面倒事がまた起きてしまったのも、考えれば考える程気分が重くなっていた。
ヤメロ【完】
他人との不必要な関わりや人混みが苦手ということもあり、俺はアウトドア全般が昔から好きではなかった。 そんな俺の唯一の趣味といえば、自宅でのんびりとホラー映畫を鑑賞すること。 いくら趣味だとはいえ、やはり人が密集する映畫館には行きたくはない。それぐらい、外に出るのが好きではなかったりする。 だが、ある映畫と偶然出會ったことでそんな日常にも変化が訪れた。 その映畫の魅力にすっかりとハマッてしまった俺は、今では新作が出る度に映畫館へと足繁く通っている。 その名も『スナッフフィルム』 一部では、【本當の殺人映像】だなんて噂もある。 そんな噂をされる程に上手く出來たPOV方式のこの映畫は、これまで観てきたホラー映畫の中でも一番臨場感があり、俺に最高の刺激とエンタメを與えてくれるのだ。 そして今日も俺は、『スナッフフィルム』を観る為に映畫館の扉を開くーー。 ↓YouTubeにて、朗読中 https://m.youtube.com/channel/UCWypoBYNIICXZdBmfZHNe6Q/playlists ※ 表紙はフリーアイコンを使用しています 2020年4月27日 執筆完結作品
8 97私は、海軍最強航空隊のパイロットだった
初陣の真珠灣攻撃を皮切りに、各戦線で勝利を挙げていた、帝國海軍最新鋭の空母「瑞鶴」(ずいかく)。 世界最高の艦、航空機、搭乗員を集めた「瑞鶴」は向かう所敵なしであった。 しかし、次に補充されてきた搭乗員は、とんでもない「ド素人」だった! これは、世界最強の戦闘機に命をかけて戦った少年少女たちの物語である。 本作は小説家になろうでも公開しています。
8 105異世界は現実だ!
闇サイトに登録した主人公は厳正な審査の結果?、異世界に飛ばされ絶望的な狀態からたくさんの人々と出會い個人最強、ギルド最強を目指していく、主人公成長系物語! 〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜 「異世界は現実だ!」を開いて頂いてありがとうございます!竹華 彗美です! 進むのが早いところがあり説明不足なところ、急展開な場所も多いと思います。溫かい目でご覧下さい。 フォロー220超えました!ありがとうございます! いいね550超えました!ありがとうございます! 二萬回PV達成!ありがとうございます! 〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜 18時に更新しています。 質問や疑問などもコメント欄にて受け付けています。 現在一話からの誤字脫字の直し・內容の矛盾の訂正・補足説明などの修正をさせて頂いております。それでも見落としがあると思いますので気軽に教えて頂けると嬉しいです。11/18 読者の皆様、いつも「異世界は現実だ!」をお読み・フォローして頂きありがとうございます!作者多忙で更新が遅くなっています。ゆっくり長い目で見て頂けると嬉しいです。これからもよろしくお願いします! 〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜 「小説家になろう」でも掲載を始めました。 Twitter投稿始めました。 @takehana19
8 82魔術がない世界で魔術を使って世界最強
現代に生きる魔術師日伊月彌一は昔、魔術師にとって大事な目の右目を失い戦闘魔術師の道をあきらめ、亡き父が殘した魔術に科學兵器を組み込んだ”魔動器”の開発・研究を行っていた。 ある日、突如教室に魔方陣が浮かび上がり、気がつけばそこは異世界だった!? 困惑の中、話し合いの末、魔王軍との戦爭に參加することになり、ステータスプレートと呼ばれるもので潛在能力と職業をしる。 彌一の職業は”魔術師” それは魔術に対して大幅な補正が掛かるとゆうものだのった。 「この職業を伸ばせば俺は昔の俺に戻れる。いや昔を超える魔術師になれる!!」 と喜んだが、 「魔術とは?」 「・・・え?」 なんとこの世界には魔術をいう概念が存在しない世界だった!! そんな中初めての訓練の最中、魔王軍の奇襲を受けてしまい彌一は世界の6大古代迷宮のひとつに飛ばされてしまった。 大迷宮を攻略するため迷宮の最深部を目指す中、迷宮の中で一人の少女と出會う。 ーーーー「あなたも私を殺しにきたの・・・」 これは、魔術がない世界で現代の魔術師が世界中の大迷宮を旅しながら、嫁とイチャイチャしたり、可愛い娘や美人エルフの従者と出會い、世界最強の魔術師を目指す物語である。 週一回のペースですが、最近は遅れ気味です。出來次第更新していくつもりです。暇なときにぜひ!評価、感想どしどしお待ちしています! ツイッターもやっているのでよければフォローよろしくお願いします!
8 183究極の捕食者 ~チート融合スキルで世界最強~
七瀬素空(ななせすぞら)が所屬する3年1組は、勇者スキルを持つ少女に巻き込まれる形で異世界に召喚される。皆が《炎魔法》や《剣聖》など格好いいスキルを手に入れる中、《融合》という訳のわからないスキルを手に入れた素空。 武器を融合させればゴミに変え、モンスターを融合させれば敵を強化するだけに終わる。能力も低く、素空は次第にクラスから孤立していった。 しかし、クラスを全滅させるほどの強敵が現れた時、素空は最悪の手段をとってしまう。それはモンスターと自分自身との融合――。 様々なモンスターを自分自身に融合し自分を強化していく素空は、いつしか最強の存在になっていた――。 *** 小説家になろうでも同様のタイトルで連載しております。
8 96ぼくには孤獨に死ぬ権利がある――世界の果ての咎人の星
1990年の春、地方都市の片隅で鬱屈した日々を送る普通の女子中學生、永田香名子の前に現れたのは、ハヤタと名乗る宇宙人の家政夫だった。奇妙な同居生活の中で二人は惹かれ合うが、異星の罪人であるハヤタが、科せられた〈情緒回復計畫〉を達成し、罪を贖う時、彼は殘酷な刑へ処せられる運命だった――。リアリズム、ファンタジー、SFが交差する作風で、ひとりの女性の數奇な人生を1990年から2020年まで追い続けた、異色のゴシック・ロマンス小説、決定版にして〈完全版〉!
8 134