【1】

今日もまた、実況外のプレイの録畫が始まっていく。いつものように銀髪の狐をモチーフにしたアバターは、尾をゆらゆらと揺らしながら姿勢を正し……何かを眺めていた。

「うーん、これはどうしましょうかねー？」

いきなり何か悩み始めてるけど、見てる人には何に悩んでるかが伝わらないから！　視聴者さんには見えない報を見ながら悩むのは止めようか！

「まぁ順番に悩んでても仕方ないですね！　明日の分は決めたし、とりあえず実況外のプレイを……あ、もう録畫開始になってた！？」

慌て始めるサクラだが、録畫が始まっているのに気付いていなかったようである。いや、正確には録畫を既に始めていた事を忘れていたというべきか……。自分で作してるんだから、そこはしっかりと把握しておこう？

ちなみにサクラが悩んでいたのは、明日のケーキ屋のソフトクリームの次にどの宣伝にするかという容である。宣伝をするという事までは言ってはいるが、的に何を宣伝するかまでは今言う訳にもいかないので、視聴者さんへその容は伝えられないのだ。

何故それを今確認していたか、そこが問題ではあるけども。まぁ単純に言えば、実況外のプレイを始める前に姉のサツキに明日ソフトクリームの宣伝をすると伝えたら、つい先ほどそのアイスクリームを含め、メンチカツと団子の寫真が追加で送られてきたからである。

「ごほん！　今、悩んでた部分は気にしないでください！　ともかく、実況外のプレイ開始です！　今日はライオンの育の続きをやっていきますよー！　湖の中へと進出です！」

誤魔化すように強引に、サクラはモンエボを起し、ライオンを選択して続きを始めていく。ミスした自覚があるならば録畫をし直せばいいのだが、どうしてこうもそのまま続けようとするのやら？

【2】

慌てた狐っ娘アバターから水への適応進化を終えたライオンへと作が切り替わり、舞臺も和室から大きな湖の畔へと切り替わっていく。ゲームの時刻はまだまだ夜中の半分も過ぎていない為、周囲は暗いままである。

雷への適応進化で常に電気を纏い、僅かにだがっていたライオンが照らす事もなくなっている。とはいえ、『夜目』の効果が大きい為、夜だからといって現実のように真っ暗という事もない。

「さーて、それじゃ湖の中に出発です！　まずは、真珠を採りに行きましょう！」

水への適応進化を終えた際に、その最中で見かけた真珠が手にる可能のある貝の場所の位置は聞いていた。雷への適応進化に戻す際に、水の適応進化を保存する為に必要になるのものだから、可能ならば早い段階で手にれておいた方がいいだろう。

「……あれ？　あの貝、どっちの方向で、どのくらいの距離でしたっけ？」

おいこら！？　そこって何気に重要な部分なんだけど、それを忘れちゃう！？　ただでさえ、その手のものを見つけるのが苦手なのに、位置が分かっているという絶好の機會を逃す気か！？

「えーと、えーと！？　ちょっと待ってくださいね！　しっかり思い出すので、し時間をください！」

開始早々、大事な報を思い出す為にきが止まるサクラであった。……それほど時間がある訳じゃないのに、こういう止まり方をして大丈夫なのだろうか？　やっぱり視聴者不在でサクラ1人だと、変な方向に突き進んでいくな！？

【3】

しばらく、悩み顔が続く狐っ娘アバター。相変わらずの表のかさである。

「あ、思い出しました！　ここから南で、そこそこ進んだ距離だったはずです！」

し思い出すのに時間を必要とはしたけども、過剰に時間を使い過ぎない程度で思い出してくれたようで何より。微妙に距離の方は思い出せていないけども、まぁ方角が分かっていれば……なんとかなると思いたい。

「それじゃ改めて、出発していきますよー！　『索敵』『見切り』『弱點分析』『看破』！」

いつもの移中の定番スキルを発して、湖の水へと向かって畔を走り出すサクラのライオン。一応、々とやる事はあるのだが、この実況外のプレイでどれだけの目的を達出來るかは……まだ分からない。

「真珠、あればいいんですけどねー」

あの真珠は貝に必ずっている訳ではないので、場所が分かったとしても手にるかどうかはサクラの運次第。無事に一度見つけた貝の元へと辿り著けても、必ずしも手にるとは限らないのである。

「まぁその辺はなるようになれですね！　湖にあとしで辿り著きますし、ちょっとこれをやってみましょう！　『水化』！　わわっ！？　ぐふっ！」

配信中では転ばなかったのに、何故2回目の発の時に転ぶ！？　あぁ、全然慣れていないのに、走りながら発してしまったからか。別に勢いは既についている狀態だから、バランスさえ保てればそのままの勢いでっていけるのだけど……そのバランスを保てなかったようである。

配信中に期待されてた転ぶ事を、今ここで期待に応える必要もなかったんだけど、まぁ意図してやってはいないのがサクラらしいところか。そもそも、陸地ではきにくいと分かっていたはずなのに、なぜ使った？

「……むぅ、これ、バランスを取るのが難しいですね？　起き上がりにくいですし……あ、でもそのままってます？　折角なんで、そのまま行きましょう！」

『水化』の使用で腳が水と化しているので、地面では踏ん張れなくなっているのだから起き上がるのは難しいのは仕方ない。仕方ないけど、転んだままの狀態で勢い任せにり続けていくので良いのか？　まぁ真橫に倒れた訳じゃなく、前後に腳をばしたような形で転んでいるからこそ進めてはいるけども……。

「走ってるじじゃないですけど、これはこれでいいですね！　いやっほー！」

不思議な挙でって……なんというかライオン型のソリみたいなきだけど、まぁ張本人のサクラが楽しそうだから問題はないか。もうしで湖の水まで到著するし、そこからどうなるかが見である。

【4】

湖畔の陸地を変な勢でりながら、サクラはもう間もなく湖面へと突する。さて、ここでし問題があるのだが……サクラはそこをどう切り抜けるのか。

「湖の水へ到著です！　このまま水中へ突ですよー！　……って、あれ？　なんか水面をそのままっていってるんですけど！？」

そのまま水中へとっていくと思っていたようだが、配信中に言われた事はすっかり忘れているんだろうなー。その狀態では『水面も普通に走れる』という事を。ライオンの腳が水と化しているけども、それ以外にも水掻きも出來ている事を完全に忘れ去っているようだ。

「え、なんで水中にれないんですか！？　わっ！？　るのは止まったけど、水面に普通に立てるんですけど！？　えぇ！？　どうやって水中にればいいんですかねー！？」

思ったようにならなくて、盛大に混中のサクラであった。使う場所によって大きく移の方法が変わってくるのが『水化』というスキルの大きな特徴なのだが……ツッコミ役の視聴者不在の実況外のプレイで使うのは失敗だったか。

「あ、そういえば水掻きが出來てるんでした！？　これで水面に立てるって凄いですね！？」

まぁライオンの腳全てに水掻きがあったところで、その重を支え切れるものではない。だが、これはあくまでもゲームなので、そこら辺はツッコミをれても仕方ない部分でもある。むしろ、サクラの行の方がよっぽどツッコミどころが満載だしね！

「……これ、もしかして、立ってるから駄目なんですかねー？　ちょっとこの狀態で橫になってみて……わっ！　沈みました！？」

ただの思い付きでやってみただけなんだろうけども、水面に立った狀態から水中へと潛る手段としてはそれで正解である。腳の水掻きが支えとなっているので、それが全て水面へと接しない狀態へと変えれば、そのまま水中に落ちていく。

「おぉ！　水中なのに、陸地を『疾走』してるじ……って、わー！？　同時に疾走も使えるんです！？　ちょ、速過ぎないですかね、これ！？」

水中を陸地と同じような覚で走り始めたら、誤って『疾走』を発してしまったようである。まぁ移速度を上げるスキルを同時に2つ使用しているのだから、移が速くなるのは當然の結果だ。

「うーん、まぁこのまま行きましょうか！　まずは真珠の確保からです！」

『疾走』の効果が出たままでサクラは先に進む事に決め、周囲に見えている魚や水棲の敵をスルーしていく。まぁ時間は有限なのだから、優先順位を決めて進んでいけばいいだろう。

「むぅ……相変わらず、作者さんのツッコミが多いですね！」

「……ツッコミどころが多過ぎるのが原因なんだけど？」

「いやー、水中をけるっていいですね！」

「骨に話題を変えたね！？」

「ふふーん、水への適応進化も良いものです！」

「こっちの話をまるで聞く気がないね？」

「この調子で実況外のプレイ、頑張ってやっていきますよー！」

「サクラはまともに會話する気ないみたいなので、宣伝！　明日、２月１８日よりあっちの電子書籍版の第１０巻が発売です！」

「わー！？　別の話になり過ぎじゃないですかね！？」

「サクラが自分勝手にし過ぎるからだけど？」

「それとは関係なく、あっちの宣伝はちょいちょいあるじゃないですか！？」

「うん、それは否定しない。なろうでの連載って本當に１円にもならないんだから、しくらい宣伝させて」

「むぅ……私の方の電子書籍化はどうなってますか！？」

「……どこからどう著手したものか悩んでてね？」

「そんなに悩む事なんです！？」

「うん、悩む事だよ。時間は有限だし……SNS回を電子書籍でレイアウトを崩さずに用意するのとか、全も縦書きに直すとなると……調整がね」

「あ、大真面目に悩んでそうなじです！？　容はよく分かんないですけど！？」

「集中力が無限に続く訳じゃないから、中々作業の追加は大変でね」

「むぅ……それは確かにそうかもですけど……」

「まぁなんとか形に出來るように頑張ってはみるけど……いつになるやら」

「そこは作者さんの頑張りに期待です！」

「さて、その話題はこれくらいにして……次回は『第４８５話　実況外の探検録　Part.25』です。お楽しみに！」

「次で第１３章は終わりです！」