《【書籍化】誤解された『代わりの魔』は、國王から最初のと最後のを捧げられる》84 ギルベルト宰相とビアージョ騎士団総長 2

まるで許しを請うかのように平低頭するギルベルト宰相を見て、彼は一どうしたのかしらと疑問を覚えた。

フェリクス様が相手であっても、宰相は今まで1度だって、委したりへりくだったりしたことはなかったのに。

「フェリクス様、私の表は恐ろしいかしら? あるいは、ドレスが暗いをしているから怖く見えるのかしら? 宰相が私を恐がっているように見えるのだけど、理由が分からないの」

ギルベルト宰相の振る舞いの理由が分からなかったため、隣にいるフェリクス様に小聲で尋ねる。

すると、フェリクス様は無言で私を眺め回した後、ゆるりと首を橫に振った。

「いや、君はいつも通り可らしいよ。ギルベルトは君を恐れているのではなく、君の神々しさに打たれて、恐れったのじゃないかな」

「フェリクス様……」

真剣に尋ねているのだから、真剣に答えてほしいのに、冗談で返されてしまった。

それなのに赤くなる私は、どうしようもないわね。

私は気を取り直すと、もう1度宰相に向き直り、頭を下げ続けている彼に聲を掛けた。

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「ギルベルト宰相、私を目にするのが苦痛ならば、そのままの姿勢でいてちょうだい。でも、そうでないのならば、顔を見て話をすることはできるかしら?」

宰相はびくりとを跳ねさせると、素早く顔を上げた。

それから、私の言葉を聞く姿勢を見せたけれど、目線は下げたままだった。

どうして私と目を合わせられないのかしらと疑問が湧いたけれど、これが宰相の一杯ならばれようと思い、2人に向かってお禮を言う。

「お忙しい中、來てくださってありがとう。どうしても一言お禮が言いたくて、お二人をお呼び立てしたの」

けれど、私の言葉を聞いたギルベルト宰相は、驚いた様子で伏せていた目を上げた。

それから、理解できない難しい話を聞いているような表を浮かべる。

同様に、ビアージョ総長も眉間に皺を寄せて、難しい表を浮かべた。

「私が魔であることは聞いているかしら? そのために、つい最近までずっと眠っていたことも。……王妃の立場のまま、私は10年間も眠ってしまったわ。そのことで各方面にご迷をお掛けしたはずよ。そして、その際に1番の被害を被ったのは、文と武のトップであるあなた方だわ。だから、私が不在の間、フェリクス様を助力してくださったことにお禮を申し上げたくて。ギルベルト宰相、ビアージョ騎士団総長、どうもありがとう」

そう言って軽く頭を下げると、ギルベルト宰相とビアージョ総長は2人同時に立ち上がった。

それから、宰相は耐えられないとばかりに悲鳴のような聲を上げる。

「王妃陛下、どうかお止めください! お願いですから、どうか私を罵ってください!! 私はあなた様にお優しい言葉を掛けてもらえるような立場にはありません。そして、そのような謝の言葉をけ止める強さはありません」

一方、総長は顔を強張らせると、かすれた聲を出した。

「ルピア陛下、どうかそれ以上はご勘弁ください」

「……えっ?」

やっぱり今日の私はどこかが違っていて、恐ろしさをじさせるのだろうか。

宰相と総長の2人が顔を青ざめさせて、これ以上はもう1言だって私の言葉を聞きたくないと、全で示してきたのだから。

2人がそのような態度を取る理由が分からなかったため、もう1度フェリクス様に頼ることにする。

「フェリクス様、お2人は私の言葉を聞くのが堪えがたい様子だけど、私はお禮を言っただけよね。特に酷いことを言ったつもりはないのだけれど、何がよくなかったのかしら」

フェリクス様は困ったような表を浮かべた。

「全く酷くないことを言ったのが、よくなかったのだろうね。君は憤慨して、彼らを罵倒すべきだと思うよ。ギルベルトもビアージョも自分の罪を理解している。そして、相応の罰をけることをんでいる。だから、正反対のものを示されることに耐えられないのだ」

ギルベルト宰相とビアージョ総長の罪とは何のことかしら、と思ったけれど、質問をするより早くフェリクス様が言葉を続ける。

「ねえ、ルピア、人のは怒りや悲しみを溜められるようにはできていないんだよ。だから、無理をして溜め続けていると、に不調がでてくる。あるいは、怒りや悲しみが濃くなり過ぎて、の全てを支配されてしまう。だから、正しく外に排出することが必要なのだ」

フェリクス様の発言には、私への思いやりが込められていたため、私はふっと笑みを浮かべた。

そんな私を、フェリクス様は心配しているかのような表で見つめる。

「腹立たしかったことは腹立たしかったと、悲しかったことは悲しかったと、相手にきちんと言葉で伝え、すっきりしてしまわないと、いつまでも悶々として苦しむだけだ」

「そうかもしれないわね」

でも、私は呑み込むことができるのよ。

悲しくて、苦しいことがあっても、お腹の中に呑み込んで笑っていると、だいたいのものは消えてなくなるのだ。

「宰相と総長が私に対して何らかの罪を犯したがため、私が悲しんで、苦しんでいるのではないかとあなた方は心配しているのね?」

頷くフェリクス様に、私はさらに質問する。

「そう。それで、……お2人の罪はどのようなものかしら?」

3/7(火)にノベル1巻が発売されることになりましたので、お知らせします。

なな何と、喜久田ゆいさんにイラストを描いてもらいました!!!

全てが幻想的で、ものすっごく素晴らしいです。あまりの麗しさに、私は心臓を撃ち抜かれました。

表紙の素晴らしさは裏面まで続き、きりりと凜々しいバドがいます。

そして、モノクロイラストの全てが最高に可らしくて垂涎ものです。

〇WEB掲載分

的に加筆修正しました。読みやすくなったと思います。

〇加筆分

1 『寶ガーデン』と『フェリクス様の味』

「私にとって、『王妃』は『寶』ということなのだが……さすがに、このことが世間に知られるのは恥ずかしいな。だから、ここだけのだぞ」

フェリクス様が口にしているのは、私がいないと思って発言された言葉ばかりだというのに、実際には隠れた私が全てを聞いているのだ……。

2 【SIDEフェリクス】朝も晝も夜も、君と幸せを

ああ、彼が可い。はにかんだように微笑む彼らしく、その薔薇の頬を齧りたくなる。レストレア山脈の積雪のように輝く白い髪に指を絡め、口付けてみたくなる。なのに、彼は私の心など欠片も知らず、のような純粋さで見つめてくるから……。

私は激のままに彼を貪ることなく、大切に、大切に、優しくしようと思う。

3 可い弟妹との約束

「おねーさま、おきてるー?」

コンコンと小さなノックの音に続いて、可らしい聲が響いた。夜も遅い時間だったため、急いで扉口まで歩み寄って扉を開ける。すると、大きな枕を持ったハーラルトとクリスタが立っていた。

4 アスター公爵イザークと代わりの魔

イザークはじとりと私を見ると、ため息をついた。

「ルーは殘酷だよね。君が早々にお相手を決めるから、僕があぶれちゃったんじゃないか」

「まあ、イザークならば世界中のどんなの手でも取れるわよ! 私1人くらいいなくても、候補者はたくさんいるのだから、何の問題もないわ」

「僕は好みがうるさいんだよ。お人好しで、疑うことを知らない、1人では生きていけないようなお姫様が好きなんだ」

全てのイラストが素晴らしく、隅から隅までデザインが凝っていて、とびっきりの1冊になりました!!

お手に取っていただき、楽しんでいただけると嬉しいですo(^-^)o

どうぞよろしくお願いします!!

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