《【書籍化&コミカライズ】勇者パーティーを追放された俺だが、俺から巣立ってくれたようで嬉しい。……なので大聖、お前に追って來られては困るのだが?》274.殘念パウリナ
274.殘念パウリナ
~Sideアリアケ~
俺とブリギッテはキング・オーガを圧倒して1時間程度経過した。
既に部屋に戻って臨時の指揮を取っている。ただの宿屋が即席の指令室である。
「管轄外なのだが……」
俺の場合、稱號が複雑で、オールティ王國の國王なので王族でありつつ、魔王國の辺境伯でもある。しかし、ここ【エンデンス大陸】最南端の海辺の街『バンリエ』はグランハイム王國なので管轄外なのだ。したがって、俺の出る幕はないはずなのだが。
「何だか自然とアリアケ君を筆頭に指揮系統が出來上がりましたね。でもお姉さんもそれが一番早いと思います!」
「いつまでも神や救世主に頼るのもどうかと思うんだがなあ」
だが、確かにキング・オーガ10が魔大陸より襲來する事態に対して、指揮を取れるのは俺くらいのものだろう。
と、そんなことを考えていると、廊下からの聲が響き渡ってきた。
「ひいいい‼ こ、殺さないで下さい! 私は一介の農家の娘なんです! お芋ならいくらでも差し上げますから! はひ! はひ!」
Advertisement
「いやいや。アリアケ王の元にお連れするだけだから。頼むから一人で歩いてくれよ」
「王様⁉ いやですう! やっぱりギロチンにされるおつもりなんですね! そんなことしなくても私は簡単に死にますよ!」
「生きたいのか、死にたいのかどっちなんだよ。それよりほれ、著いたぞ?」
「ほえ? し、しかし、王様が住まうには何とも普通の宿屋。こんなところでギロチンが執行できるとは思えません。ああ! あれですか、毒をあおらせるつもりなんですね! どうかお許しください~。本當に農家なんです。スパイとかじゃないです~」
そう言って、俺の前に腰を抜かしたせいで、兵士が肩を貸す形で連れてこられたピンクの髪を長くばしたは、迷そうな顔でその兵士が去ると、やはりフニャフニャとクラゲのように地面にへたりこんだ。
「君が巖場で気絶していたというか。大丈夫だったか?」
「ひぃ! あなたは一⁉」
「俺はアリアケ・ミハマだ。こっちはブリギッテ・ラタテクト。君は?」
「パッ! パウ! パパパアババパウリナでぃえす‼ し、死刑ですか⁉」
「どれが姓で、どれが氏で、どこが名だったのか分からなかったが、死刑する予定はないのでとりあえずそのクラゲ狀態から復活して、話を聞かせてもらえるか、アババパウリナディエスよ。事態は一刻を爭うみたいでな」
「違いますよ、アリアケ君。どこで區切ってるんですか。パウパパパアババさんですよ?」
「し、死刑はないんですか! 良かった! 天國のお父さんお母さんありがとう! パウリナは今日も生きられそうです!」
「パウリナ、あのキング・オーガたちだが、魔大陸にのみ住むモンスターだ。もちろん例外的に発生することもあるんだが、こちらの大陸では十も発生することはない。君があれを連れて來たのか?」
「パウリナさんって言うのですね。名前を間違えて失禮しました。それであのキング・オーガ十を引き連れて、この大陸を躙されに來たとかではないんですよね?」
「わ、私にも分からないんです。私はずっと魔大陸の【ビルハ】という村で生まれ育ちました。本當に何の変哲もない農家です。そんな村に突然キング・オーガがせめて來て、咄嗟の判斷で海辺の舟を漕いでこの大陸へ逃げて來たんです。本當なら霧のカーテンと呼ばれる結界があるので、こちらの大陸に來れるのは、力の弱い人間やモンスターだけのはずでした。なのに、キング・オーガたちは全員海の底を歩いてしつこく付いて來たんです。死んだと確信しました!」
「諦める時の勢いが半端ないだな、君は」
「ねえ。今までいなかったタイプなのでし庇護が湧きますね」
「まぁ、それで上陸して逃げていた時に巖場でバナナの皮でって転んで失神したわけだな。そこに俺たちが偶然到著したわけか。本當に他に心當たりなんかは無いのか?」
「ス、スパイじゃないんです~。なんでも吐きますからお助け下さい~」
「別に疑ってるわけじゃないというのに。まったく。ん?」
と、そこで俺はグシュグシュと半べそをかいているパウリナの元を見て言う。
「パウリナ、その元の紋様だが、それは何だ?」
「わ、私にはくびれもなく、む、も。ううううううう! もないです! の魅力の欠片もないなんです! ああ、キング・オーガ相手だけでなく、王様と王妃様にまでこんなことを言わせられるなんて……」
「アリアケ君も年頃ですものね。アリシアさんだけでは満足ではないと?」
キラリ! とブリギッテの瞳が素早くる。
「新婚でラブラブじゃい」
「まぁ樸念仁も卒業ですね」
「ああ、さすが王様ですね。目の前のしい王妃様の他にも、何人も何人も妃様をご結婚をされているんですね。私には預かり知らぬ世界ですね……」
「あー、もう違う違う。その元の紋様。どこかで見たことがあるというか。何かに似ている気がしてな」
その紋様は楕円の環っかにいくつかの楔のようなものが付いている不思議な形狀をしていた。
「あー、これは生まれた時に火傷しちゃったらしくて。それでついたらしいです」
「そうか。変なことを聞いて悪かったな」
「いえいえ。これで減刑されると思えば、どんな話でもしますから」
「いい加減誤解があるようだが、俺は別にお前を取って食おうとしている悪徳領主などではないんだが……」
俺がそうぼやいた時である。
「アリアケ王! 大変です!」
伝令兵の急報が響いたのだった。
【小説・コミック報】
コミック第3巻、ノベル第6巻が2023年3月7日 発売予定です!
小説・コミック共々大人気です。支えてくれた皆さん本當にありがとう!
ご予約頂けると嬉しいですが、<無料>試し読みだけでも、ぜひぜひご一読くださいませ(o*。_。)oペコッ
https://magazine.jp.square-enix.com/sqexnovel/series/detail/yuusyaparty/
◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆
【1st anniversary記念PV】
SQEXノベル1周年記念に、PVを作頂きました。
https://youtu.be/iNAobmIPNhk
CV:井上 喜久子さん・保志 総一朗さん
公開中!!
◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆
【応援よろしくお願いします!】
「面白かった!」
「続きが気になる、読みたい!」
「アリアケとブリギッテ、殘念パウリナは一この後どうなるのっ……⁉」
と思ったら
下にある☆☆☆☆☆から、作品への応援お願いいたします。
面白かったら星5つ、つまらなかったら星1つ、正直にじた気持ちでもちろん大丈夫です!
ブックマークもいただけると本當にうれしいです。
何卒よろしくお願いいたします。
【コミカライズ&電子書籍化決定】大好きだったはずの婚約者に別れを告げたら、隠れていた才能が花開きました
***マイクロマガジン社様にて、コミカライズと電子書籍化が決定しました!応援してくださった皆様、本當にありがとうございます。*** シルヴィアには、幼い頃に家同士で定められた婚約者、ランダルがいた。美青年かつ、魔法學校でも優等生であるランダルに対して、シルヴィアは目立たない容姿をしている上に魔法の力も弱い。魔法學校でも、二人は不釣り合いだと陰口を叩かれていたけれど、劣等感を抱える彼女に対していつも優しいランダルのことが、シルヴィアは大好きだった。 けれど、シルヴィアはある日、ランダルが友人に話している言葉を耳にしてしまう。 「彼女とは、仕方なく婚約しているだけなんだ」 ランダルの言葉にショックを受けたシルヴィアは、その後、彼に婚約解消を申し入れる。 一度は婚約解消に同意したものの、なぜかシルヴィアへの執著を隠せずに縋ってくるランダル。さらに、ランダルと出掛けた夜會でシルヴィアを助けてくれた、稀代の光魔法の使い手であるアルバートも、シルヴィアに興味を持ったようで……? ハッピーエンドのラブストーリーです。 (タイトルは変更の可能性があります)
8 121【書籍化】誤解された『身代わりの魔女』は、國王から最初の戀と最後の戀を捧げられる
【書籍化準備中】 秘密だけれど、ルピアは世界でただ一人の魔女だ。『相手の怪我や病気をその身に引き受ける』魔法が使える。そんな彼女は、初戀相手であるフェリクス王と結婚することになった。 彼のことを一途に思うルピアに、フェリクス王も魅かれるけれど……誤解から、彼女が裏切ったと考えて冷たく當たってしまう。 ルピアはそんな彼の命を救い、身代わりとなって深い眠りについた。 「……ルピア。君が私への思いを忘れても、私はずっと君を愛するし、必ず君を取り戻すから」 夫のことが大好きな妻と、妻のことがもっと大好きな夫の話。 あるいは、長い片思いで息も絶え絶えになった夫が、これでもかと妻を溺愛する話。
8 193エルティモエルフォ ―最後のエルフ―
普通の高校生、松田啓18歳が、夏休みに海で溺れていた少年を救って命を落としてしまう。海の底に沈んで死んだはずの啓が、次に意識を取り戻した時には小さな少年に転生していた。その少年の記憶を呼び起こすと、どうやらここは異世界のようだ。もう一度もらった命。啓は生き抜くことを第一に考え、今いる地で1人生活を始めた。 前世の知識を持った生き殘りエルフの気まぐれ人生物語り。 ※カクヨム、アルファポリス、ツギクルにも投稿しています。
8 108天才と煩悩
小さい頃から天才と稱されていた泉信也 怪我によって普通へと変わってしまう そんな泉信也にある出來事をきっかけに 自分への考えなどを変える 新たなスタートを切る泉信也 そんな中、煩悩であった木下と出會う 天才と煩悩の二人が協力し兇悪なテロリストに向かう 天才と煩悩が作り出すストーリー 初めての小説です 掲載は毎週月曜日更新です よろしくお願いします
8 132僕の日常生活は終わってる。
土田端町に住む平凡な高校生、原野守。その家に突如、美少女のルナがやってきた! その日から僕の平凡な生活が少しづつ変化していき… 平凡な生活がしたい守、楽しく日常を過ごしたいルナの2人による少しHで愉快なラブコメが今始まる!
8 99あの日の約束を
人はとても不安定で不確かな存在だ。同じ『人』でありながら1人1人に個性があり価値観の相違があり別々の感性を持ち合わせている。 十人十色。この言葉は誰もが知っている言葉だろう。同じ人間でも好きなこと、考えていること、やりたい事は皆別々だ。 あるところに1人の青年がいた。彼は幾度となく失敗を繰り返していた。どれだけ努力しても変わらない自身に苛立ち、焦り、絶望し、後悔した。 しかしその度に支えてくれる人たちがいた。辛い時に側にいてくれる家族、何も聞かずいつものように明るい話題を振ってくれる親友、不慣れな自分をフォローしてくれる仲間。そんな優しい周りの人たちに言葉では表せない感謝を感じていた。 これは1つの願い……1つの願望だ。自身のため、周りの人たちの支えを忘れないために彼は心の中の想いを一冊のノートに書き並べる。いつかその想いを言葉にだすことを思い描いて。自分自身へ、そして自分を助けてくれた人たちへの約束を。 しかしある日、彼は願いを果たす前にこの世を去ってしまうのだった。 これはそんな青年の葉わなかった願いをある少女が受け継ぎ、果たすために日々を奔走する物語である。 堅苦しい概要はここまで! 最初の注意事項でも觸れていますがこの作品が自分が初めて書く小説1號です。 まだまだ失敗や思い通りにいかないことも多いので今後投稿済みのエピソードに修正や作り直しをすることがあるかもしれません。 內容こそ大きな変更はしないものの言葉遣いや文章そのものなど、表現の仕方が大きく変化する可能性があります。 それでもいいよ! という方は是非ゆっくり見ていってください(。・ω・。) ちなみに自分はコメントを見るのが好きなのでどんどん書いちゃってくれて構いません。 厳しい意見を書くも良し、コメ投稿者同士で會話をするのも構いません( ´∀`) 他の人同士の會話を見るのも楽しみの1つなのでどんどんどうぞです ( ・∇・)
8 166