「本命は他にいる……だって？」

隠れていた２人組　ゴッドフリート＆ニーズヘッグ組から発せられた言葉は――――

「あぁ、あの魔狼ハティの他に強力な魔がいる。聖騎士団とか他の連中は今、そっちを相手している」

「けど、簡単には信じられない」とベルトはゴッドフリートの言葉を疑った。

「こんな國を崩壊させかねない魔よりも強力なやつがいるなんて……」

それもそのはずだ。窟にる前にベルトは事前調査を済ませている。

素手で放った打撃の衝撃。

窟の隅々にまで衝撃は広がり、その反響から部は把握していた……なくともベルト本人は、そのつもりだった。

「しかし、確認した時にじた脅威は1の魔だけだったが……」

「うむ、ベ……いや、失禮。あなたの名前をまだ伺ってませんでした。なんとお呼びしたら？」

「え？　あぁ、そうだったな。俺はベルト・グリムだ。ベルトでいい。こっちは相棒のメイルだ」

「はい、ベルト義お兄さんの相棒《パートナー》をさせていただいてるメイル。メイル・アイシュです」

なぜか、メイルは初対面の相手にも『相棒《パートナー》』の部分を強調した。

（止めさせた方が良いだろうか？　そこに強いこだわりがあるようだが……）

ベルトはそんな事を考えていた。

「えっと……それでは、私たちは案しましょうか？　聖騎士団の皆さんが魔と戦っている場所を」

「そうだな……できたら、あなた達にも戦いに參加してほしい」

「……い、いや、我々は戦闘と言うものが苦手で……のう？　ニーズヘッグ？」

「うん……僕、戦いは……嫌い」

「ワシの相棒もそう言っているので……」

「ご謙遜を、その立ち振る舞いから相當な腕前と拝見しましたが？」

「――――ッ　し、相棒と相談させてもらいたい」

「構いません。でも、あのハティよりも強力な魔がいる時間は限られています」

「わかった。すぐに終わらす」

そう言うとゴッドフリートはニーズヘッグを連れて、自のワイバーンが休んでいる場所に向かって遠ざかって行った。

そのタイミングを見計らったメイルが、訪ねてきた。

「ベルト義兄さん、どうしてあの２人に拘るのですか？　先ほど、おっしゃっていた通りに狂暴な魔が暴れているなら、急がなければなりませんが？」

「メイル、あの２人は強いぞ。俺が気配を完全に察知できなかった。特に、ゴッドフリートは俺と同等の暗殺者スキルを保有しているかもしれない」

「ぎ、義兄さんと同じレベルの！　ですか！？」

２人とも知らない。　ゴッドフリートの正は大魔王シナトラである。

かつてシナトラは、ベルトの弟子であり、メイルの実姉であるカレン・アイシュのを乗っ取り、ベルトを超える暗殺者の技能をマスターしていた時期があった。

そして、ゴッドフリードの正を知らないベルトは、こう続けた。

「俺は、最初にゴッドフリードさんを見た瞬間に連想したのは大魔王シナトラだった。　本人がいる……そう錯覚するほど強い圧力だった」

そんな話をベルトがメイルにしているとは思いもよらないゴッドフリードとニーズヘッグ。大魔王シナトラと竜王の化は――――

「……というわけだが、どう思う？」

自分たちが乗っているワイバーンに話しかけた。

すると――――

「いや、斷れよ。僕らが一番回避すべきはベルト・グリムとの接だろ？」

恐ろしく流暢な言葉をワイバーンは話した。

それも當然だ。　ワイバーンの正は、竜王なのだから…