《【最終章開始!】 ベイビーアサルト ~撃墜王の僕と、醫見習いの君と、空飛ぶ戦艦の醫務室。僕ら中學生16人が「救國の英雄 栄のラポルト16」と呼ばれるまで~》第98話 

「え? 東トゥマーレ攻めて來ない?」

ラポルトのブリッジ。戦況を示すディスプレイのひとつに指をらせながら、子莉は聲をあげた。彼にしては揺した聲だ。インカムから紅葉ヶ丘の聲が。

いてない。かないよ。ここから15㎞の地點、部隊降ろして整列したまま、ベースキャンプを封殺してる」

渚があごに手をあてる。

「って事は? ‥‥‥‥野営? 攻撃は‥‥明日‥‥?」

「いけない暖斗くん休ませないと!」

弾かれた様に子が頭を跳ね上げた。

今日の暖斗は極大のマジカルカレントを複數回発現させている。その狀態でDMTに搭乗し続けたら、MK後癥も蓄積されてしまう。ずっと乗せておく訳にはいかなかった。

「まさか敵は、これを狙ってわざと攻めて來ない? ‥‥‥‥いえ。いきなりこちらの報が洩れすぎだわ。それはありえない」

「うん。マジカルカレント後癥候群は軍事機といってもMK使いがいれば研究はできる。そこまでの機じゃないし。でもやけにあっさりミロースイが引いたよね? 引っかかる」

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「データを見ればバレるよ。暖斗くん今日、凄まじいエネルギー発生でカタフニアをった。見る人が見れば001のパイロットがマジカルカレント使いだと察しがつくのが自然だよ」

附屬中3人娘の討論は続く、が、決定打が無い。

「手ののカードを切ったらバレる、それは覚悟してたんでしょ? 子學生」

「でも暖斗くんを収容したとして、またミサイル撃たれたらどうするの? 醫務室からデッキに走ってDMT起させてからカタフニア呼ぶんでしょ? 間に合うかしら」

「うん。それについてはラポルトで対応するつもりだったんだけど」

「それはそれで、新たな手ののカードを切る羽目になるよ。せっかく子學生がここまで溫存してたのに」

「じゃあいっそ、DMTを『陣地』に置いたままMK後癥の回復できないかしら? あそこに逢初さんを乗せたクルーザーを橫付けしたりして」

「セキュリティの問題が出てくる。クルーザーを夜襲されたりとか」

「ああ、ダメね」

「マジカルカレント後癥がバレていると仮定して推論してほしい。私が敵側なら、‥‥そうだね、Botとの戦闘記録を手して、ああ、このラポルトの移記録もだ。戦闘後にBot戦をどのくらいやらなかったか、で、後癥からの回復時間を算出する」

「最初はまる1日寢ていたけど、今は6時間くらいよね?」

「いや、マジカルカレントにだけ思考が行くのは不味いよ。カタフニアの威力を見て逡巡しているとも考えられる」

「‥‥‥‥とにかく、東トゥマーレはミロースイとの同時攻撃という選択をせず、戦力の逐次投という愚を犯しているんだ。このデメリットを凌駕する目的があるとしか‥‥」

3人の議論は終わらなかった。敵の真意が見えない。行の意図が読めなければ、自分達の対応も決めかねる狀態。東トゥマーレ軍の進軍停止は、子の予想から外れてしまっていた。

「ちょっと、いいかしら」

そんな3人に聲をかけたのは、ブリッジ中央前部。座席に腰を落し戦艦ラポルトの舵を握る、泉花音(いずみかのん)だった。

「みなさんの悪だくみを楽しみにしておりましたのに、様相が変わってしまいましたね?」

「ああ、泉さんすまない。敵が理屈に合わないきをしたから、先が読めなくなったんだ」

「そうですか。皆様ご周知の様に、私の父は商売をする人間です。私は父から『商売は互いの肚の探り合い』心理學だ、と言い聞かされておりまして」

「泉さんのご実家を知らない人はいないよ。で、もしかして泉さん。敵の心理が?」

「ああ、渚さんごめんなさい。そういう意味じゃ無いの。結論から言うわ。そう。こちらの主目的は『今後も戦い続ける事ができる事』よね? その為には暖斗さんを醫務室に運ばなくては。その一択で正しいと思うわ」

インカムから紅葉ヶ丘の聲がする。

「泉さん。もちろんそうしたいよ。でも敵が何してくるかわからないのに、暖斗くんを下げる判斷が難しいんだよ」

「ええ。わかります。澪さん。でも敵の意図がわからなくなったのは、セオリーから離れたから、ですよね? ええ。知ってます。ずっとここであなた達3人のやりとりを聞いてきたんですもの」

泉は子と渚を視野にれてにっこりとする。

「暖斗くんを収容する。それが泉さんの意見なんだね。でも教えてもらっていいかな。その意見の拠を。突然の申の源を」

「そうですね。子さん。ひと言で言えば商売人の勘、なんですが、それでは答えになっていませんね。――――そう。答えは相手も人間故に、かしらね」

「‥‥‥‥人間‥‥‥‥故に?」

「ほほほ。人間って、『得をする』よりも『損をしたくない』生き。東トゥマーレの視點でどうかしら。敵はみなと市の中學生を名乗る16人。最新鋭空中戦艦をりハシリュー村を守り、侵攻したツヌ國を追い返し、アマリア港奪還戦ではDMT部隊を壊滅」

「確かに外の戦果だったけど」

「さらにこの『まほろ市民病院攻防戦』では、伝説の空中砲塔ユニット『カタフニア』でミサイル兵の空中迎撃、國際法の未年保護條項の破棄、ミロースイの地上戦力のシールドバリアを剝ぎ取り、ほとんど砲戦しかさせずに撤退に追い込んでいる」

が驚いた表をする。

「んん? 泉さん? つまり敵からみたら私達は‥‥‥‥『得が知れない規格外品』?」

「ええ。人間はかならずしも正しい判斷ばかりをするものじゃあないわ。行経済學的視點って言ったらいいかしら。貴方も敵の意図を見失っていますが、相手はどうでしょう? 世界中のどこにそんな中學生16人がいますか? いいえ。何がどうなってるんだと頭を抱えるのが普通でしょう?」

「‥‥‥‥私も澪も莉も、『敵にこちらの弱みを見破られたっぽい。何か仕掛けてくるハズだ』って思考だったけれど」

「ええ。敵は『得の知れない中學生と商談(せんそう)なんてしたくない。赤字(そんがい)なんて出したくない。マジでどうなってんだよ』ってとこかしら。奇襲って相手の不意をつくから奇襲でしょう? それなら部隊は地上に展開させずに、‥‥‥‥その、ほら、空からDMTを降らせるアレじゃあないかしら」

「ああ、『隕石(メテオリティス)』だね。層圏から揚陸艦突撃して、のDMTドロップだ。確かに」

泉花音はその、髪飾りで纏めた長い髪を揺らした。

「そうそう。それです。――――つまり、『い』がある貴方なのですが、同様に敵も。 貴方が規格外すぎるのですよ」

「ご自覚あるかしら?」

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