《【書籍化決定!】家で無能と言われ続けた俺ですが、世界的には超有能だったようです》第三話 武の國エルバニア
ラージャの街から北に向かっておよそ十日。
大陸北部に広がる乾燥した荒野に、武の國エルバニアはある。
もともとこの辺りは人の住まない不な土地であったが、富な鉱資源が発見されたことで様子が一変。
鉱石を求めて多くの職人たちが拠點を構え、さらに彼らの作る武を求めて武人が集ったのだという。
「あれがエルバニアか。思ったよりでけえな」
「あの街に國民の八割が住んでるらしいからな。無理もない」
馬車に乗って街道を進んでいると、赤茶けた地平線の先に大きな街が見えてきた。
丘か山を丸ごと城壁で囲って街にしたのであろうか?
市街街が上と下に分かれ、さながら二段重ねのケーキのようになっている。
その規模はかなりのもののようで、國としては小さくとも都市としてはかなり大きいようだ。
たぶん、人口もラージャよりはるかに多いだろう。
「もしかして、あれが大闘技場じゃない?」
見てみてとばかりに、街を指さすクルタさん。
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街の下層、ケーキの一段目に當たる部分に巨大な円形の建造が聳えていた。
アーチを組み合わせて作られたようなその建は、恐らく大剣神祭の舞臺となる大闘技場だろう。
大陸一の剣士を決める戦いが行われるだけあって、その威容は街の外からでもはっきりと見える。
このじからすると、萬単位の観客を収容できそうだ。
「うわー、でっかいなぁ……! あそこで戦うと思う……!」
「なに、すぐ慣れるさ。それに、戦いの最中は観客のことなど気にする余裕はないぞ」
そう言って、どこか余裕のある笑みを浮かべるライザ姉さん。
まさしく経験者は語るというやつで、説得力が半端ではない。
まあ、まずはそこよりも戦いに勝てるかどうかついて心配するべきだろう。
「何はともあれ、無事につけて良かったよ。この辺りは魔も多いから」
「そういや、ミーム荒野もこの近くだったな」
「ミーム荒野?」
「有名な危険地帯さ。知らないのか?」
「ええ」
俺がそう言うと、ロウガさんはそっと馬車からを乗り出した。
そして荒野のはるか先、巨大なテーブルマウンテンの方を見やる。
「あそこにデカい巖山があるだろ? あの向こうに広がっているのがミール荒野さ。龍脈がれているせいで、兇悪な魔がわんさか住み著いてるらしいぜ。俺も実際に行ったことはないが、冒険者の間じゃ有名な場所さ」
「わぁ……絶対に近づきたくないですね」
「修行にはもってこいの場所だがな。私も、前の大會の時はあそこで調整したものだ」
「そりゃ、姉さんぐらい強ければ話は別ですけど……」
ヒュドラさえ簡単に倒してしまうような姉さんと一緒にされても、流石に困るんだよなぁ……。
Aランクになったとはいえ、俺の強さはまだまだ姉さんの半分にも満たないだろう。
とはいえ、大會までしばらくの時間がある。
長旅でがしなまってしまっているし、調整は必要だろう。
「……街に著いたら、ギルドで依頼がないか見てみますか」
「んん? もしかして、ミール荒野へ行くつもり?」
「いえ、ひょっとしたら荒野から迷い出たモンスターとか居ないかなって」
「なるほど、はぐれ狙いですか。それならちょうどいいかもしれません」
ポンッと手をついて納得するニノさん。
はぐれというのは、縄張りから迷い出たモンスターのことである。
生存競爭に敗れたものや餌に困ったものがほとんどで、高ランクでも討伐しやすいとされている。
これらに関する依頼を見つけることができれば、大會前の鍛え直しにはちょうどいいだろう。
萬が一、危険な目に遭っても相手が一なので逃げることぐらいはできるはずだ。
「…………あれ?」
「どうしました?」
こうして、向こうに著いてからのことをあれこれと話していると。
不意に者をしていたクルタさんが、驚いたような聲を上げた。
いったい何事かと思って彼の視線の先を見ると、門の前に長い行列ができている。
馬車が數十臺……いや、百臺以上はいるだろうか。
これ全部、エルバニアへの國希者だろうか?
「こりゃ、ずいぶん待たされそうだな」
「思った以上の人ですね」
「大陸でも最大級の祭りだからな、無理もない」
前回も同様の賑わいだったのだろう。
ふうっとため息をつくライザ姉さんの顔は、どこか慣れた様子だ。
しかし參ったな、まだ大會まではひと月近くあるというのにこんなに人がいるなんて。
やっぱり、他の人たちも早めに到著して環境に慣れておくつもりのようだ。
「今日のところは、街にって宿を取るだけでいっぱいそうですね」
「むしろ、この調子だと宿が取れるか?」
「あー……」
よほどのことがない限り、どこかしら宿は空いているものである。
これぐらいの大きさの街なら、どこも満質なんてことはめったにない。
けれど、大剣神祭はその「よほどのこと」に該當するようだ。
うーん、ここまできて野宿は流石に避けたいのだけれど……。
ラージャの街を発っておよそ十日、流石にそろそろベッドがしくなってくる頃だ。
するとここで、姉さんがやれやれと腰を上げる。
「任せろ、何とかする」
「まさか……いいの?」
「どちらにしろ、試合には出るのだから構わんだろう。それに、ラージャからは遠い街だしな」
そう言うと、姉さんはサッと荷臺から降りた。
そしてに手を當てると、すうっと大きく息を吸う。
「我が名は剣聖ライザ! 大剣神祭に參加するため、再びこの地に參った!!」
高らかに宣言するライザ姉さん。
武人らしい迫力と威厳に満ちた聲が、遙か彼方にまで響き渡る。
たちまち、ざわついていた人々が水を打ったように靜まり返った。
そしてすぐに、馬車や人々が道を開け始める。
それはさながら、海が割れていくかのようであった。
「すご……これが剣聖の権威ってやつ?」
「忘れかけてましたけど、やっぱりすごいんですね」
「ふふん、そうだろうそうだろう!」
クルタさんとニノさんに褒められ、姉さんはすっかり上機嫌となった。
彼は馬車に戻ると、すぐに者をしているクルタさんの方をポンポンと叩く。
「さあ、行くぞ!」
こうして俺たちは、姉さんの力も借りてエルバニアの街へとっていくのであった。
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