《【書籍化】男不信の元令嬢は、好殿下を助けることにした。(本編完結・番外編更新中)》〈番外編〉騎士カーティスの波萬丈な二日間⑬
「そうなのね。じゃあ、クレアには無事に腕を屆けられたのね」
「ん。で、その後、お祭りにいった」
「あら。良かったわね。楽しかった?」
「ん。帰りに味しいものたくさん食べた」
森を経由してジュレミの店に帰ってきた後、
「お茶でも飲んでいきなさいよ」
と引き留めるジュレミに甘えて、カーティスは店の二階でお茶を飲んでいた。
目の前では、お菓子を食べながら、無表ながらも楽しそうに旅の報告をするノア。
ジュレミが微笑んだ。
「どうやら楽しかったみたいね」
「ん! クレアにも會えたし、見たことないものもたくさん見た」
「あら。素敵ね」
「ん! お菓子もサンドイッチも全部おいしかった!」
ノアが楽しそうに話す様子を見て、カーティスは幸せな気持ちになった。
(良かった~! 楽しい旅にしようと頑張った甲斐があった!)
しばらくして、夢中で話すノアの目がとろんと眠そうになってくる。
そして、大きなあくびをすると、何の前れもなく舟をこぎ始めた。
ジュレミが目を細めた。
「ふふ。寢ちゃったわね。本當に楽しかったのね。ありがとうね。カーティス。こんなに楽しそうに帰ってくるとは思わなかったわ。貴方のおよ」
「いえいえ。私の方こそとても楽しかったです」
椅子の上で揺れるノアを見て口元を緩めるカーティス。
いつまでも見ていたいが、ノアも疲れている。早目に暇をすべきだろう。
ノアを起こさないように、カーティスがゆっくり立ち上がった。
「では、私はそろそろ帰ります」
「ええ。本當にありがとうね。今日はゆっくり休んでちょうだい」
門まで送るわ。と、同じく立ち上がるジュレミ。
そして、二人が部屋を出ようとドアを開けた、その時。
ノアがむくりと起き上がった。
「……帰る?」
「はい。帰ります。ノアさん、ゆっくり休んで下さいね」
「ん。ありがと」
カーティスの優しい言葉に、目をこすりながら、こくりと頷くノア。
そして眠そうな目で彼を見ると、ゆっくりと口を開いた。
「じゃあ、またね。カーティス」
「はい。またお會いしましょう……、って! え?!」
ピシリと固まるカーティス。
ノアが不思議そうな目をした。
「どうしたの? カーティス?」
「い、いえ。ええっと、その。おやすみなさい。ノアさん」
「ん。おやすみ」
呆然としながらジュレミに見送られて魔の店を出るカーティス。
馬に飛び乗ると、並足で街の中を通り抜け、郊外に出る。
そして、しばらく馬を走らせ。誰もいない野原で馬を降りると。彼は両手でガッツポーズを決めてんだ。
「やった‼ ノアちゃんに名前を覚えてもらえたぞ‼」
うおおおお。と、涙を流しながら雄たけびを上げるカーティス。
後に彼は言った。人生であんなに達と幸福を味わったことはなかったし、これからもきっとないだろう。と。
*
アレクドラ王國の王都。
繁華街からし離れた高級住宅街にある、衛兵詰め所にて。
り口に立っていた若い騎士が、通りの向こうから、一人のが歩いてくるのを見つけた。
(あ、ノアちゃんだ!)
歩いてくるのは、緑のローブを羽織った小柄な。
買い帰りらしく、前が見えているか怪しいほど大きな荷を抱えている。
彼は足早に近づくと、禮儀正しくに微笑みかけた。
「おはようございます。ノアさん。大変そうですね。お荷お持ちしましょうか」
騎士を見上げるノア。黒目がちの目が緩んだ。
「ん。お願い。カーティス」
騎士は満面の笑みを浮かべて、勢いよく頷いた。
「はい! お任せください!」
並んで歩き始める二人。
春のしが二人を暖かく照らしていた。
番外編はこれにて完結です。お読み頂きありがとうございました。m(_ _)m
そして、本作の書籍版が、一迅社様より【本日】発売されます!
全の1/4にあたる3萬字ほどの加筆を加えておりまして、Web版では出てこないアレコレや、クレアとジルベルトのイチャイチャ♡などが追加されています。
そして! 鳥飼やすゆき様のイラスト!
(下の方にスクロールして頂きますと、書影が見れます)
ジルベルトの格好良さがたまりません!
クレアはもちろん、ノアもめちゃくちゃ可いです!
あと、意外とかっこいいオリバー王子・笑。
是非お手にとって頂けると嬉しいです! (♡ᴗ͈ˬᴗ͈)⁾⁾⁾
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