《【書籍化&コミカライズ】創魔法の再現者 ~『魔法が使えない』と実家を追放された天才年、魔の弟子となり正しい方法で全ての魔法を極めます。貴方の魔法は、こうやって使うんですよ?~》143話 攻略作戦・1
「まず、大前提として──創世魔法には(・・・・・・)基本勝てない(・・・・・・)。それを覚えておいてくれ」
前置きとともに始まった、ローズの現狀攻略法。
その最初の一言は、あまりにも絶的な報だった。
けれど、それで一同に衝撃こそ走れど俯くものは一人もいない。
信じているからだ。この空の魔が、『だからお手上げだ』という結論に導くはずがないことを。
その信頼に応えるように、ローズが続ける。
「だから、勝負するべきは創世魔法じゃない。『如何に創世魔法に本領を発揮させないか』、焦點はそこだ」
「本領を……」
「ああ。あの魔法が十全に躍するようじゃ攻略は厳しい。
だが──あの魔法はあくまで、他の魔法と組み合わせることによって真価を発揮するもの。言い換えれば、組み合わせる魔法に効果を依存しているわけだ。そして」
靜かな聲で、一言。
「──向こうに、ユルゲン以外の『救世の冥界(ソテイラ・トリウィア)』の使い手はいない」
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それは、言われてみれば単純な攻略法。
けれど、完全に未知の狀況に放り込まれた第三王派閥にとっては、これくらいの順序立てた説明の方が分かりやすいだろう。事実、彼の丁寧な解説によって浮き足だった面々の中にも落ち著きが戻り始める。
「つまり、」
「ああ、まずユルゲンを叩く(・・・・・・・・・)。それが達されれば、なくとも現在王都全域を覆っている怨霊発生現象は止まる。
──まぁ、とは言え」
けれど、と一呼吸置いて。
「単純故に、向こうも真っ先にそれを警戒する。まず間違いなく奴は一番警戒が厳重な場所──王都中心部で、組織の他幹部連中に守られてる」
その前提を踏まえた上で、彼は更に狀況を単純化する。
「つまるところ、あたしたちがそこに突撃して──まずユルゲンの所まで辿り著けるかどうか、そして他幹部どもに守られてるユルゲンを引き剝がせるかどうか、そんで最後に、倒すことができるかどうか。やるべきことは単純で、それを達するための関門は今言った三つだ」
「ま、待ってくださいまし」
しかし、そこで待ったをかけたのはリリアーナ。
「その、怨霊発生現象を止めるために、ユルゲンを──者を叩くのが一番早い、ということは分かりましたし、反論もありませんわ。
けれど……その間。怨霊に襲われる貴族の皆さんは……助け、られないのですか?」
……きっと。
ここで、リリアーナがこの言葉を言わなければ、ローズはそちらは無視するつもりだったのだろう。実際、彼はそういう方針をとると先刻宣言していたし。
けれど、彼のあの言葉を聞いて、今もこうけた以上。ローズがそれを無視することはない。
「大丈夫だ」
「!」
「元々、王都の最深部に突撃する以上突撃班は數鋭で固める必要がある。つまり必然、それ以外の人員は王都全域の救助に回ることになる」
適材適所だ。
突撃班は、言うまでもなくやるべき事が制限される以上強力無比な単騎の力を持つ魔法使いで固める必要がある。
けれどその間王都全域を守る、言うなれば救助班には別の力が求められる。
例えば──救助に必要である莫大な人手、その能力を一律に大幅強化できる魔法の使い手などは、そちらにうってつけだ。
「お前の得意分野だろ、リリアーナ。あたしは王都連中に興味はない。だからその分……王都そのものは、お前が守れ。頼んだぞ」
「! はい!」
力強く返事をするリリアーナ。
それを微笑ましげに見屆けると、ローズはすぐに表を戻して。
「と言っても、リリアーナだけに任せるわけにはいかん。そもそもこの場のそれ以外全員が突撃班になるのはどう考えても人數オーバーだ。
だから……ここからは、その人員を詰めるぞ。誰が王都最深部に向かい──そして、誰を誰に當てるか」
一同の張が、一段階深まる。
空の魔主導で行われる攻略作戦、その用意が、著々と進んでいく。
短めですみません!
次回で作戦會議は終了、いよいよ最後の戦いが始まります。ぜひ見守って頂けると!
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