《【最終章開始!】 ベイビーアサルト ~撃墜王の僕と、醫見習いの君と、空飛ぶ戦艦の醫務室。僕ら中學生16人が「救國の英雄 栄のラポルト16」と呼ばれるまで~》第100話 布陣Ⅲ①

「おっ! く」

僕は授室で目が覚めた。朝の4時21分。昨日は夕食(ミルクだけど)摂ってからすぐ寢たから、こんな早く起きたんだ。依は――――? もう起き出していた。

よろけながら部屋を出ると、醫務室のバックヤードの向こうからかすかに人の喧騒が聞こえる。調理室とのドアの防音を強化してもらったけど、やっぱり人の気配は伝わるみたいだ。

そのまま廊下に出て、ふらふらと食堂のドアを開ける。――あ、寢ぐせのままだけど――まあいっか。

「は~~~。もうずっとトイレ行きたくってさ~~。陣地に居てもやる事ないじゃん? そればっか考えちゃってさ~~」

中から聞こえてきたのは大きな聲だ。そして、やはり、というか、こんな話題をしてるのはコーラだ。

「でもパイロットスーツに吸収機能ついてるでしょ?」

呆れ顔の初島さんがため息をつく。他には、來宮さんと折越さん、ソーラさんがいた。コーラとソーラさんはパイロットスーツ姿だ。

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「知ってるよ。でもこのアマリアのスーツってイマイチ信頼が。‥‥‥‥あ、そうだ。スーツ予備あんでしょ? 貸してよ?」

「コーラ‥‥‥‥。アンタって子は。今の話の流れだと相する前提じゃない? 失禮よ。來宮さん貸さなくっていいですからね?」

「‥‥コッチはいいっスけどね。洗って返してくれんなら」

「そうだそうだ。くたばれソーラ。もちろんちゃんと洗うから。‥‥メイドイン紘國のスーツなら安心だぜ」

「‥‥‥‥何について安心なのよ‥‥‥‥」

「ごっほん!」

會話がなんかどんどんヤバい方向にしか行かないから、ここらで止めてもらう。

「コーラ。咲見さん來てるよ? ほらやめなよ。ってかヤダ。私まで會話に參加してたと思われる‥‥‥‥」

小聲プラス早口で言うソーラさんの向こうから。

「お~~。赤ちゃん復活ゥ!」

変なテンションのコーラの聲。

「ごめんなさいね。咲見さん。私達、徹夜明けで。コーラが変なノリになってて」

「ふたりは今上がって來たトコよぉ。徹夜(オール)で哨戒してくれてたのよぉ」

そうか。ふたりは昨日、あのまま陣地で見張り番をしてくれてたのか。DMTに乗って。だとしたら、今はれ替わりで桃山、浜ペア、あと麻妃のKRMが陣地に行ってるはずだ。

「夜警って神力使うからね。素人がイキナリは無理っしょ。アタシとソーラが適任だったんよ」

と、僕はコーラに謝をしつつ、心に浮かんだ事をそのまま言う。

「コーラってさ。言葉使いどんどん悪くなるなあ。知り合った頃はもっと丁寧な喋り方だったよなあ」

対するコーラは、ちょっと面食らったみたいだけど、むきになって言い返してきた。

「ああ、最初ってアレか。ハシリューの山天風呂でアタシの真っ(まっぱ)見た時!」

「な!? ちょっ! コーラ!」

「え~~! 大膽ねぇ」

「「え? え? 何? なに?」」

たちまち初島來宮ペアに詰められた。初島さんに正面から質問され、後ろに逃げようとしたら來宮さんにがしっと押さえられた。――このペアの連攜攻撃は凄まじい。

「いやあ、ハシリューの天風呂に、村の子と行ったじゃん? の子達に『お先にどうぞ』って言われてったらコーラがもういて」

「アタシ裏道知ってっから!」

「そこでにごり湯だし湯気すごいし、の子待たせちゃうから、まあ、という事になって」

「そんなぁ大膽! だめよぉ。男子の前でそんなしちゃあぁ」

折越さんのそのセリフには、その場の全員「おま言う」だ。

「「や~~だ~~」」

僕が責められるかと思ったら、意外に矛先はコーラにいった。

「だめよコーラさん。男の子にそんな無防備じゃ!」

「暖斗くんだったから無事だっただけっス」

コーラはやさぐれた。――いや居直っている。

「へっ! どうせアタシは素行が悪いですよ。‥‥‥‥別にコイツに好かれようなんて思ってないし」

「咲見さん。男子だと、私達アマリアの子はどうしても初対面で貓かぶりしちゃうんです。だからコーラのメッキが剝がれるのは、大目に見てやってください」

ぺこり、と頭を下げるソーラさんと対照的に、さらに悪態をつくコーラ。

「ソーラはね。よくこうやってフォローのフリしてアタシの息の止めにくるから。‥‥‥‥あ~~やだやだ。子ってめんどくせ」

と、みんなで笑っている所で、背中からこんな聲が聞こえてきた。

「ふ~ん。コーラさんとそんなコトが?」

ハッ と振り向くと。

食堂り口のドアが開いていて、依が立っていた。

*****

「ど、どこ行ってたの? 依」

僕は聞こえないフリをして質問反しをする。

「CAD/CAMデッキよ。ちょっと思いついた事があって、発注してきたの」

「ふ、ふ~~ん。そっか」

目を合わせずに返事をする僕を通り過ぎて、依はコーラの側に行った。

「‥‥やっぱり。前にも嗅いだ匂い。何か香水つけてる?」

「ああ、依先生。わかった? ちょっとだけね。戦闘で汗かくからソレ誤魔化す系のヤツを」

「ふ~~~ん。暖斗く‥‥」「おまちどうさまです」

何か言おうとした依の橫から、仲谷さんが大量のおにぎりをお皿に乗せて。

「うお~~! これ待ってたんだよ! 熱っち!!」

「ちょっと! 『いただきます』は!? コーラ!!」

早朝だったけど、食堂はなんだかんだ活気があった。僕もおにぎりを貰って、支度を始める事にした。

*****

「さ~~。紘國米のおにぎり食べたし、シャワー浴びて仮眠するか。ソーラ行くよ?」

お腹をさすりながら食堂を後にしたコーラが、振り返ってソーラを呼ぶ。ソーラは、廊下に立ち止まったまま、視線をコーラに向けた。

「‥‥‥‥さっきのセリフ。アンタ本當に『咲見さんに好かれようなんて思ってない』の?」

「‥‥‥‥何? 急に?」

めんどくさそうに足を止めるコーラに、ソーラが言い放った。

「変だと思ったのよ。徹夜の哨戒に文句も出ないし。ふ~~ん。そう。アンタがねえ」

※「あれ? これ何かのフラグか?」と思ったそこのアナタ!!

さて? どうでしょう?

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