《【書籍化&コミカライズ】勇者パーティーを追放された俺だが、俺から巣立ってくれたようで嬉しい。……なので大聖、お前に追って來られては困るのだが?》293.四魔將を躙する
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293.四魔將を躙する
「さて、軍団を率いることすらも失敗した四魔將ギガテス。いや、既に俺が皇帝の座に就き、レメゲトンを廃位させている以上、ただの子供を襲う犯罪者集団だったな。犯罪者ギガテスよ。今ならば皇帝の俺の法にて、お前やレメゲトンらを公正に裁いてやろう。だが、これ以上の犯罪をおかすというのならば、容赦はできない」
「アリアケっち。実際、こいつらのやっていることは、アリアケ帝國の領土を侵す領土侵犯と、その臣民たちの安全を脅かす行為なのだ! ゆえに、そこまで溫をかける必要すら、本來はないのだ!」
魔王リスキスはさすが王としての道理を理解している。その言葉は完全に正しい。だが、一方でこうも思う。
「こいつらが愚かなのは同すべきことだ。皇帝が余り慈悲深いのもどうかと思うが、こういう犯罪者集団にも更生の機會を與えるのもまた、良い魔大陸社會を作っていく上で必要なことではないかと思ってな」
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「さすがアリアケっちなのだ! そこまで見通してのこととは! あてぃしなんて、こんな犯罪者どもはさっさと駆除すべきだとしか思わなかったのだ!」
「その考えも正しい。全ては俺の手の平の上にある。だからこそ、この犯罪者ギガテスに選ばせてやることが出來るんだ。この場で領土侵犯をおかしし大逆罪をおかした大犯罪者となるのか。それとも、ここで素直に謝罪をし、正義を現しようとしているアリアケ帝國とその象徴たる皇帝に対して頭を下げるのか、をな」
「慈悲深いですね。そういった機微は私には分かりかねますが、ギガテスにはもったいないほどの溫であることは分かります」
「そうだな。犯罪者ギガテス。ほら、時間の無駄だ。お前の軍勢はもう敗走を始めてるじゃないか。お前は四魔將なんてじゃなかったんだ。単なる虜囚としてこき使われるのがお似合いってもんだ。早く諦めな、それとも、往生際が悪いのが四魔將の條件だったのか?」
帝國の面々からも今降參すれば、公平な取り扱いをすることを約束する溫ある言葉が出た。
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しかし。
「うるさい! うるさい! 調子に乗りおって! ふ、ふはははは! 部下などただの俺の手足に過ぎん! そんなものがいなくてもこの俺一人で貴様らを躙することなどたやすい! お前らを倒した暁には、アリアケ皇帝に屈した弱な國々の領民どもをことごとく苦しめてくれるわ!」
やれやれ。
俺は聖杖キルケオンを構えながら宣告する。
「ここにお前の罪は決まった。領土侵犯、王族への殺害を予告する大逆罪、その領民を苦しめることを良しとする恫喝、いずれも重犯罪者であることを自ら宣言するものだ。ゆえに」
俺は斷言する。
「お前の罪を斷罪する。犯罪者ギガテスよ。そしてその雇い主たるレメゲトンはその責任を取り、相応の処分を下すものとする」
俺は道理を滔々と説く。だが、犯罪者によく見られる通り、そうした道理を暴力によって砕しようとする!
「黙れ! 俺は犯罪者などではない! 俺は、俺は! 誇り高き四魔將ギガテス様だ! オーガたちの頂點なのだ! 舐めるなぁ! 人間風の塵《ごみ》がああああああああああああああああああああああああ‼」
そうびながら突撃してくる。
キング・オーガよりもさらに巨大なはもはや山がくかのようであり、ギガテス一でキング・オーガ100を凌ぐと豪語する理由も理解出來た。
しかし。
「だからどうした」
しょせんはその程度だ。俺は鼻を鳴らし、スキルを使用する。
≪オーガ必滅≫
≪部位破壊≫
「ぐははははははは! その程度のスキルなど効かぬ‼ 我が鋼よりも固く、何者にも貫かれぬは、お前たちがいかなる強化を施そうとも通じるものではないとしれ‼」
ギガテスの哄笑が響く。
だが、俺は一言でそれを黙らせた。
「慌てれるな。これは前置きだ。では命じる。≪皇帝勅命≫」
「な、何⁉ なんだそのスキルは⁉ 聞いたことがないぞ‼」
狼狽するギガテスと、
「「「す、凄い! 力がっ……」」」
対照的な仲間たちの聲が響き渡る。
オーガ必滅も、部位破壊もその名の通りのスキルだ。だが、皇帝勅命は、俺が帝位に就くことによって初めて使用することが出來るようになるスキルで、普通は死にスキルである。
その効果とは『支配下にある者達の力のランクを強制的に一段階上昇させる』というもの。もちろん、例えば元々Dランク冒険者に使用しても、Cランク冒険者になるだけで大した効果はない。
だが、俺が使用した対象は、エリス・オートマトン王、王補佐デュース・オートマトン、そして魔王リスキス・エルゲージメント。すなわち、既にSランク冒険者のクラスを凌駕する規格外たち。
そんな者たちが、一つステージを上がる時、その効果は絶大なとなる!
「皇帝が命じる」
俺は指先一つかす必要はない。
「階《きざはし》に迫る不敬な犯罪者を駆除せよ」
その言葉は真言となり、世界の事象として顕現するかの如く仲間たちが力を発揮する‼
「魔王の力をぉぉおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおお!」
まずリスキスが突っ込む!
「舐めるのではないのだああああああああああああああああああああああ!」
ドオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオン‼
部位破壊どころか、をねじり切るほどの一撃が、犯罪者ギガテスへと炸裂する‼
「んぎいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいい⁉ 馬鹿ななああああああああああああああああああああああ⁉」
絶を上げながら、ギガテスがもんどりうって大地を無様に転がっていく。
踏みつぶされるキング・オーガたちも哀れな悲鳴を上げた。
だが、さすがギガテスはそれだけでは倒せない。
一瞬離れたと思ったが、瞬く間に再生を始めたのだ。
「ぐ、ぐははははは! まさかこの儀を見せることになるとはな! 俺が無敵だと言ったのはこのことだ! 強靭なだけでなく、即再生もする! 俺が殺されることはありえぬということだ、どうだ‼」
その言葉を俺は道化の戯言のように笑って聞く。
「よくその頭で仮にも四魔將を名乗っていたものだなぁ」
俺は呆れる。
「なんだと⁉」
「やれやれ、自分の言っている矛盾點にも気づかないのか? お前はさっきまで、自分のを誇り、傷一つつかない、といったことを言っていたんだぞ? それが今はどうだ? そのは魔王リスキスに簡単に部位破壊されるほど脆弱なもので、やっと切り札の瞬間再生を使用している始末だ。【追い詰められている】としか見えないんだが?」
「なぁ⁉」
「それにな」
俺はフッと笑う。天を指さした。そこには二のオートマトンが既に準備を完了させようとしていたのである。
「第1種兵裝兵【E・テネリタ】発準備完了」
「第1種兵裝兵【D・スキューラ】発準備完了」
「い、いつの間に……」
俺は淡々と説明する。強者としてのせめてもの慈悲として。
「自己再生の可能など最初から想定している。俺は皇帝の前に賢者でな。あらゆることを想定できなければそう名乗る資格はない」
ゆえに。
「こうなることが事前に分かっていたということだ。だから驚くには値しない。さらばだ、犯罪者ギガテスよ。その罪は現世で償うべきだったが、お前が最後までそれを良しとしなかった。せいぜい地獄にてその罪を斷罪されることだ」
「お、おのれええええええええええええええええええええええええええええええええええ‼」
ギガテスの絶が耳朶を打つが、既に勅命は下っている。
「撃て」
「「アルビトリオム(意)」」
「あ、アアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアア……‼」
青と赤のしい熱線が二のオートマタから放出され、それは自己再生中だったギガテスを飲み込み、消滅させる。
「犯罪者の駆除を完了しました」
「キング・オーガどもも逃げて行きます。どうしますか?」
「掃討戦に移行する。周囲の國に逃げ込む恐れがある。一掃してくれ」
『了解‼』
賢者パーティーたちの威勢の良い聲が戦場に轟いたのであった。
こうして、四魔將ギガテスの討伐は、躙という形で幕を閉じたのである。
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