《【最終章開始!】 ベイビーアサルト ~撃墜王の僕と、醫見習いの君と、空飛ぶ戦艦の醫務室。僕ら中學生16人が「救國の英雄 栄のラポルト16」と呼ばれるまで~》第104話 心音Ⅱ

EMP攻撃。この戦爭が始まる時。紘國全に対して行われた攻撃だ。高空で核弾が発。それで発生した磁場が降り注いで、電子基板に電流を発生させて壊す。対策をしてある軍用品とかなら平気だけど、民生品はどうか?

「うおお! 依!」

隔壁縦席(ヒステリコス)の計れる。人への悪影響は無いって言ってたけど?

立ちはだかっていた2機が退いた。思わず依の所まで行く。

依!? 大丈夫?」

「暖斗くん!」

僕のDMTの「右手」が、病院屋上の依に屆こうとした剎那。

自機が3本の刺突剣(エストック)に貫かれていた。「!?」

「エラーダ隊か。むっつり野郎が」

は殺す」

「‥‥相かわらずの糞だな」

アギオスマレーノスと言っていた、依と対峙していたDMTとは別に。

「帝政イオルギアの隠(ステルス)DMTが3機。エラーダと言えば、『靜謐のエラーダ』よ」

ノイズが取れたインカムから、解析の聲がした。

「殘念だったな。潛んでたのはオレ等3機だけじゃ無かったのよ」

Advertisement

「ぐ‥‥‥‥ごめん。ぬっくん。全然察知出來なかった」

ノイズに混じった悔しそうな麻妃の聲。墜落したKRMが近くにいた。

バキキキッ

刺さった剣先が引き抜かれる。アラートが鳴り響いて、大ダメージがった事を把握する。僕のDMTが、ぐらりと揺れた。

「‥‥‥‥は殺す」

新手の3機、それを率いるエラーダと呼ばれてたヤツは、これしか言わない。ヤバい!!

「暖斗くん!」

その3機が、屋上の依を狙ってく。

怯んだ依がポールを離してよろける。僕は思わず助けにいた。彼の華奢な四肢を無事自機の手にすくい取った代償は、無防備に曬した後背部分だ。背後から両足への攻撃をけてしまう。

前のめりに倒れていく自機。僕はなぜか依の無事だけを考えていた。咄嗟にプロテシスパネルでエンジンの重力子回路をり、DMTを浮かせてソフトランディング。

倒れる機、その手の中の依を、大事に、そっと地面に置いくと、僕の機は地面に座る形になった。

Advertisement

6機の大型機に囲まれてエラーダ機が発砲した。ビームじゃ無い!?

咄嗟に依を盾で覆うと、その表面にバラバラと散弾が食い込む。

対人実弾! つまりそういう事か。

「‥‥001番の大型DMT、投降しろ。エラーダがガールフレンドをミンチにする前にな? こいつは積極的に生の人間殺すからな」

さっきのアギオスマレーノスってヤツの聲だ。‥‥止むを得ない。この狀態でDMTが戦ったら生依はひとたまりもない。

ハッチを開ける。上下に割れる裝甲を見ながら機を降りる準備をしよ――うとしたら、さっきの2機が両脇から素早く拘束してきた。両腕を摑まれて自機が大きく揺れて、僕は隔壁縦席(ヒステリコス)の中で転げた。

――その剎那、最後に縦席のメインパネルが見えた。そこには自機、UO-001のエンジン回転數とエネルギー発生量が。

――こいつはまだ戦いを止めていない。エンジンを止めていない。

「ぐへっ」

そのまま地面に落ちた。‥‥來たことある場所。‥‥‥‥そうだ。この前依と夕日を見た場所だ。

まずい。そんな事思い出してる場合じゃない。先手を打たれてるから、考える前に事態が進んでしまうんだ。

「わりいな。コイツ等エネルギー棟の熱源に潛んでたのさ。‥‥しかしお前ら本當に中學生なんか? ガセじゃね~んだな? だったら呆れるくらいにはよく戦った。詰めが甘えのはしゃ~ねえやな」

敵に言われた。新手のエラーダとやらは無言のまま。

僕は地面に大の字で倒れて、敵機に拘束された自機を見上げていた。ここでマジカルカレント後癥候群の癥狀が出てくる。當然けない。

まるで赤ん坊だ。戦場の地面に寢て、空と自機を見上げて、それ以外まるで何もできない。

――――ここで、僕は一瞬意識が遠のいた。

「暖斗くん!」

依が僕にかけ寄ってきてくれて。倒れたに覆いかぶさるように抱きついた。――まるで、我が子を庇う母親のように。

「いや、そんなに怖がんなって。嬢ちゃん達がオジサン達の言う事を聞いてくれたらいいんよ。あっひゃっひゃ」

笑いながら敵は言った。依と掛け合いをしていた、アギオスとか言うヤツだ。

「そのパイロットも作戦目標だ。あそこまでエンジン吹かすとか尋常じゃあねえ。そこまでのマジカルカレント使いなら是非オレらの國に來い。それなら危害は加えない」

「大丈夫!? 暖斗くん。‥‥‥‥お願い‥‥‥‥目を開けて‥‥‥‥」

「暖斗くん怪我してない?」

依が四肢をさすってくれた。

「頚椎とかじゃなければいいけど」

僕は朦朧としていた意識を取り戻す。慌てて目を見開いた。

「ああ‥‥‥‥依。無事だね。良かった」

「暖斗くん!」

狀況は最悪だ。依を助けるためとはいえ、無防備に敵の攻撃を食らってしまった。まさかの伏兵もいた。結果、生依を盾にされ、DMTを降りざるをえなかった。

6機の大型DMTに取り囲まれ、僕はマジカルカレント後癥でけない。依が必死に僕を庇う姿勢を見せているけど、敵が見逃してくれる訳もなく。

まさに萬事休すだった。ビルのような威容のDMTと、地面に放り出されたけないパイロットと、依がひとり。

しかし。

それは唐突だった。

依が、僕の顔を両手で抱きしめて、そののふくらみにうずめた。

僕が呼吸するのに困るくらいに。

いつか、醫務室で聞いたかも知れない依の心音が、今は間違いなく僕の鼓に響いている。――――強く!!

「わたしを。吸って。全部吸って。肺の奧の奧まで、あなたの中をわたしで満たして」

依? ‥‥むぐ!」

「呼吸が淺いわ。‥‥‥‥もっとリラックスして。もっと、もっと吸うのよ。わたしという存在をすべて飲み込むくらいに」

依の聲は聞き取れないくらいに小さかった。‥‥まるで、眠りについた赤子に語りかける様に。小さく、小さく。やさしく、やさしく。

異様な景だった。僕らを見下ろす敵國のDMTが6機。その中心で僕は。

ぬくもりに両目を塞がれながら、トクン、トクン、と依が生きてる証のリズムを聞いている。

「おおっとエラーダ! てめえ何する気だ?」

「‥‥‥‥任務だ」

アギオスなんちゃらって人の聲が、DMTの外部スピーカーから聞こえてきた。エラーダって人の聲も。

「この現場はこのアギー様が仕切るって事で、ハナシはついてるハズだぜ」

「手ぬるい。もう殺せばいい」

「あ~。‥‥だからイオルギアと組むの嫌なんだよ。ガチの中學生だって知ってんだろ? は學者の筋だしマスコミが生存確認してくんぞ? 後々面倒になる」

「煙に巻く。それは俺の仕事じゃない」

耳からは、何か凄まじく不穏な會話が聞こえるけど、依のくちびるがふれそうなおでこが暖かくて、両目をふさぐぬくもりが不可思議で、思わずふんわりした気分になる。

「抱(いだ)かれる」ってこんなじなのか?

「殺すなよ。まだあの戦艦のを聞けてねえ。俺はこの嬢ちゃんにアタリをつけてんだ。パイロットの方をいたぶれば、何か思い出してくれるだろうよ」

「‥‥‥‥もういいかな? うん」

短くそう呟いて、依が起き上がる。

「だめよ。暖斗くんはけないの。それならわたしが」

両手を上げて、一歩敵の方へ踏み出す。

「ダメだ! 依! 敵に近づいちゃあ!」

々しい武裝のDMT。戦うため。人やを破壊するための兵だ。

その巨大な兵が立ち並ぶ中、ゆっくりと歩みを進めた。

を仰ぐ天使のように、屹立する

風が、天使のスカートをなびかせる。

向けられた巨大な銃口に怯む事もなく、依は言葉を紡ぎ始めた。

「7月30日退院。回復まで、28時間」

    人が読んでいる<【最終章開始!】 ベイビーアサルト ~撃墜王の僕と、女醫見習いの君と、空飛ぶ戦艦の醫務室。僕ら中學生16人が「救國の英雄 栄光のラポルト16」と呼ばれるまで~>
      クローズメッセージ
      あなたも好きかも
      以下のインストール済みアプリから「楽しむ小説」にアクセスできます
      サインアップのための5800コイン、毎日580コイン。
      最もホットな小説を時間内に更新してください! プッシュして読むために購読してください! 大規模な図書館からの正確な推薦!
      2 次にタップします【ホーム画面に追加】
      1クリックしてください