《凡人探索者のたのしい現代ダンジョンライフ〜TIPS€ 俺だけダンジョン攻略のヒントが聞こえるのに難易度がハードモード過ぎる件について〜【書籍化決定 2023年】》5話 味山只人冒険隊、暗黒の魔境イズ王國の集落にて! 神種アサマの闇を見た! その1
「あ、帰ってきた。味山さん、おかえりなさい、どこいってたんですか?」
「おお、桜野くんか。悪い、し海風にあたってきた」
とりあえず先ほどの場所に戻った味山に、フジ山お面の細長、桜野が手を振る。どうやら焚火を眺めながら、ワサビアイスを楽しんでいるようだ。
「あまり海の近くに行かない方がいいですよ。リュウグウ様に見つかると連れていかれるかも」
「リュウグウ様……? なんだそりゃ」
また聞きなれない固有名稱に味山が眉を顰める。
「そうか、味山さんは知らないですよね。リュウグウ様っていうのはアサマ様の朋友です。ニホンからこのイズ半島を取(・)り(・)返(・)し(・)た(・)時にアサマ様にご協力された大いなるお方です」
「……へえ、興味あるな。聞かせてよ、桜野くん」
テーブルを挾み桜野の対面に座る味山。今はとにかく報収集に努めた方がいいだろう。
「うーん。僕も正直あまり詳しくはないんです。曰く大いなる深海魚の姿をしているとか、しいの姿をしているだとか、々話はあるんですが、普段は足地であるミナミイズの龍宮窟にいらっしゃるのであまり人目にはつかないらしいです。その、イズ王國にて犯罪を犯したものが連れていかれるのがリュウグウ様の元、というのは聞いたことありますけど」
TIPS€ 敵勢力報追加・"リュウグウ" 好・人間
ロクなものじゃないヒントが耳に屆く。味山はむーんとしながら桜野の話を聞き続ける。
「ミナミイズの龍宮窟か……。桜野くん、隨分詳しいんだな、このイズ王國について」
「え? いや、普通ですよ。國民として當然の事です」
「ふうん」
TIPS€ 神話攻略のためにはアサマの匿を明かす必要がある。イズに詳しい人から報を取りれろ。
「……なあ、桜野くん。思ったんだけど、どうして夜になった途端、の人がいなくなったんだ? いや、寢泊まりする場所はそりゃ男別れるのが普通だと思うけど」
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味山はそれとなく、今調べたいことを桜野に問いかける。
先ほどから辺りを見回しても、このホテルの駐車場を利用しら広いスペースにの姿が見當たらない。
「ああ、それなら夜は"お祈り"の時間ですから。イズ王國では男は晝に働き、は夜に働くようになっています。といっても労働の容はだいぶ違いますけど」
「男の仕事は晝間にやった怪の間引きか? じゃあ、の仕事は? でも、彼達、確か晝は畑とかの面倒見てたよな?」
お祈り。桜野の言葉に味山の嫌な予センサーが反応した。
味山はなんとなく知っている。
ホラー映畫のお約束でたいていヤバいじのことはこんなじのふわっとした言葉で誤魔化されたりするものだ。
だが、まだ大丈夫。もしかしたら本當に健全なお祈りかもしれない。
ここで桜野がきちんと的にお祈りがどういうものか説明してくれたらそれでいい。お祈りってなんですか? という質問にきちんと答えてくれさえすればいい。今回のこの探索が味山の苦手なホラーか、それともいつもの強手段でなんとなかなるタイプの奴かわか――。
「お祈りです」
ホラーかもしれない。
「……どこでそれをやってるかとか知ってんのか?」
「知りません」
「……」
ホラーなのかい?
味山がうっすらと冷や汗をかき始める。
頼むからせめて和風ホラーではなくて洋風ホラーであってくれと願うばかりだ。理でなんとかできるゾンビとかそういうのであってほしかった。
「えっと」
冷や汗をかき始めた味山、早くももう帰りたい。
殘念ながら味山に渉しながら考察を続けるという用なことは出來ない。
「味山さん」
「はい」
「あなた、何者ですか? ……イズ王國の住民となった人間が、夜(・)に(・)い(・)な(・)く(・)な(・)る(・)(・)(・)の(・)事(・)を(・)気(・)に(・)す(・)る(・)な(・)ん(・)て(・)初(・)め(・)て(・)で(・)す(・)」
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フジ山お面が、味山を見つめる。
味山もアサマの呪いが込められたフジ山お面なので結果的にフジ山お面が2人黙って見つめ合うシュールな絵になる。
だが、今の桜野の言葉は何かがおかしい。まるで自分はイズ王國の住民ではないかのような口ぶり――。
TIPS€ 桜野はニホン閣府直轄外局、中央怪種即応対策本部"サキモリ"所屬の指定探索者だ。
「え、指定探索者?」
「ーーぇっ」
唐突に響いたヒントに、味山がぽろっと言葉をらす。
そう、味山は本的に渉とかそういうのに全く向いていない。舌の挑戦など、ほんとにそういうのは出來ないタイプの人間だった。
「……いや、まって。違う、俺、敵、違う、怪しくない、ウホ」
焦って思わず片言ゴリラになってしまう味山。腹蕓が苦手な人間は焦るとゴリラになってしまうのだ。
「……味山さん、どこでそれを? いえ、誰に聞いたんですか?」
TIPS€ 警告だ、”・夢見草”の作準備を確認
「は? ?」
「――何者だ」
またやっちゃった。テンパリゴリラだからつい口に出してしまう。
TIPS€ 警告”・夢見草”の効果は致命的だ。所有者の意志で指定した対象、または範囲を桜の木に変える。このは”神”を持つ存在には効果を発揮しない。お前にはソメイヨシノへの対抗策がないぞ
あかん。
なんで報収集パートでいきなり地雷を踏んでしまうんだ。じめっとした殺気を放つ桜野を固まったまま眺める味山。
なんとか、誤魔化さなければ――。
「味山さん、あの國際指名手配中のアレフチームの”アジヤマタダヒト”と同じ名前を名乗るあなた。説明してください。俺をなぜ、指定探索者だと?」
TIPS€ ・夢見草発まで、殘り數秒。
どうする、もうコイツぶちのめしちまうか。
いや。今、ここで騒ぎを起こすのはまずい。それに、桜野がニホンの指定探索者だと言うのなら無闇に敵対するのもまずい。
味山只人のIQ3000(笑)の脳みそが回転する。ぶん毆る、ダメ、ぶちのめす、ダメ、逃げる、多分無理。
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々な選択肢が消えていく中、なけなしの脳みそが必死に出した答えはーー
ーーニホン閣府直轄外局、中央怪種即応対策本部"サキモリ"
「……サキモリから、アンタらの任務の補助のために送られてきたエージェントだ」
大噓がポロっと出てきた。思考の末のものではなく完全に溢れたタイプの。
「……エージェント?」
「エージェントAと呼んでくれ」
「……味山さんという名前はまさか、コードネームですか? そうか、だから、あのアジヤマタダヒトと同じ名前を……もしかして公安の畑の方で?」
「ゴホン、あまりその辺まではどうかに。ただ、その、えっと……」
TIPS€ 貴崎凜は現在、指定探索者"鬼剣"としてサキモリの主力を擔っている。ニホンにおいても有數の実力者だ
「え、貴崎、めちゃくちゃ出世してるやん……」
思わぬところで響く知り合いの現況。國際指名手配になった自分とは裏腹に順調にキャリアアップしているようだ。
「え……貴崎ってもしかして、貴崎凜さん?」
「あ、え、はい。桜野くんも貴崎の事を知ってんのか?」
「……あの、"鬼剣"を、呼び捨て……俺も知らないサキモリが派遣した探索者……なるほど、そう言う事だったんですね、味山さん」
なにかの歯車が噛み合った。神妙な聲を上げる桜野。
「え?」
テンパリゴリラはもう、流れにを任せるしかなく。
「この異界化したイズ王國に潛している事実、そして晝間のあの怪種への見事な対応。なくとも年単位で怪と戦ってないと不可能だ。わかりました、そういうことだったんですね」
桜野がテーブルに肘をつき、聲を顰めて。
「……あなた、サキモリが隠し持ってる匿戦力、あの多賀総理の懐刀"ヤチヨ"のメンバー、ですね」
なんか、奇跡的なピタゴラスイッチがうまくハマってしまった。
味山がお面の側で目をぱちぱちと瞬きした後に。
「ーーそうだが?」
親指をぐっと立てる。もう後先考える気はない。
乗るしかない、このビッグウェーブに。
「やっぱり……良かった……異界化のせいで本國と全然連絡が取れなくて……ニホン神話系統のを持ってる俺と熊野先輩だけが、潛に功したのはよかったけど、もう手詰まりで……」
「お、おい、大丈夫か?」
「ああ、……すみません、し気が抜けて……あ、でも、元を確認する為に端末を最後に見せてしいんですけど……」
「た、端末……」
「はい、最低限の分証明として。俺は貴方を信じたい。だからその保証として、端末の提示を」
「……はい」
ええい、ままよ。
もうテンションとしては野となれ山となれになっている味山が自分の3年間使っているスマホ型の探索者端末を差し出す。
桜野がそれをじっと眺めて。
「本だ。……探索者組合発行の初期モデル。ヤチヨのメンバーには初期モデルの端末が配られてる噂は、本當だったんですね。探索者以外で超常の力へ至った現代の異能の集まりって聞いてますけど……」
「お、おう。そう、そうなんだよ、君。うん、そうそう、これね、探索者組合発行のね、端末なの」
「すみません、ずっと疑って。あまり元を明かせる立場ではないでしょう、味山さんも。わかりました、貴方を信用します。今、俺が集めている報の共有も含めて連攜しましょう」
ツキすぎの味山が脳でブレイクダンスして勝利ポーズを決める。どうしたのだろうか、來るのだろうか、これから、勝ちまくりモテまくりの人生が。
「あ、ああ、そうだな。ありがとう。……じゃあ桜野くん、々聞きたいことがあるんだが、いいかな? あー、うん、そのニホンの、その、エージェントとして」
バカの言葉に、桜野が力強く頷いた。
「報を整理しましょう。エージェントA、いえ、味山さん。現狀、俺が集めた報によると、イズ王國のは夜、それぞれの集落によって決められた場所に集められています」
「集落……コガネザキ地區ってのは、つまり、そういうことか」
ぱっちいいんと、エージェントAになり切っている味山が指を鳴らす。
「はい。元々のイズ半島の地名をそのままにアサマにより洗脳された國民たちの自治による集落が形されています」
「マジかよ、えっと、洗脳ってのは……」
「これです。このお面。アサマには人間をる力があるようです。そして、現狀、名前を呼ぶと呪われる力はより強さを増しています。嫌な悪循環ですよ、奴は人を呪いることで己の名前を唱えさせる、そしてさらにその呪いは強くなり、洗脳の度合いも増していく……よく出來た仕組みです」
「うへえ、賢い化けか。面倒だな」
「そして、まだ確認は出來ていませんが、アサマは集落のに何かの役割を求めている、そんな気がします」
「役割?」
「はい。あくまで俺の所にすぎませんが……アサマの洗脳は特にに強く作用しているようです」
「どうしてそう思う?」
「……現在、指定探索者・熊野ミサキはアサマによる洗脳をけ、自分のことをアサマの信奉者だと信じ込んでいます。同じ指定探索者で、による
「味山さんもご存知ですよね? サキモリからこのイズ王國への潛が功した人員は、2名だけ。元々宮庁での神の家系である俺と熊野ミサキ先輩だけです。他の人員はみんな異界の限定作用によって弾かれました。西表教授の仮説は正しかったわけです」
「お、おお。うむ、仮説ね、仮説。西表……教授のね、あの仮説、ね」
イリオモテ教授って誰だ。だが今、もう味山はエージェントAなので聞き直すことも出來ない。頑張って知ったかぶりを続ける。
「はい、神種の持つ世界を侵す力、西表教授はこれを"異界化"と名づけました。そして、一部のはこの異界に適合するものがあります、俺のソメイヨシノと熊野先輩のヤタガラスは、アサマの異界に適合し、異界を中和、侵に功しました」
「異界……ほーん」
ふと、思い出す。
異界、異界、異界。どこかで聞いたことのあるようなワードだ。それも最近。
味山が頭を捻るも微妙に思い出せない。
「で、この集落でが集められてる場所は?」
まあいいやと早々に頭を使うのを諦めた味山が知りたいことをストレートに
「ホテルの最上階エリアです、そして、これがその部屋の鍵です。ある筋から手にれてたんですけど、その恥ずかしい話、これを手にれるときにひと悶著あって、今俺はここの班長に警戒されています」
「警戒? おいおい、じゃあ俺とあんたがこうして話してるのよくない奴じゃん」
「ああ、そこは大丈夫です、今、班長はいないし、それに素人の集まりですから、會話の監視や盜聴まで恐れる必要はないかと」
「そういうもんか? で、この鍵はあるのに、まだその怪しい場所は調査出來てないってじか」
「力不足で申し訳ないですす、その、正直、一緒にここに潛した熊野先輩が完全にアサマの洗脳をけている狀況で安易な行がとれず、正直ジリ貧でして」
「いや、でもだいぶ助かった。とりあえず夜の間にいなくなるの場所が分かっただけでも進歩だ。さて、桜野君、その鍵、もらえたりする?」
善は急げ、もう割と考察パートがめんどくさくなってきた味山が早速行を始める。
そんな味山をみて、桜野のきはぴたりと止まって。
「あ、はは。さすがヤチヨの鋭、その、味山さんは、怖くないんですか?」
「うん?」
「神種、アサマの力は本です。見たでしょう? 同じお面を被ったイズ王國の住民。彼らは本気で自分たちをアサマ様の子と信じ、自らをニホンから追放されたイズ王國の民だと心から。人としての権利も、自由も喜んで放棄してるんですよ……」
「あ〜やっぱそんなじか。すげー嫌な奴じゃん」
ーーアサマ様の次に玲のことが。
ーーアサマ様のお嫁さんに。
白川親子からじた違和、いや、気持ち悪さはそういうことか。
親と娘、互いに互いの存在を尊重し合うその関係の中にはしかし、"アサマ様"とやらが不自然に割り込まされていた。
「悪魔です……つまり、あの景は、このイズ王國は、人間の上に、神種が存在していることになる……もう怪種がどうのとかいう次元じゃない。人類は、決して地球の支配者なんかじゃなかったんですよ……」
「んー? 桜野くん、それそんなに悲観することか?」
「……え?」
「そもそも人間なんて脆くて弱いもんだぜ。神種じゃなくてもよー、アレだ、洗脳もどきなんざ今時、口の上手いオカルト宗教とかでも似たような事できる、それに怪の前じゃ人間なんてそもそも餌に過ぎねえ。ハードルを下げていこうや、ハードルをよー」
味山がヘラヘラしながら桜野に語りかける。この男は初めから人間や人類に大して何も期待していない。
だから、失も絶もしない。それが當たり前だからだ。
「……貴方は、恐ろしい人ですね。……正直俺は、アサマが怖くてたまらない。このイズ王國の景はいずれ、ニホンでも同じことが起きるかもしれないと思うと……あんなに強かった熊野先輩だって、アサマに、簡単に……」
お面で隠れていない口元、桜野のが震える。
「大丈夫だ、桜野くん」
「味山さん……?」
「そのアサマってよー、首を斬ったり、バラバラにしたり、燃やしたりしても死なねえのかな?」
「……え? いや、流石にそんなことになれば死ぬ、とは思いますけど」
「じゃあ大丈夫、ヨシ! まあ、後はアサマがジャパニーズホラー的な存在じゃなければなおヨシ!」
「はは……なんでしょうね。あなた、変な人だ。言ってるきと全部ふわふわして意味わかんないのに、……全部本気で言ってる事だけはわかる。ヤチヨのメンバーはみんな、あなたみたいなんですか?」
「あ、うん、そうそう。ヤチヨのね、こう、ね。……大丈夫、安心しろ、桜野くん。こう見えて俺は化けが起こすトンデモ事件に巻き込まれるの得意中の得意。脳みそと臓と耳の戦爭に巻き込まれた事もあるんだぜ」
「……あ、はい。……ダンジョン酔いのせいでヤチヨにはおかしい人間しかいないってのはほんとだったんだ……」
「え、なんか言った?」
「あ、いえ、別に。……味山さん、それじゃこれを。貴方を信じます。俺はこの西棟の鍵を、味山さんには東棟の鍵を」
「二手に別れるのか?」
「はい。俺は警戒されてますから。二手に別れれば班長の監視や注意は俺の方に集中されるはずです。そうすれば味山さんの調査はその分やりやすくなるでしょう? 最上階の中央棟の左右にはそれぞれ西棟、東棟、二つの建から続く渡り廊下があります。それはその鍵です」
「中央棟からそのまま登るのは……」
「難しいですね。警備の人間がいます」
「警備。まあ、そこまでするんなら間違いなく、そこに隠したい何か、人を近づけたくない何かがあるっつー事だな」
「はい。……もしかしたら熊野先輩の洗脳を解く鍵もそこにあるかもしれません。俺は西棟から、味山さんは東棟から。それぞれ潛しましょう」
「いーね、俺こういう頭の良さそうな作戦好きだぜ。適材適所って奴だな。よし、じゃあ桜野くん、善は急げだ。行こうか」
「はい、味山さん。……その、最後に一つだけ聞かせて頂いても?」
「うん?」
「もし、あなたが探ろうとしているアサマの正が、かわいそうな存在だとしたらあなたはどうしますか?」
「可哀想……?」
「はい。……変な話だと思いますけど、もしこんな事をした存在、アサマにも何か理由があって、こんな事をーー」
「理由……?」
「……同するに等しい理由があって、こんな事をしていたとしたら、本當はもっと違うやり方で人と接したかったとしたら、もしも、もしもーー」
「知らねえ」
「え?」
「桜野くん。化けの都合まで考える余裕が俺にはない。アサマってのが凄え可哀想な奴だとする。で、それって俺に何か関係あるのか?」
「……あなたは、アサマをどうしたいんですか?」
「……ん? いや、別にどうも。俺はこのお面を外して、アサマの呪いを解く……あ、いや、違う違う、うん、ヤチヨのメンバーとしてだね、アサマの正を摑むのが俺の仕事だよ、うん。ーーそこにアサマの背景も事も、どうでもいい」
「そう、ですか」
「よし、じゃあ行くわ、桜野くん、気をつけてな」
「ええ、あなたも。味山只人さん」
◇◇◇◇
「さて、ここまでは余裕っと」
思った以上に、目的の場所までたどり著くのは簡単だった。桜野と別れた後、すぐにしれっとホテルにり、非常階段を上る。そしてここはもう東棟から中央棟へつながる渡り廊下。豪華な扉は固く締められている。
「さて、この鍵か。頼むぜ、桜野くん」
かちゃり、鍵がきちんと差し込まれる。がちゃん、鍵が開く。
「よし」
なるべく音を立てないように味山が扉を開く。潛功。
「おお、すげえ。オシャレ空間」
中央棟のメインホールだ。豪華なシャンデリア、イズの岬を見渡せるラウンジスペースには高そうな黒革のソファに、卵型のハンモックチェアまで備えられている。
そして、グランドピアノが置かれたメインホールの中央にはかなイズの地下水を誇るかのような噴水まで。白い大理石のけ皿にイルカの彫像がいくつも向かい合いながら水を吐き続けている。
「よおし、味山只人冒険隊、神の地、イズ王國の境に今っ――」
後はヒントや桜野が言っていたイズ王國のが夜に集められている場所を探すだけ。味山が一歩踏み出して。
「あ、そういや、桜野君と合流した方がいいのか? しまった、ノリできすぎたか? うーんでも、噓のボロが出たら困るしなあ」
その時だった。
ラウンジスペース、バーカウンターみたいな場所を通り過ぎようとした時――。
「「え」」
聲、2つ。
ソファに寢転がっていた連中がいた。
「あっ」
がっつり、人がいた。しかもフジ山お面、がたいも良い2人組。その男たちは制服、のようなものを著ている、妙に見覚えがあるような
「「「……………」」」
固まる3人のフジ山お面たち。
ソファに寢転がっていた男たちがゆっくりと起き上がり、そしてまたゆっくりと腰に手をばす。
黒いホルスターから引き抜かれたのは――。
「マジかよ」
黒い、筒。両手でがっちり構えられたそれは、現代のニホン人において知らないものはいないが、実際にどういうものかはよく知らない、でも、それが確実に危険なものということだけは知っている不思議な道。
――拳銃。
青い制服、警視庁というマークのついた制服姿の男が2人。味山に向けて拳銃を構えていた。
反的に味山が手を挙げる。
「ーーお前、労働者だな。なぜこの時間帯にこんな場所にいる?」
「あは、は。いや、その道に迷いまして……」
やばい、聞いていない、なんだ、イズ王國にはまさか洗脳された警までいるのか。ああ、でも考えればそりゃいてもおかしくないか。
逆に落ち著いてきた味山が、噓にもならない噓をついて。
「……宮崎さん」
「ああ」
警のフジ山お面がアイコンタクト。
1人が味山の背後に回って。
がつん!!
「うげっ!?」
衝撃、痛み、首の後ろ。
拳銃で、思い切り毆られて、そのまま足を取られ地面に押さえつけられる。
「おい、舐めた口を聞くなよ。俺たちは警吏、だ。お前達のような働き蟻、変えの効く労働者なんかじゃあない。アサマ様に選ばれた存在だ」
冷たい聲と、冷たいが頭に。
「これが何かわかるな? 銃だ。今、お前の脳天に突きつけているはわかるな? 銃口だ。しでも妙なきをしてみろ、自分の脳みそがどうなるか、想像くらいは出來るよな?」
ぐり、ぐり。頭皮をえぐるようなきで遠慮なく警が味山の頭に銃口を押しつける。
どうやら、もうここでは法も機能してないらしい。
「これからこっちの質問に答えろ、労働者。お前、今、鍵を開けたよな? どこで手にれた? 言え」
「ぎゃっ!? ……いってえ……なんだよ、一言喋る度に人の頭ブン毆る文化でもあーー」
ダン。
破裂音、同時に熱、熱、痛。
「ーーッ、ギャァアアアアアアア!? あ、し……っ!!? な、ん、で」
撃たれた、ノータイムで。
右足の太ももに焼けるような衝撃。
「宮崎さん、そのまま抑えておいて下さい。……労働者、余計な口を叩かないで下さい、質問するのはこちら。あなたに許されているのは、こちらの質問に答えることのみです」
「ぐ、く、そ……いでええ、が……」
「足の太い管に當たりましたね。このままだとあなたは失死します。わかりますね、死にたくなければ答えてください。ここは、施錠されていた筈。鍵はどこで、いや、誰から手にれたんですか?」
「おい、痛いよな? 分かるぜ、今までの奴もみんな痛そうだった。その痛みはな、そのうちや腹まで昇ってくる、もう地獄だぜ。俺達はお前を痛めつけたいわけじゃない。答えろ、鍵はどこで手にれた?」
「ああああ……拾っ、たーー」
どぱん!!
次は左足の太ももに衝撃。の郭の外側まで痛い。
「ギャァアアアアアアア!?? また撃ったああああああ」
ヤバいこいつら、ヤバい。
味山がようやく焦りだす。もしかしたら自分の認識はしあまかったのかも。
「時間の浪費はやめましょう、お互いに。あなたの下らない噓に付き合うほど警吏は暇じゃあないんです。ここは、アサマ様の聖域。あのお方の大事な儀式の場に近い。そんなところの管理の為の鍵が落ちているわけないでしょう」
「お前、そもそもアサマ様の聖域に近づいて何が目的だ? つーか労働者はそもそも、ここに近づけない筈だ。……お前、何者だ?」
どくどくどく。が流れ続ける、腳がもうすでに両方とも使いにならない。
味山がここにきて、意識を変える。このイズ王國、想像以上に闇が深い。
甘かった。考えと認識が。
がきん。
の中でトランスミッションがれ替わるような音がした。ぷちゅううう、水風船が膨らんで、つぷっと靜かに弾けるような覚も。
ダンジョンがもたらす呪い、あるいは祝福はすでに地上にも。
探索者はいつも、それに酔うのだ。
「……する、わ」
「なんですか? 早く言って下さい。正直に答えれば治療します」
「早く言え、死ぬぞ、お前」
見え見えの噓。正直に言った所でこの2人に治療なんかする気はないということはバカでも分かる。
甘かった、全てが甘かった。ここのところ、なんやかんや割と上手く大団円迎えてたりして認識が甘くなっていた。
「反省、するわ。自分の、間抜けさ、によ」
「は?」
「どこかで、舐めてた……よ。イズ王國。素人の集まり、パンピーが化けに唆されて出來た集団だと思ってた……でも、お前達みたいなのも、いるん、だな、ああ、認識を変える、よ」
「……」
かちり。靜かに撃鉄の音が。2つの銃口が、味山のと頭をじっと見つめている。
「最後の警告です。鍵の手先を。言う気がないのなら殺します」
「お前みたいなの、イズ王國の建國時に10人くらい殺した。どいつもこいつも間抜けだったぜ。だが、知ってるか? 腹撃ったり、顎撃ったりするとよ、すぐには死ねねえんだ。皆、泣きびながら死んでいったよ。親の名前やガキの名前を呼びながらなあ」
酷薄な聲。
他人を傷つける快楽を知っている人間の聲。
警が、にやああと笑って。
「なあ、お前は誰の名前を呼びながら死ぬんだ?」
「……せえ」
「あ?」
「靜かに」
味山のつぶやきに警が反応して。
「続けなさい、労働者。鍵の場所はーー」
「口が、臭え」
「「……」」
沈黙。
「あ、それともう一つ、おまわりさん」
――笑え。
「そのダサいお面、よく似合って――」
どぱん。ばん!!
ばん。
ばた。
2発の銃聲、同時に。そのすぐあともう1発。
味山の軽口は言い終わる前に銃聲に遮られた。カーペットに赤黒いがしみ込んでいく。もう、何も言うことはない。
「……宮崎さん、撃つのが早すぎます。これでは肝心な鍵の出どころがわかりません」
「ん〜火薬の匂いが心地いい。おいおい、崎川、アンタも撃っただろ。よっぽどコイツの軽口に頭來てたのか? ドタマに2発もぶち込んでからに。あーあ、頭蓋骨も砕けてる、即死だな、こりゃ」
「あなたの弾丸も心臓を撃ち抜いています。……死の処理を労働者に任せましょう。ちょうど見せしめにもなります。この男には協力者がいます。夜の時間帯にこの中央棟に何かを探りに來ていたのは確実です」
後頭部に2発、の真ん中に1発。
おおよそ人の急所を撃ち抜かれて銃殺された男の骸。薄いメガネの警が彼の頭を靴の先でつつきながら呟く。
「ちっ、不潔ですね。宮崎さん、何か拭くものありませんか? 薄汚い労働者のがつきました」
「あー、そこの掃除用れに雑巾ねえか?」
2人の警が、男の骸に背中を向けて別のことに意識を向ける。殺人への忌避間や揺は微塵もじられない。
ず、ちゅ。
だから、その小さな音。水音のような、粘著質の小さな、が蠢く音にも気づかなかった。
「ああ、ありました。全く、それにしてもアサマ様のお聲がいまいち浸しない労働者には困ったものですね」
忌々しそうに靴についたを拭く警が呟く。もう一人の警は酒瓶を取り出してラッパ飲みしながらうなずく。
もう彼らは今撃ち殺した男のことなど気にも留めていない。
適當に一休みした後に死の片づけを労働者に任せることしか頭にない。
「だな。わざわざ夜の時間にここを探りに來てたってことはアサマ様に疑いを持ってるパターンの奴だぜ。だが、妙だな、昨日だいぶ、龍宮窟で粛清されたろ? アサマ様に反旗を翻そうとしてた學生連中をよ」
ず、ずず、ぶち……
「ですね。かの巫殿を頼ったらしいですが、すでに彼はアサマ様の信奉者です。ふふ、最期は自分を助けようとしない巫殿を呪いながらリュウグウ様に食われたらしいですよ。見てみたかったですねえ、學生特有の萬能にまみれたガキが、絶し、他者に責任を転嫁しながら死ぬところ」
じゅち、ぶちゅ……
「あんたも趣味わりィなあ、崎川。だが、未だにアサマ様に逆らおうとする連中もいるのか。あのお方にいう通りこれから、ニホンのサキモリやらなんやらも増えてくるかもな」
「それを排除するのが警吏の役割ですよ。ですが、問題ないでしょう? サキモリ側も人員は乏しい。イズ王國以外にも指定探索者でしか対応できない案件も多く、また巫殿という大きな戦力もアサマ様のお力にひれ伏した。現狀、イズ王國は安泰です」
じゅじゅじゅ、ぶちゅ。
「イズ王國バンザイ、だな。良い世の中になった。クソつまんねえ警察人生より、この警吏って仕事はいい。偉そうに講釈垂れてくる上司も、クソ下らねえクレームしかつけてこねえ市民もいねえ。喰うにも困らない、もおこぼれとは言え選び放題、そして何より、銃が好きに撃てる。……さっきの奴みたいな間抜けまた來ねえかな?」
「くく、まあ世界が変わってより優秀なモノと下等なモノの區別がついたのはいいことです。優秀な存在には強い権利と、恩恵があってしかるべき。アサマ様と、何より我々を見出してくださったあの方には謝しないとね」
じゅる、みみ……
ゆ、らり。
「だな……、よし、そろそろ死を片付けさせるか。適當に労働者を呼んで――」
「ええ、ですね。まあ元の確認のため死骸を適當に探った後、集落の外にでも捨てましょうか。ん? どうしましたか? 宮崎さん」
「――お、い。あ……れ」
「えっ」
ぶん、ぶん、ちか、ちかちか。
ホテルの空調の音がいやに大きく聞こえた。フロアを照らす照明が何度か明滅し、暗闇とがいったりきたり。
2人の警吏は言葉の出し方をこの瞬間忘れた。
ない。
死が、ない。
「……は?」
「……え?」
彼らが撃ち殺した筈の死がないのだ。
頭蓋骨と脳みそと心臓を撃ち抜いた、抜きされた家畜のようにをこぼして斃れていたはずの死が、ない。ただ、カーペットをタプタプに濡らすだまりがそこにあるだけ。
「あ……」
ぼとり、とく、とく。
若い金髪の警察、宮崎と呼ばれた男が手に持っていた酒瓶を落とす。彼(・)の(・)方(・)が(・)先(・)に(・)気(・)付(・)い(・)た(・)ら(・)し(・)い(・)。(・)
だまりの向こう側、フロアの中央に置かれた噴水。イルカが水を噴いている噴水――。
「え、え、え……し、たいは?」
丁寧口調の警察、崎谷がようやく脳がんでいた容を言葉に出來た。
死、死、死が、ない。殺した筈の人間が、いなく、なって――。
「さ、きたに、あれ……」
宮崎の指、崎谷がその先端からそっと視線を、その指先が差す方へ、ゆっくりと、顔ごとかし、て。
ばちゃばちゃばちゃ。
「あー、うぜえ、で髪のキッシキシだ。ボデイソープで頭洗った時みてえになってんじゃん」
ばちゃばちゃばちゃ。
男がいた。噴水の所に。水を吐くイルカ像、その口から噴出される水で、頭を洗っている。
「あ、ようやくマシになってきた、くそ、10円ハゲになったらどうするんだよ。あ! つむじ増えてる!? あ、いや、もともと2つあったか、そういや」
男がいた。ばしゃり。髪を洗い終え。雑に髪のをかき上げ、呑気な聲でぼやきながら噴水から離れる。
「「…………あ?」」
警察たち、いや、アサマの配下、警吏たちはようやく理解した。
その男は、さっき、さっき、さっき――。
「うえ、げえ、げ、うわ、これ、さっき撃たれた奴か? ええ、脳みそから鼻を通ってきたじ? こわ~」
からん。
警吏たちが座っているテーブルに何か、小さなものが投げられる。
「あ……」
警吏の2人が全く同じタイミングでまた首をゆっくりゆっくりかし、テーブルを見つめる。
「あ……」
先端がへちゃげたどんぐりのような何か。専門的な教育をけ、そして警吏になった後、試し撃ちを何度かしていたから、それが何かすぐに分かった。
人に直撃した後の、9mm弾の弾頭。自分たちがさっき、不法侵してきた男のに撃ち込んだもので――。
これが、ここに、ある。脳天に撃ち込んだはずのそれが、テーブルの上に。
つまり、それは、つまり、つまり。
警吏たちの顔が真っ青に、脂のような汗が制服の襟首を汚して――。
「いやあ、銃ってすげえよなあ。恐ろしいぜ。何度撃たれても銃だけは無理だな、避けれる気がしねえ」
ぽん。
肩を叩く。
固まるフジ山お面の警吏。宮崎の肩を、だらけの労働者用作業著のフジ山お面の男がなれなれしく叩いて。
「「――」」
「あ、で話の続きね。そのダサいお面、2人ともよく似合ってるぜ。アサマ様に選んでもらったのか?」
撃ち殺した筈の男の聲。フジ山お面のわになっている口元だけが、にちゃあ、吊り上がって。
「――ぎゃははははは」
TIPS€ ”耳の” 頭蓋骨砕、脳損壊、心臓損壊、再生完了。壽命、7カ月使用――
探索者(酔っ払い)が、嗤った。
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書籍版の特典報公開されました!
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野郎同士がわちゃついてるのが好きな方には全國の特約店書店様、"「アレタ・アシュフィールドってよお、人には甘えるタイプっぽくねえかぁ」
凡人とヒロシマ組が飲み會してます。
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學生の頃から化けだったアレタとソフィの出會いのちょびっとにれています。
子會組がわちゃついてるのが好きな方はメロンブックス様の"アレタ・ウィスキー・シャワー"
子會の話です。アレタがやけにいじられます。
あとメロンブックス様は、盾の勇者のアニメで総作畫監督してた諏訪様がイラストレーターとして書いてくれたアレタのタペストリーが。
ゲーマーズ様はアレタのアクリルフィギュアが特典でご用意されてます。タペストリーやアクリルフィギュアに関してはニホンにもありそうだな。
今週25日、早いとこでは明日から書店に並ぶ凡人探索者の書籍版、見かけたら是非課金してくだされば助かります。
ありがとうございます。
【書籍化・コミカライズ】無自覚な天才少女は気付かない~あらゆる分野で努力しても家族が全く褒めてくれないので、家出して冒険者になりました~
各分野のエキスパートである両親と兄姉5人を持つリリアーヌ・アジェットは幼いころから家族から最高水準の教育を受け続け、15歳になった今ではあらゆる分野で天才と呼ばれている。 しかし家族が全員「この子はこんなに可愛い上に素晴らしい才能もあるのだから、自分くらいは心を鬼にして厳しいことを言わないとわがままに育ってしまうだろう」とそれぞれ思っていたせいで、一度も褒められた事がなかった。 ある日突然遠縁の少女、ニナが事情があって義妹となったのだが、いくら頑張っても自分を認めてくれなかった家族が全員ニナには惜しみなく褒め言葉をかける様子を見て絶望したリリアーヌは書置きを殘して姿を消した。 (ここまでが第8部分) 新天地で身分を偽り名を変えたリリアーヌだが、家族の言う「このくらいできて當然」という言葉を真に受けて成長したため信じられないくらいに自己評価が低い。「このくらいできて當然の最低レベルだと習いましたが……」と、無自覚に周りの心をボキボキに折っていく。 殘された家族は「自分を含めた家族全員が一度もリリアーヌを褒めたことがなかった」とやっと気づくのだが…… 【コミカライズ進行中】
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