《異世界に転生したのでとりあえずギルドで最高ランク目指します》不気味、そして本當の能力

腕を切り落とされた優男はすぐに後方へと下がり、キリから距離を取る。

しかしその先には回り込もうとしていたサナがいたため、別の方へ軌道を変えて全員から離れる。

二人とも多の傷は負っているが、致命傷になる様なものは見當たらない。

「三対一だ。諦めて投降しろ」

「......そうしましょう。腕を失ったのは余りにも大きい損失です」

やつは肩を押さえ諦めた表を浮かべる。

どうやら聞きれてくれたらしい。

「使う予定ではなかったのですが、仕方ありません。諦めましょう」

っと思った矢先に優男は嘆息と共に本當の思を告げる。

肩から手を退け、バルバ・ティンの切先を上に向けて正面で構える。

騎士の敬禮、剣禮だったか? それに見える。

何をする気だ?

「これ以上変なことをしようとするな!」

彼が何を狙っているのかは分からないが、黙って観ている気なんてない。

靜止を求めるが聞きれるとは思っていない。

だから止めに向かう。キリも同じ考えだったらしく、俺よりも先に優男へと向かっていた。

本當なら『麻痺』で止めたいのだが、なぜかこの男とモリアには効かない。

最初の騎士たちには効いたんだけどな......

ん? なんだ? 何か聴こえる。

「キリ! アズマ! 近づいたらダメっ!」

するとサナが相を変えて靜止を促してくる。

そんな彼の耳はペタリと畳まれている。

その瞬間先ほどまで薄っすらとしか聴こえていなかった音が徐々に大きく鳴り響き始める。

キィィィン

空気を引き裂く様な音。

その音が優男の方から聞こえる。それと同時にバルバ・ティンが小さくブレれている様に見える。

幻覚か?

そう考え、『魔眼』の力を強める。

するとバルバ・ティンに優男の小紫の霧が大きくまとわりついている。

今まで霧があんな濃霧の様に濃く、大きく集まっているのは見たことがない。人に漂っているのと同じかそれ以上の濃さだ。

持ちなどには薄っすらと漂っている様なじで、つい先ほどまでのやつの剣もそうだった。

それが急にあんな濃さになるのはおかしい。

何か、ヤバい ︎

「二人共伏せろ ︎」

警鐘が鳴る覚とはこんなじなのだろう。そしてもう一つの覚。

謎の音を鳴らし、異様なほど濃い霧をまとい出した剣に対する不気味さをじる。

そしてそれがあの魔・・・・からじた不気味さに似ている。

ボアアガロンのボスが使っていた、あの眼の魔にだ。

とっさに優男の剣に向けてゲートを開く。

「これがバルバ・ティンの本當の能力です」

そんな優男の聲が聞こえたような気がする。

振われるはずだった剣がゲートを潛り、その場から刃が消える。

そのし後に強い風と共に轟音が鳴る。

「んな......」

俺らから離れていればどこでも良いと思い、海の沖にゲートを繋げた。

ゲートを通じて現れた刃が振られただけで、まるでそこに大きい何かが倒れ込んだのかと思えるほどに海が割れた。

正確には切られたのだろうが、その深さと大きさは剣一本で切れる度合いを超えている。

多分俺やキリが同じことをしてもこうはいかない。その數分か數十分の一くらいしか切れない。

クジラで數えても三、四頭。深さではそれ以上だ。

百數十メートルも割る一撃を陸地で放とうとしたって、どういう神経しているんだ。

下手したらこの街は壊滅してもおかしくない。

事実海を切って出來た割れ目が元に戻ると、高波が起こった。

正真正銘の津波が港街に迫って來ている。

マジで何を考えている。俺らをやれれば後はどうでも良いのか?

「......面倒な能力ですね。次は外さない様にしませんと、被害が大きくなってしまいます」

ゲートからバルバ・ティンを引き抜く。

すると剣から僅かに煙が上がっている。

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