《【二章開始】騎士好き聖は今日も幸せ【書籍化・コミカライズ決定】》78.スイカに元気をもらった

「騎士好き聖」4/7(金)発売予定!

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それからの數日も順調に魔石へ聖の加護を付與していった。

小さいものから始めたため、だんだん大きな魔石に加護を付與しなければならなくなったので、一日に四つペースで行うということは厳しかったけど、なんとかすべての魔石に加護を付與することができそう。

けれど、滯在日數は殘り一日。つまり、明日の午前中には、私たちは國に帰るために出立しなければならない。

「――ついにあと一つですね……!」

「ああ、でもし休んでからにしよう」

加護の付與が済んだ魔石をレオさんが箱に詰めてくれる。

それを見て「ふぅー」と大きく息を吐いた私は、気合いをれて最後の一つを機に置いた。

殘っているのは、レオさんの拳くらいの大きさの魔石。これくらい大きなものに加護を付與するのは時間がかかるしし大変なのだけど、當然その分とても大きな効果も得られる。

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だから最後まで手を抜かずに頑張らないと……!!

「休憩しよう」と提案してくれたレオさんと目を合わせたところで、扉がノックされて二人でそちらに顔を向けた。

「シベルちゃん、順調っすか?」

「ヨティさん」

やってきたのは、ヨティさんとリックさんだった。

二人ともシャツの元のボタンをいくつか開けて、腕まくりをしている……!

「それにしてもこの國は暑いっすね! シベルちゃん、冷えた果をもらってきたから、一緒に食べよう!」

「まぁ……!」

ヨティさんとリックさんの手には楕円形で緑に黒い筋のった大きな瓜が乗っていた。

「スイカね!」

「そっすよ。切ってもらってくるんで、隣の部屋で待っててください」

「ありがとうございます、ヨティさん、リックさん!」

この國は、私たちの國よりもし気溫が高い。

だから確かに暑いのだけど、そのおかげか私たちの國ではあまり見ない果も充実している。

ここ數日、ヨティさんとリックさんが表通りのお店まで行って、そのような珍しい果を調達してきてくれるのが、私の楽しみとなっていた。

「んーっ! 甘くてとっても味しいわぁ!」

「そうだね」

皆でテーブルを囲い、エルガさんが切ってくれたスイカをいただいた。

食べやすいようにと、エルガさんはわざわざ私のために一口サイズに切り分けて、種を取り除いたものを用意してくれた。その真っ赤な実をフォークで刺して一つ口に含むと、しゃくしゃくと気持ちのいい音が鳴って口いっぱいに甘みと冷たい果が広がる。

「本當、味いな」

「お土産に何個か持って帰りましょうか」

「お。それはいいな」

レオさんとリックさんの會話に頷きながら、隣にいるレオさんにふと目を向ける。

レオさんたち男は、大きめにカットされたスイカの皮の部分を持って、直接赤い実にかじりついている。

王宮ではナイフとフォークを使って食事をするレオさんだから、そんな食べ方を見るのは貴重。でも今はプライベートな時間だし、いるのは私たちだけだから、なんだかトーリにいた頃を思い出す。

「……」

それにしても……。

大きく口を開けてスイカにかじりついているレオさんは、なんだかそれだけで男らしく見えてしまう……!

ヨティさんも、リックさんも、ミルコさんも……!!

味いな」と言いながら、口元についてしまったスイカの果を親指で拭ったレオさんを見て、私はごくりと唾を呑む。

なんだかとっってもっぽいんですけど……!?

「……ん? どうしたんだい、シベルちゃん。食べないのか?」

「はっ! いえ……、とっても味しいです!!」

「……うん?」

「レオさん、手が汚れてしまいましたね、お拭きします」

「ああ、ありがとう……」

エルガさんが用意してくれていた、濡れたタオルでレオさんの指を拭きながらちらりと視線を上げると、目が合ったレオさんが微笑んでくれる。

「……っ」

「……?」

至近距離でレオさんの口元に目がいって、こんなときに先日の口づけを思い出してしまった。

せっかくこんなに冷えたスイカを用意してくれたのに、私のは余計に熱くなっていった。

スイカに元気をもらったので(んな意味で)、あと一つ、頑張ることにする。

「シベルちゃん、最後のは今までで一番大きい。だから無理はしないでね」

「はい! ありがとうございます」

再びレオさんと隣の部屋に移して、気合いをれる。

レオさんの握り拳くらいある魔石を前に、私は意識を集中し、目を閉じての前で手を組み、祈る。

〝この地をお守りください〟〝皆が平和に、幸せに暮らせますように〟

魔石に加護が付與されたかの覚は、もうすっかりわかるようになったけど、やっぱりこの魔石は今までのよりも大きいから時間がかかりそう。それに、スイカで元気をもらったとはいえ、連日いくつもの魔石に加護を付與し続けているせいか、し疲労が溜まってきているのも、事実。

今もこの部屋にはレオさんがいてくれているけれど、邪魔をしないように靜かに見守ってくれているということが、目を閉じていてもわかる。

レオさん……。この一週間、毎日ずっと、私に付き添ってくれてありがとうございます。

レオさんは正妃であるメラニー様とはいい関係ではないのに、私が気にしているのを悟って、魔法の鏡を作ってもらうことに快く協力してくれた。

一つも嫌な顔をせずに、力になってくれた。

メラニー様のために始めたことだけど、今回のことで私はもっともっとレオさんのことが好きになった。

それに、人としてもとても尊敬する。レオさんはこの國の王となる人として相応しいと、改めて思う。

私もそんなレオさんの妻として、聖として、相応しい人になりたい――。

いつもお読みいただきまして、ありがとうございます!

★お知らせ★

「騎士好き聖」小説第1巻

2023年04月07日(金)発売予定です!!

カバーイラストが公開されました!

シベルとレオのお顔が見られますよ〜〜!\(^o^)/

更に【數量限定サイン本】のご予約も始まりました(*´ω`*)

詳しくは活報告をご覧くださいませ(*´˘`*)

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