このままではモリアも一緒に家に送ってしまう。

なくとも槍からモリアを引き離さなければならない。

そのためゲートを開くのを止めてモリア目がけて氷を走らせる。

ぶっ飛ばせるとサナも一緒に飛ばされかねない。

だから押し退かすように氷が向かっているというのにそれをけたモリアは槍を握ったまま抗う。

サナは両手で槍の刃を避けて逆の部分を摑み、背後で押されているモリアが引っ張る槍がこれ以上かないように抑えている。

すると優男が再びバルバ・ティンを構える。

「それは絶対に撃たせない！」

ゲートをやつの足元に開く。

溜めている時間があるならそこを突く。ヒーローでも大技を見逃す相手はいない。

「知っていれば怖くないですよ」

しかし足元に開いたゲートに落ちる前にその場から飛んで橫へと避ける優男。

見せ過ぎた。キリも僅かに反応出來ていたが、足場が急になくなるのになんで抵抗が出來るのか。

「離れて！」

右手で槍の刃を避けて逆の部分を摑み、をあまりかさずに左腕を振るう。

それが低姿勢のモリアのこめかみに吸い込まれるように迫る。

それを槍に重をかけるようにして避ける。

「んっ　︎」

その避け方は攻撃を避けつつ脇腹を貫いている槍を橫へとズラしを破ろうとする。

それをさせないために全力で槍がかないように抑えるサナ。そんな彼の口からが垂れ出る。

早くアイツを引き離さないとサナの怪我も悪化してしまう。

......腕以外を氷漬けにして、その腕を切り落とせば助けられるか？

「──の前にお前だ！」

ゲートを避けた優男は再度剣を構えようとしていた。

それを阻止するために今度は寶庫から風尚核の欠片を取り出して、一気に魔力を流す。

水や氷が無理なら風だ。

土煙をまとい、道中の倒れている騎士たちを巻き込んだ強風が優男を襲う。

「酷い事をしますね」

そんな仲間に対する思いやりの言葉を発した直後にやつはその剣を振るった。

軌道上にらないように即座にその範囲から離れたが、そのすぐあとには地面に巨大な亀裂がる。

強風によって巻き上げられた騎士。そんな彼らが一撃の軌道上にいたため、まるで紙切れの様にスッパリと切られた。

どの口が今のセリフを言った！

優男の所業に心の中でぶ。

しかしその一撃を放つ直前までバルバ・ティンに小紫の霧が徐々に濃くまとわり始め、それに比例して音が大きく高くなっていくことは分かった。

あれに注目して剣の軌道を見ていれば回避は出來る。

そしてやっぱりあの金髪と能力は似ているが溜めがある分威力がデカい。

「モリアは良い戦士でした。しかし相手が悪かったため能力が活かしきれなかった。それを言い訳にするものではありませんが、全く惜しい戦士を亡くしました」

「ごおぉざあんずぇ殺さんでぐぅおざあいください！」

サナの相手をしつつ優男の相手を務めるモリア。

そんな優男は再度バルバ・ティンを構える。

次の溜めを行わせる前に水を上から迫って來るように作し、そっちに気を取られているやつの足元にもう一度ゲートを開く。