《【最終章開始!】 ベイビーアサルト ~撃墜王の僕と、醫見習いの君と、空飛ぶ戦艦の醫務室。僕ら中學生16人が「救國の英雄 栄のラポルト16」と呼ばれるまで~》第107話 絆Ⅱ

「‥‥‥‥洗濯? は?」

固まった僕と麻妃をよそに。

「洗濯!? 洗濯だって!? ‥‥盲點だった!」

!!! 紅葉ヶ丘さんには通じてる‥‥!?

「そうよ!! ゼノス君は言っていたわ。『こちらの靜止衛星群(コンステレーション)から上手く隠れたと思えば、わざわざ位置を知らせる様なノイズを出す』って。わたし、あの時彼に々されすぎて、ぐじゃぐじゃにされて。『超記憶』で忘れるはずないのに、封印してしまってたの」

「逢初史。まさかあの艦の‥‥‥‥」

「‥‥‥‥謎のノイズって消したくても消せなかった紅葉ヶ丘さんのタスクでしょう? 敵も早くから気づいてて、ラポルトを探っていた。付屬中が把握してない事があの艦でおこっていた」

「‥‥そうだよ。原因不明だったんだ。それさえ解決できれば!」

「あの戦艦と験乗艦、このタイミングで始まった戦爭。すべてが仕組まれていたのね。でももう大丈夫。お洗濯を取りこめば」

「わかった」

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紅葉ヶ丘機はフローターで機を浮かして離する。

「逢初史! 借りは返したよ。そしてこの戦いも――」

「‥‥‥‥そんなにひどい事されたの?」

飛び立つ僚機の航跡を見ながら、依にふと訊いてしまう。――依は靜かに微笑む。

「ぎりぎり大丈夫よ。ふふ。あの時、暖斗くんが『右手』を差しべてくれたし、ゼノス君をやっつけてくれたでしょ? ‥‥‥‥わたしも、窟の中で彼を許すことができたから。もう、それでいいの」

言ってしまって後悔する。に回した手で、ぎゅってされた。‥‥‥‥引きずっているのは僕の方かもしれない。依が笑顔でいるのなら、それでいいんだ。

「『陣地』へ帰ろう。まだみんなあそこで頑張ってるから」

「うん」

あれから陣地の方向からは、何も音とかが聞こえて來ない。コーラ達が上手く立ち回ってるみたいだけど、心配だ。

「‥‥‥‥でも暖斗くん。わたしずっと思ってたんだけど?」

背中から聲が聞こえる。

「何?」

「『戦艦』って、ああいう形なの?」

「ん? ああ」

「わたしもっと、船っぽいじだと思ってたんだけど。お空を飛ぶとあんなじになるのかなあって。――――まあわたしが、そういうを知らないだけかもなんだけど」

「いや、そうだよ。僕だって最初見た時、『あれ?』って思ったもん。『これが戦艦?』って。最新鋭だとそうなのかなあ。よくわかんないや。あの付屬中(ふぞく)の3人が良しとしてるんなら問題ないんだろ、って自分で勝手に納得してた」

「そうよね! 良かった~。わたし、そういうミリタリー的な? そういう知識ないから。あの形が普通なのか特別なのか、ぜんぜん判別つかなかったもん」

「そうだよ。大丈夫。僕だって今だに不思議だから」

僕は、DMTをフローターでし浮かせて、ホバリングしながら陣地へと向かっている。また背中の依が笑った。

「ふふ~~。でも好きよ。あの形。‥‥‥‥赤ちゃんお風呂にれる時の、アヒルのおもちゃみたいだもん。丸くてかわいいわ。とっても」

「あ~。そだね。船っていうよりは風船みたいなフォルムだね」

*****

「紅葉ヶ丘澪。帰艦した!」

ラポルトのブリッジにいきなり響く、の聲。

「澪! また特殊デッキ使って。DMTデッキから著艦しなさいよ」

「そうだよ。特殊デッキは本來高級軍人、この艦橋の人間の人的損失を考えて、それらの出のためのスペースなんだから」

まほろ市民病院から戻ってきた紅葉ヶ丘機は、戦艦ラポルトの艦橋下に著艦していた。それを、渚と子ふたりで責めたてる。件の特殊デッキはラポルトの艦橋、その基部の部分にある。紅葉ヶ丘はそこから艦橋に上がって來たのだ。

「私が留守の間、異常は無かったみたいだね。‥‥‥‥じゃ!」

「どこ行くの? 澪!?」

「後方デッキ! 3F!」

空に浮かぶラポルトの上部後方。そこに彼は走り出す。

「逢初史が見つけたんだ。この艦のノイズの原因! あとはインカムで!」

「「えっ!!」」

ふたりは仰天する。

「逢初さんが!? そんな馬鹿な」

「3Fデッキで洗濯を天日干ししてたんだ。私達3人は知らなかった」

「そうよ。ランドリーで乾かせるもの。わざわざ天日なんて!」

史は天日派だそうだよ」

「‥‥‥‥驚いた。けど詮方ない。これだけ艦の滯在が長ければ、そんな事も起こるんだ。もはやみんなの家だからね。この艦は」

がしたり顔で頷いた。

「気がついたのは史の、超記憶と超計算で。あと直観だと思う。‥‥‥‥‥‥ぜえ。ぜえ。デッキが遠い」

「普段引きこもってるからよ」

あきれ顔の渚の橫で、艦長席に座る子は腕を組む。

「‥‥‥‥アイゾメ・レポート。敵兵ゼノス氏は、『あの戦艦は――』と確かに言及してた。そこはさすがに報將校だとは思ったけど‥‥‥‥『戦艦』‥‥『戦艦』だってさ‥‥渚學生‥‥‥‥ぷっくくくく」

莉(ひかり)。まだ抑えて。作戦中よ?」

「みんながみんな、コレを『戦艦』だって言ってる。ぷくく。あははは」

「しょうがないじゃない。就航時から『戦艦、ウルツサハリ・オッチギン』ってれまわってるんだもの。さんざんそう喧伝しておいて、人が悪いわ」

「人が悪いのは莉ちゃん定期。あ! ‥‥‥‥にぎゃあああ! 干し臺がガチ目に固定してあるううっ!!」

「アンタ何してんのよ?」

「最初からDMTで行けば良かったのに。破壊していいよ紅葉ヶ丘學生。ただし、この艦の球形を損なわない。それこそ『ノイズ』が出ない範囲でね?」

*****

「うわあ。勢揃いだ」

病院南部の陣地。各國のDMTが集まってきている。

「イオルギアとアングリアでしょ? ミロースイにトゥマーレ。あ、ツヌもいやがる。コンギラト東方10國と歐圏急進派、15國くらいいんぞ? コレ。紘國に対して、全軍同時侵攻。さっきまで小隊小出しだったのにな~」

コーラ機が遠で撮った畫像を全員で共有する。

「そうですね。ガンジス島の各地を制圧していた軍も、一部こちらに集結のようです。‥‥たぶん全軍足並みを揃えたいから、集結完了まで攻めてはこないかと」

解説するソーラに、桃山、浜コンビが拳を固める。

「わ、私達は退かないし」

「そうよ。私達がここにいることに意味があるんだから」

「うん。がんばろう!」

「意地っス」

初島、來宮も賛同した。

*****

「ぐぎぎ。取れない~~!」

ラポルト後部デッキに到著した紅葉ヶ丘だが、そこに設置された干し臺は戦闘機にも耐えられるように、厳重に固定されてあった。

現在ラポルトは、ガンジス島北の巖礁にを潛めている。周りは一面海。暖斗達がよく景を見ていたが、現在浮遊したラポルトの高度と合わせて、200mほどの高さがある。

「これゼッタイ工科の仕事だろ? あ~~! 全軍集結しだしてる。時間が無いのに!」

は決意をする。

「‥‥‥‥これで『命の借り』は全額返済だあ! 逢初史!」

紅葉ヶ丘澪は、デッキの手すりに立ち。

「とおぉ!」

そのまま絶海にを躍らせた。

小柄なが深い蒼の中に、スカートをなびかせて落ちていく。

「再び我が元へ來い! ハーデス!!」

耳を切るような風音の中、紅葉ヶ丘澪は絶していた。

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