《7 Start》

存在の為に

海馬白歩かいばしほ

23時11分

お風呂から出て髪を乾かした私は、寢室にるなり力ちからが抜けていくのを実しました

今日も々な事があり、的には疲弊しているようです

布団を敷き、橫になり、疲労回復に努めるべきですが

今日から日記を書くと決めていたので、まだ寢る事は許されません

小さなちゃぶ臺の上に、A4サイズのノートを広げ

いボールペンのキャップを開けて、今日の出來事を思い出します

今日も果は上げられませんでした

何がいけなかったのでしょう?

反省點を考えながら私はペンを走らせました

/5時頃ごろ

薄暗い道を私は原付バイクで走っていました

早朝と言う事もあり、空気は冷たく、エンジンをかけるのに5分程かかってしまいましたが、走り出したら元気そうに走ってくれていました

私が乗っているバイクは「チョビノリ」と言う名前で販売されていて、かなり安い値段で購する事ができました

「ノリスケ」と命名したこのバイクは

最高速度が40キロも出る優れです

法定速度の30キロさんじゅっきろを超えると駄目なので本領を発揮する機會はありませんが

それでも優れに変わりはありません/

「ふむ」

私はペンを置き、し考えました

誰に見せる訳でもないのに、バイクの説明は必要だったでしょうか?

で読み返すとしても、必要はないかもしれません

そもそも何故、今日から日記を書く事に決めたのでしょう…

思い出せません…

ちゃんとした理由があったはずなのに…

何故だか、その部分を見つけられない…

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ただ、忘れと言うモノは確かにあります

いずれは々な事を忘れてしまうかもしれません

読み返した時に、何がなんだか分からない可能もあるので、なるべく説明しながら書こうと決め

私は再びペンを握りました

/ノリスケに乗って隣町まで來た私は、ポスティングを行いました

ポスティングとはポストにチラシや手紙等を投函する行為の事です

ポストとは郵便れておける箱の事で、郵便局の人間が郵便を選別してから自宅のポストや様々な施設に郵便を送り屆ける為の便利な箱です

郵便局とは/

「………」

私はペンを置き、攜帯を開き「郵便局」で検索をかけました

一番上に表示された文字を見ながら、ノートに文字を書き寫して行きます

/郵便局 post officeとは、郵便サービスを提供する為の、その利用者向けの施設・組織のこと

「ふむ」

私は攜帯で「郵便サービス」と検索をかけました

一番上に表示された文字を見ながら、ノートに文字を書き寫して行きます

郵便サービスとは……/

10分後

説明するべき単語を一通り書き終えました

「………」

この調子で書いていると、朝になってしまいそうです

もっと省略して書かないといけないかもしれません

私は早めに終わらせる為に、気合いをれてペンを強く握りました

/土日にポスティングをするのが私の日課です

ノリスケと私にかかれば、ちょちょいのチョビノリです/

ビリッ

ペンに力がりすぎて紙が破けてしまいました

私は駄目になった紙をゴミ箱に捨て

再度同じ文を書き直す事にしました

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10分後

「ちょちょいのチョビノリっと…」

書き直しに時間と力を奪われてしまいました

今度は破らないように書かなければなりません

私は優しくペンを握りました

/投函しているチラシには、赤い十字架じゅうじかみたいなイラストが、斜めで描かれており、中央には「おいでよX教」と言う文字が書き込まれていて

隅っこにはメールアドレス、電話番號、QRコード等などもしっかりと記載されています

これでX教の信者が増える事間違いなしです/

/7時頃ごろ

ポスティングを終わらせてマンションに帰宅した私は朝食を済ませ、外出の準備を手早く終わらせてから

X教が管理しているマンションへと向かいました

そこは駅からし遠い、古いマンションで

辺りに人気ひとけはなく、とても靜かな場所です

私はマンションの402よんまるに號室に

X教の団員と合流しました

今日は私を含めて11人の人が來て居ました

毎朝8時には朝禮が開かれています

朝禮は基本自由參加で、時間のある人だけが參加します

朝禮の場では、ラミネートされた紙に書かれている、X教の教えを皆で読み上げてから、10分間の瞑想を行います

朝禮を終えた私達は次に配膳、清掃を行いました

配膳とは402よんまるに號室で作られた料理を、マンションの全室に運ぶ事です

402號室よんまるにごうしつ以外の部屋には、X教に全てを捧げたとされる

団員達が住んでおり、優しく接するようにと言われています

お部屋が汚れていた場合はすぐに清掃を行い、部屋を後にします

402號室よんまるにごうしつにはホワイトボードが置かれており、配膳、清掃が終わった部屋番號は、ホワイトボードに記しています

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全ての部屋が終わり次第、それぞれが布教活に向かいます

今日は二人一組で活する流れになったので

ペアを組んでから目的の場所へと向かいました/

「ふむ」

なんだか淡々とした文になっている気がします

もっと雰囲気を出した方が良いいいでしょうか?

私は小説家になりきりながら文を書き連ねました

/11時頃ごろ

一軒家が軒を連ねる、とある住宅街

天気は晴れ

日曜日と言う事もあってか

のんびりとした雰囲気が流れていました

の下で洗車を行う者

楽しそうに遊ぶ

散歩をする高齢者に

肩を寄せ合うカップル

寒いはだざむい季節にも関わらず

午前はかなり暖かい気溫となっていました

午後からは冷え込むとテレビの人が言っていたので私は羽織りはおりものを一著著てきていましたが、必要はなかったかもしれません

隣には17才の男の子が居て、夕方までは一緒に行していました

名前は淳三郎、中學を卒業してから、高校には進學せず

私達と共に生活をしている年です

共に生活して居ると言っても、同じ家で暮らしていると言うのではなく

同じ組織に屬していると言う意味合いです

家族でもない、8歳歳下とししたの男の子と、同じ屋の下で暮らしていた場合、それはそれでソレワソレデ問題になるかもしれません

世間はそう言った事に過剰で敏です

私は高校の教員をしているので、歳下とししたの子供と一緒に居ても簡単に理解を得られるとは思いますが、それでも、一緒に暮らすと言う狀況になれば話は別でしょう

関係を詮索された挙句、ニュースや新聞等などでも取り上げられるかもしれません

生まれた年の違いなど、本當に些細な事であるのに

それを気にしすぎるのは、いったいどう言った価値観なんでしょうか?

人間は人間であり、數字は數字でしかないのに

とは言っても、別に淳三郎と私は仲ではないので、どうでも良いいい話ではありますが/

「ふむ…」

私はペンを置きし考えます

思考を細かく書くと、いくら時間があっても足りない気がしてきました

時間も時間ですし、ペースを上げないといけません

私は音楽の教員からプレゼントして頂いた、電子メトロノームを床に置き、BPMを早めに設定しました

これで気持ち分は早くなるかもしれません

私は再びペンを走らせました

/私と淳三郎は住宅街にある/

ピッピッピッピッ

/コンクリートの一軒家に向かいました/

ピッピッピッピッ

/そこは車庫付きの立派な家で/

ピッピッピッピッ

/シャッターは錆もなく綺麗でした/

ピッピッピッピッ

/まだ建てられて五.六ごろく年と言った所かもしれません/

ピッピッピッピッ

/海がない地域なので/

ピッピッピッピッ

/もうし古い可能もありますが/

ピッピッピッピッ

/詳しくは分かりません/

ピッピッピッピッピッピッピッピッピッピッピッピッ

カチッ

うるさいだけなので止める事にしました

/私達が玄関に近づき、チャイムを押すと

インターホンからは明るく特徴的な男の聲が聞こえてきました

「どちら様ですか?」

私は相手に警戒心を與えないように丁寧に用件を伝えました

「朝早くからすみません、私共はX教と言う宗教団をやっております、本日はお仕事の依頼をしたくお尋ねしました」

それを聞いた男はしだけ強張った聲で返事をしました

「宗教団…X教えっくすきょうったら法人でしたっけ?」

私は丁寧に回答しました

「いえ、法人になるほど大きくはありません」

男は10秒ほど無言でしたが、とりあえず話を聞きたいからと私達を家の中にれてくれました

家の主あるじの名前は小鳥遊たかなし天音

27歳の男です

見た目は細く、長は170センチぐらいでした

の短パンに青のパーカーを羽織り、角張ったサングラスをかけていました

頭はトゲトゲになっていて、かなり特徴的でした

彼は畫配信サイトで宗教関連の畫や思想系畫を沢山投稿しており、登録者數は10萬人を超えていました

通された部屋は床や壁がコンクリートになっていて、冷たい空気が流れていました

部屋の中央にはガラス製のテーブルがあり、黒いソファーが一つと、パイプ椅子が一腳置かれていました

テーブルの橫には三腳に乗ったカメラがあり

來客者をしっかりと撮影しているのが確認出來ました

私と淳三郎がX教を布教する為に、畫制作をしてしいと伝えると、男は愉快そうなリアクションを取りながら、私達の宗教がどのようなモノなのか、目的はなんなのかと々質問をしてきました

1時間近く喋っていたと思います

話をしたはあまり良くはありませんでしたが、帰り際に「後日編集が終わり次第アップロードしますので、楽しみにしててください!」と口にしていました

どのような編集で投稿されるのでしょうか?再生數はびるのでしょうか?今気にしても仕方のない事なので、畫が投稿されるのを待ちます/

/12時頃ごろ

畫の撮影を終えた私達は、晝食を摂る為に公園に來ていました

公園は日曜日と言う事こともあり、小さな子供達や親子が楽しそうに遊んでいました

私達は公園に設置されていた、木製のベンチに腰掛け

カバンの中にれていた、サンドイッチを二人で分け合いました

私達は楽しそうにはしゃぐ子供達を見ながら無言でサンドイッチを食べていましたが、ふいに淳三郎が先程の配信者の話題を口にしていました

「なんかあの人、胡散臭かった」

私は淳三郎の言葉に自分なりの解釈で答えました

「そうですね、彼は人生に満足しているタイプの人間でしょうし、私達の言葉は響かないでしょう」

私の言葉に納得したように頷きながら、淳三郎は答えました

「それもそっか、カメラも高そうだったし」

淳三郎の言葉に私は頷き、答えました

「ただ、彼の宣伝力はかなり高いと思います、どの様に紹介するかは分かりませんが、きっと興味を持ってくれる人が居るでしょう」

私の言葉を聞いた淳三郎は、投げやりな言い方で

「だと良いいいね〜」と呟いていました/

私はペンを置きし休憩をする事にしました

思い出しながら今日の出來事を書いているだけなのに、力が削られているのを実します

臺所に向かい、明のグラスに水道水を注ぎ

一口ひとくちで飲み干してから、すぐに寢室へと戻ります

ちゃぶ臺の前に腰を下ろし、一息ついてから

ペンを握り、作業を再開しました

/14時頃ごろ

私達はとあるパチンコ店のり口に立っていました

ある筋から仕れた噂によると、ここは負のが渦巻く場所として有名らしく、人生に絶している者を見つけるには、最適な場所だと聞きました

パチンコ屋の看板には「セブンスワールド」と言う店みせの名前が書かれており

大きい恐竜の置が、看板を持ちながら口を大きく開けていました

看板を指差しながら「恐竜行きたい」とんでる年を母親らしき人が止めていたのが、印象的でした

賑やかな雰囲気の場所だったので、本當に負のが渦巻いているのかと、最初は疑問を抱きいだきましたが、店から出て來た客を観察していると、負のオーラを纏っているのがなんとなく察せられました

淳三郎と一緒に店の前で様子を伺っていると、一人の男が店から出てきました

男は下を向きながら、訳の分からない事を呟いていました

「ナニガ、ラッシュヒャクトツダヨ…トツニュウシテモアタラナケレバ、ソレワタンパツじゃないか、ジュッカイレンゾクタンパツトカ、マジありえねー」

私は意味が分かりませんでしたが、男に聲をかけました

「あの、今どんなお気持ちでしょうか?」

私の質問に男は怒りながら言いました

「ああん?なんだてめー」

私は男に聲をかけた理由を説明しました

「凄く落ち込んでるみたいだったので、聲をかけました、大丈夫ですか?」

すると男は更に怒った様子で言いました

「そんな事聞いて、どうすんだよ?喧嘩売ってんのか?」

私は男に敵ではないと伝える為に言いました

「いえ、貴方あなたのお役に立てればと思い、聲をかけさせて頂きました」

すると男は私の事を真剣な顔で見ながら質問してきました

「おめーがめてくれるってのか?だったら」

男が何かを提案しようとした所で、淳三郎が橫から口を挾んできました

「負けたのはあんたが悪いのに、何被害者面づらしてんだよ!てめーみたいなカスをめる訳ねーだろうが!」

何故だか分かりませんが淳三郎が急に喧嘩腰な態度になっていました

私は暴言を止めようとしましたが、し遅かったようで、男は顔を真っ赤にしながら大聲で喚き出しました

「あーはいはい、分かってたよ!全部分かってた!キンホリュウもお前らも思わせぶりなんだよ!この詐欺師共どもがよ!」

男は勢いよく淳三郎を毆り、淳三郎は地面に叩きつけられました

そして男は何を思ったのか私の手首を摑み上げ、何処かへと連れて行こうとしました

私は全力で抵抗しましたが、相手の力は強く、私の抵抗は無意味でした

私が諦めかけたその時

騒ぎを聞きつけたのか、パチンコ屋の店員がやって來てくれました

男はパチンコ屋の店員を見るなり、私の手首を離して走り去って行きました

パチンコ屋の店員は逃走した男を追いかけて行きました

私は地面に倒れている淳三郎を揺すりながら

「大丈夫ですか?淳三郎」

と聲をかけましたが

淳三郎は弱々しく

「大丈夫だ…問題ない…」と呟いて起き上がろうとしませんでした

全然大丈夫じゃなさそうな淳三郎を、私は見守る事しか出きませんでした

しばらくすると淳三郎は回復したのか、地面から起き上がっていました

店から出てくる客は怒ってる人、高揚した様子の人、疑いの眼差しを向けてくる人と、様々な人が居ましたが、なかなか建設的な話が出來ませんでした

私達は作戦を変え、今から店にろうとしてる人に聲をかける事にしました

店の前でしばらく待っていると、40代ぐらいのおじさんが店に向かって行くのが見えました

私はその人に聲をかけました

「あの、しお話よろしいですか?」

すると、おじさんは強張った表をしながら言いました

「な、なんだよ?」

「今どんなお気持ちですか?」

私が訪ねるとおじさんは、キリッとした表になりながら答えました

「悪を叩きに行く」

私は最初、意味が分かりませんでしたが、おじさんが手に持っていたハンマーを見て、理解しました

パチンコ屋には釘調整と言うものが存在すると、聞いた事があります

おじさんの口ぶりから察するに、経年劣化等で曲がってしまった釘を、元に戻す為に來たと言う事でしょう

おじさんはきっと釘調整の職人さんで、正式な手順で釘を直しに來たんだと思います

悪を叩きに行くと言うのは、悪い釘を良いいい釘に調整すると言う意味でしょう

私は「頑張ってください」と伝え、店の中にって行く、ハンマーを持ったおじさんを見送りました

おじさんを見送った直後に、パチンコ屋の店員から聲をかけられ「店に用事がないなら帰ってください」と言われてしまいました

18時頃ごろ

淳三郎と別れた私は、繁華街に來ていました

ここには有名な占い師が居ます

私は………./

…………

……

チュンチュンチュン

「は…」

気がつくと朝になっていました

どうやらちゃぶ臺を枕にして、寢てしまったようです

「あ…」

やってしまいました…

私はちゃぶ臺の上で、唾にまみれてしまったノートを見て落膽しました

あんなに頑張って書いたのに、何故このような事に…

私はノートを洗濯バサミで挾んでから、外に干しました

続きを書くのはまた今度にしましょう

今はとりあえず、學校に行く準備をしなければなりません

今日も頑張ってX教を広める為に勵みます

それが私の生きる意味なのですから

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