《ネメシス戦域の強襲巨兵【書籍六巻本日発売!】》罪悪なし!
カラヌスが宇宙に向かって飛び出す映像が全世界に中継されている。
超AI三柱は一切畫面には映っていない。
「ありえるのか…… こんな結末が……」
あまりのことに、膝をつくヘルメス。超AIフリギアの誕生は察知した。彼が仕組んだことだからだ。
とはいえカラヌスが倒されるなど、想定外にも程があった。
「何をどうすれば、あの不利をひっくり返せる? どんなカードをかき集めたら、あのカラヌスに勝てるというんだ」
ヘルメスが床に這いつくばって慟哭していた。
痛ましそうに視線をやるヴァーシャ。諭すように語りかける。
「アシアの騎士は手強く、強いのですよヘルメス様」
「しかしだ! 剣の実力は関係なかった!」
「そうともいえません。タカバヒョウエを思い出して下さい。カラヌスの右腕部を破壊した神業をみませんでしたか? 今のヘルメス様にあの領域に達することができますか?」
「できるわけないだろう……! そうだな。バルドも、タカバヒョウエも…… 生きている人間がせる奇跡。しかし、嗚呼」
Advertisement
ヘルメスの慟哭は止まらない。
「大損した……」
莫大な金額をカラヌスに賭けていたヘルメス。どのくらいの金額かヴァーシャが尋ねたところ、アルゴフォースがもう一つ作れる程度の額だったという。
さすがにこれには絶句したヴァーシャだった。
「これでは賭博神モチーフの超AIとして面目が立たない……!」
どうやらメンツの問題らしいと察したヴァーシャ。
「負けることがあるからこそ賭博です」
大勝ちしたヴァーシャは、そうとしか言えなかった。
バルドは褒めてやらねばならない。あの狀況下で良い仕事をした。
「……こうなったら……」
「早まらないでください。所詮賭け事です」
「違う! そうじゃない! ――賭博神の側面はいったん忘れて、蕓。音楽神として華々しくデビューするしかない……!」
その呟きを耳にした途端、ヴァーシャとアルベルトはそっとその場を離れた。かつて存在したという超AI音楽神《ミューズ》が聞いたら顔をしかめるところだろう。
「星アシアデビューは何処がいいか…… やはり今注目のI908要塞エリアしかないな。あの場所ならアシアも認める中立地帯だ」
端末にかけより、バンドメンバーに招集をかけるヘルメス。
「諸君。この作戦に失敗は許されない――」
のちにI908要塞エリアは、別の意味で張に包まれることになる。
◆ ◆ ◆ ◆ ◆
バルバロイ襲來によるI908襲撃事件から一ヶ月が経過した。
不可侵の中立地帯としてI908要塞エリアを承認するアルゴナウタイ、新生傭兵管理機構、トライレーム三組織による調印式が行われた。
立會人はアシア。アルゴナウタイ代表はヘルメスの遣いであるヴァーシャ。新生傭兵管理機構はサンス。トライレームは鷹羽兵衛が出席した。
すべての日程が終わり、ユースティティアクルーは甲板でバーベキューを楽しんでいる。
「一張羅なんて久しぶりに著たな。疲れた」
一仕事を終え、肩を叩く鷹羽兵衛。にゃん汰が気を遣い肩をもみ始める。
「おつかれさまにゃ」
「おお、ありがてえ」
「しかしよくヘルメスがあの條件を飲みましたね。I908防衛の際、全勢力が団結する、などと」
アキがタブレット狀の端末で調印容を確認している。
「ストーンズ上層部ではなくてヘルメスの獨斷だろうな。あいつを助けたのはヘスティアだからな。ちったぁ義理や恩もあるさ」
「あの時ヘルメスのが死んでいたら、アルゴナウタイと星エウロパとの戦爭でした」
ビジョンのアストライアが、過ぎ去った可能を憂慮する。彼にとって驚きはない。も含めて合理的な判斷だとさえ思う。
「そろそろストーンズがヘルメスに反旗を翻しそうにゃ」
「にゃん汰。うかつなことをいわないでください。すでにそういう傾向があることをトライレームでさえ察知しているんですから」
にゃん汰が冗談めかして言い、アキがやんわりとたしなめる。
「あいつは超AI自に恨みはないからね。目的のために邪魔なだけで。遊び場がしいだけの可能も高いし。――とはいっても、私を封印した黒幕が目の前にいるのになあ」
アシアは若干無念そうだ。ヘルメスに問いただしたい気持ちはある。
彼らは以前のリゾート地にいる。ヘルメスと接しないよう、この區畫から出ないようヘスティアに通達されていた。
「ヘルメスがコンサートか。アルティスで新設したドームでコンサートなんて。何がヘスティアに迷をかけたお詫びの寄進よ! 自分がコンサートしたかっただけじゃない!」
アシアが骨に不満を顔にだす。
アストライアも報を読み上げる。
「バンド名は【Akaketos(アカケトス)】ですね。彼らしいというか。優雅を意味するホメロス語ですね」
アシアはこのバンド名にも文句をいいたいらしい。
「アカケトスなんて! 悪びれない! とか罪悪なし! って意味だよ! まったく反省していない!」
そんな二人を橫目にコウはどうでもいいというじで聞いている。接する機會はなさそうだからだ。
「俺はようやくバーベキューに參加できるからいいんだが……」
コウが釈然としない様子だ。埋められていた砂浜に視線をやる。
「なんであのパンジャンドラムが『人を埋めるべからず』と書かれてモニュメント化されているんだ……」
「當然です。私達の反省が込められています」
ハデスの名は軽々しく口にしてはならない。アキは慎重に言葉を選ぶ。
「あの行為があのお方出現のトリガーになるなど誰が想像できますか」
「その通りにゃ……」
「コウは埋めないと私達、もう決めたから」
エメまでそんなことを言う。ハデス出現はそれほどの出來事だったのだろう。
「それならまだ優勝者モニュメントのほうが……」
「エンプティの正がばれちゃうよ!」
「それもそうか」
モニュメントのことは諦めることにしたコウだった。
「ところでコウ君。明日ヴァーシャと試合だって?」
兵衛がやんわりと助け船を出す。
「ええ。ヘスティアが息巻いてましたね。ルールは二つ。撃武無し、MCSは狙わない。それのみです。エメにもようやくモズ落としが見せてやれるかなと。できれば、ですけどね」
「コウの言っていた、五番機の必殺技!」
「楽しみだな」
兵衛が意味ありげに笑う。その意図にコウとエメが気付くことは無かった。
いつもお読みいただきありがとうございます! 誤字報告助かります!
ヘルメスはお金持ち。あくまでアルゴフォース分であってアルゴナウタイ分ではないので安心!
Akaketosはアケトスでもいいのかな。優雅、罪悪なし! とか
いよいよ次回はエキジビション・マッチです! 忘れていませんからね!
人間のだと処理能力が劣化するのか、がって計算ができないのか? ヘルメスは不道徳の神でもあるのでギリシャ、広いなぁ……! 続きを楽しみという方は↓にあるブクマ、評価で応援よろしくお願いします。
大変勵みになります! 気軽に想等もお待ちしております!
【書籍化】『ライフで受けてライフで毆る』これぞ私の必勝法
「Infinite Creation」 株式會社トライアングルが手掛ける、最新のVRMMOである。 無限の創造性という謡い文句に違わず、プレイヤーたちを待ち受けるのはもう一つの世界。 この自由度の高いオープンワールドで、主人公「桐谷深雪(PNユキ)」は、ある突飛な遊び方を思いついた。 『すべてライフで受けちゃえば、ゲーム上手くなくてもなんとかなるんじゃない?』 配信者デビューしたユキが、賑やかなコメント欄と共にマイペースにゲームを楽しんでいくほんわかストーリー。今ここに始まる。 何をどう間違ったのか。ただいま聖女として歩く災害爆進中!! 20220312 いつのまにか、いいねとやらが実裝されていたので開放してみました。 (2020/07/15 ジャンル別 日間/週間 一位 総合評価10000 本當にありがとうございます) (2020/08/03 総合評価20000 大感謝です) (2020/09/10 総合評価30000 感謝の極みっ) (2022/03/24 皆様のお陰で、書籍化が決まりました) (2022/03/29 総合40000屆きましたっ)
8 73【書籍化】斷頭臺に消えた伝説の悪女、二度目の人生ではガリ勉地味眼鏡になって平穏を望む【コミカライズ】
☆8/2書籍が発売されました。8/4コミカライズ連載開始。詳細は活動報告にて☆ 王妃レティシアは斷頭臺にて処刑された。 戀人に夢中の夫を振り向かせるために様々な悪事を働いて、結果として國民に最低の悪女だと謗られる存在になったから。 夫には疎まれて、國民には恨まれて、みんな私のことなんて大嫌いなのね。 ああ、なんて愚かなことをしたのかしら。お父様お母様、ごめんなさい。 しかし死んだと思ったはずが何故か時を遡り、二度目の人生が始まった。 「今度の人生では戀なんてしない。ガリ勉地味眼鏡になって平穏に生きていく!」 一度目の時は遊び呆けていた學園生活も今生では勉強に費やすことに。一學年上に元夫のアグスティン王太子がいるけどもう全く気にしない。 そんなある日のこと、レティシアはとある男子生徒との出會いを果たす。 彼の名はカミロ・セルバンテス。のちに竜騎士となる予定の學園のスーパースターだ。 前世では仲が良かったけれど、今度の人生では底辺女と人気者。當然関わりなんてあるはずがない。 それなのに色々あって彼に魔法を教わることになったのだが、練習の最中に眼鏡がずれて素顔を見られてしまう。 そして何故か始まる怒濤の溺愛!囲い込み! え?私の素顔を見て一度目の人生の記憶を取り戻した? 「ずっと好きだった」って……本気なの⁉︎
8 136異世界落ちたら古龍と邪龍の戦いに巻き込まれまして・・・
この物語は、勇者召喚に巻き込まれ そのあげく古龍と邪龍の戦っている真っ只中に落ちてしまった一人の異世界人の物語である おそらく主人公最強もの、そしてスーパースキル「ご都合主義」が 所々に発生するものと思われます
8 163幼女と遊ぼうとしたら異世界に飛ばされた件について
コンビニへ行く途中に幼女に異世界に行きたくないかと問われる。幼女を追いかけまわしてみれば気が付くと周りは森、スマホは圏外、そして目の前には化け物。 例の幼女を一回毆ると心に定めて早千年、森に籠って軍滅ぼしたり魔法も近接戦闘も極めたりしましたが一向に毆れそうにありません。 偶然拾ったエルフの女の子を育てることにしたので、とりあえず二人でスローライフを送ることにしました。 ※1~150話くらいまで多分改稿します。大筋は変えません。でも問題児達である「過去編」「シャル編」「名無し編」はまだ觸りません。觸ったら終わりなき改稿作業が始まるので。
8 73美女女神から授かったチートスキル〜魅了〜を駆使して現代社會でたくさんの嫁を娶りたい!
幼児に戻って美少女開拓!一妻制には大反対!--- 結婚式の主役の新郎。彼の名は佐藤篤樹(サトウ アツキ)。彼は結婚式の途中で何故かしら神界へと飛ばされてしまった。 飛ばされた理由は彼が愛に関して不満があったからだ、と愛を司る美女の女神が言う。彼の不満の正體、それは女神の全てを見通す神眼によって明らかになった。 それは現代の日本では1人の女性としか結婚できないことである、 彼は女神そうに指摘されて、納得する部分があった。 そんな指摘を受け、今度こそ欲望に忠実に突き進もうとする彼に女神は力をいくつか授けた。その一つに【魅了】がある。 その力を駆使して主人公がいろんな可愛いヒロインを社會の常識に囚われることなくひたすらに攻略していく。 そんなわがままな主人公のハーレム作成の物語。 この主人公の行為が現代日本を救うことになるとは……
8 160転生しているヒマはねぇ!
異世界で転生する予定になり、チキュウからマタイラという世界の転生界へと移動させられた『カワマタダイチ』。 ところが、控え室で待たされている間に、彼が転生するはずだった肉體に別の魂が入れられ、彼は転生先を失ってしまう。 この大問題を、誤魔化し、なおかつそうなった原因を探るべく、マタイラ転生界の最高責任者マーシャが彼に提示したのは、冥界に來た魂を転生させるこの転生界の転生役所で働くことだった。 ニホンでやる気を持てずに活力なく生きていたダイチは、好みの女性陣や気の合う友人に勵まされながら、少しずつ活力を取り戻し、それでも死んだままという矛盾に抗いながら、魂すり替え事件やマタイラの冥界と現界を取り巻く大問題と、わりと真面目に向き合っていく。
8 76