《シャングリラ・フロンティア〜クソゲーハンター、神ゲーに挑まんとす〜》12月20日:昏い旗揚げに輝ける首級を
https://twitter.com/bosh_jp060/status/1646180863443611648?s=46&t=-E_CdixR4slMoXCQ6YVT_A
超私の私事ではあるのですが、集合知を必要としているのでとりあえず適當にアンケ答えてもらえると非常に助かります
この前書きを書くためだけに更新しました対戦よろしくお願いします
厄介な相手だった。鎖鎌使いもそうだが奇抜だが練、ってのは非常にやりづらい。初見殺しにしたって剣から繰り出されるものと、鎖鎌から繰り出されるものでは後者の方が予測しづらい。
「全く……」
多段ヒットは範囲攻撃と並んで俺(サンラク)の苦手攻撃だ。人よりHPとVITが低い自覚があるので數ヒットで死にかねない。
「割と強敵だったよ、グッドゲーム」
「ほ、ほとんど大技使わせてくれなかったのによく言うぜ……」
倒れ伏したあかしゃの苦笑気味なぼやきを聞きながら、さてどうしたものかと考える。
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別に手加減したとかではない。単純に三発當てた上であかしゃが死ななかった、と言うだけだ。毒ではあるが破壊屬は持っていないのだから、首を斬ってもHPが殘っていれば生き殘られるわけだ。
恐るべきはR.I.P.と言うべきか、仮にもバフが乗った攻撃三発(初撃は首)を食らって持ち堪えるとは……コストにした防どんだけ高能だったんだ。
とはいえ流石にここから何をされても俺が先にトドメを刺せるのだが……それはそれとしてどうしたものか、と思案している。ゲヘヘ、まだ生きてたか死ねえ! とはちょっとな……配信中だし。
と、なると理想としては自刃していただくか降參かの二択だが……
「うーむ…………よし」
「………?」
インベントリアから取り出しますはなんの変哲もない回復薬。市販だがこのゲームの大半からすれば飲む、ダメージ部位にぶっかける、浴びるなどすれば力が確実に回復するアイテムだ。
「な、けのつもりか……? 刺せよ、トドメを……」
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「トドメ刺す瞬間に不意打ちとかされても面倒だからな、そういうの関係ない方法を思いついた」
きゅぽっ、とポーション瓶の栓を外し、ほんのしずつ傾け始める。
「R.I.P.ってさ、俺も使ってるからその能はよーーーく知ってるんだなこれが」
「何を……」
というものは、常に地面に対して平行な水面を作る。だが僅か1°でもズレてしまえば、表面張力だのなんだのはあるがそこには「流」が生じる。ましてそれが飲み口という出口のある瓶であるなら。
瓶の飲み口から一滴、ほんの一雫が今にも垂れようとしているタイミングで俺はその"事実"を伝えてやる。
「R.I.P.は回復系の効果をけた部分が溶けるし治らん」
「降參します勘弁してくださいっっっ!!」
おっと一雫れた。
「お゛あぁぁぁぁぁ危ねえぇぇぇぇぇぇ!!」
おお、神回避。恥も外聞も完全に捨てた全力のローリングで落ちた一滴の回復薬を避けた姿に、の別など瑣末な問題と言わんばかりの漢気を見た。いや々しいのか? どっちだ?
「殺す気か!」
「回復薬だぜ? 人命救助のために落ちた善意の一雫だよ」
「降り注ぐ悪意の豪雨とかの間違いだろ! くそーっ! 覚えてろーーーーっ!!」
地面に落ちていたチェーンソーを拾い上げ、逆に潔さまでじる捨て臺詞を吐いて去っていったあかしゃを見送りつつ、それはそれとして心の中ではため息をつく。
あの野郎、面倒なことをしてくれやがって………こちらの育上の脆弱である攻撃スキルの薄さを指摘した上に、百足式8-0.5の超過機構まで使わせやがってよ。
大量の目が俺を見ている以上、弱みは隠さないといけないしチェーンソーのスキルが砂礫飛ばしだけとは思えないので、早期決著はベストだったはず。とはいえ大技の一つをこの段階で使うことになるとはな……まぁいい、どうせ武種ハルバードの百足式8-0.5は超過機構の一発蕓しかなかったわけだしな。
「っし! 気を取り直して次!!」
「私の番よ!!」
「次俺!」
「待てよ番號は俺の方が早い!」
はっはっは、死にてえ奴らが順番爭いしてら。「千古不易」の稼働限界もあるし片っ端からぶちのめす! 悪いが死に方は俺が選ぶぜ。今日の日替わり死因はAセットが蜂の巣でBセットが三枚おろしだ。醤油は言ってくれたらこっちからお持ちしまぁす!!
……
…………
………………
オーダー日替わりAセットぉ!!
「蜂の巣ゥ!!」
次はオーダー日替わりBセットぉ!!
「三枚おろしィ!!」
おっ、"通(ツウ)"だねお客さん! オーダー裏メニュー!!
「閃魔導!!」
痛かろう、俺の閃魔導は助走をつけて加速してから放つ。彷徨う大疫青との戦いから進化した俺の突進は膝で撃つ!! しかもMPを使わない! なんでやろね。
鎧袖一、というほど楽な戦いでもなかったが、それでも勝ちは勝ち。三人分の裝備を寶船もといブリュバスに投げ込んだ俺は周囲を見渡す……うーん、ちょっと巻きで戦いすぎたか。挑戦者が込みしているがある。
俺のような避けビルドは圧倒的に見える勝利か、あっさりすぎる敗北が殆どだからいうほど楽勝ってわけでもないのだが……加速シャイニングウィザードはちょっと刺激が強すぎたか。
MP回復ポーションをやたら勿ぶってチロチロ舐めて見せつけてくるフィールド生要員は見なかったことにしつつ、周囲を見渡すが挑戦者が現れる様子はない。
「トークショーとか無理だぞ…………我こそは、ってネクストチャレンジャーはいないのかー!」
やばいやばいやばい。あんまり募集時間が長いと「千古不易」のリミットが來る! 流石にこれを散させたらエリュシオンにい針を千本は飲まされかねない。
その時だった。
「───ここにいるぞ」
聲。それも、警察ドキュメンタリーとかで個人報を隠されてるタイプの男かか分からないようなノイズのかかった聲音。
だが周りを囲むプレイヤー達の中からその姿を表す様子は無い。というか、聲的に上から……?
「………っ!」
「またえらく尖ったのが來たな」
聲の主はブリュバスの甲板にいた。さらに言えば、そいつはサイナのすぐ背後に立って……サイナの首筋に剣を突きつけていた。
だが気になったのはサイナに剣を突きつけていることよりも……その下手人の姿そのものだろう。
「加の擬人化か何かか?」
煙だ。全から吹き出しているかのように、真っ黒な煙がそいつの姿を非常に分かりづらくしている。姿を隠したいんだか曬したいんだか知らないが、俺に見えやすく甲板に立っているそいつの大まかな形狀は分かるのだが、その細部や顔まで見ようとすると途端に煙で何も分からなくなる。
なくとも真っ黒なマントに口元も黒布で隠してるのはなんとなく見えた、つまり漆黒コーデに漆黒モザイクをれた筋金りの黒スキーってわけだ。
「悪いがスタッフは指名不可だ」
「慌てないのだな………」
既に待機狀態だったインベントリアを作。サイナを一旦格納し、再展開。ブリュバスの甲板から俺の隣に現れたサイナを指差せば、煙マンは得心が言ったかのように虛空に突きつけた剣を下ろす。
「安全マージンは萬全、というわけか」
「だがお前は処刑だがなァーっ!!」
今のは俺じゃないぞ。サイナに剣を突きつけたのがよっぽど許せなかったのか、すごい殺意剝き出しで甲板までよじ登ってきた別のプレイヤーだ。ていうか人のもんにどいつもこいつも勝手に乗るな。整理券付きで金取るぞ。
だが、正義の心がサイナへの兇行に義憤でボンバーして下手人を仕留めんと振り下ろされた剣は、虛空に虛しく空振られる。ここからだと煙マンがいなくなってれ替わりに正義マンが甲板で素振りしているのしか見えない。だが、
「ぐがっっ」
次の瞬間、正義マンの左あたりから刃が飛び出たのは見えた。
「……キルスコアにもならない。本當に厄介なイベントだ」
「お前の顔、覚え………見えねえ………」
俺の耳には屆かなかったが、何やらモニョモニョ言いながらHPが盡きた正義マンが砕け散る。正義マンの欠片が消えれば、その背後にはナイフか何かを構えた煙マンの姿……
「やるな」
「…………」
煙マンは最初にサイナへと突きつけていた剣……挑戦剣を雑にブリュバスに積み上げられた諸々の山に放り投げると、甲板から地上へと飛び降りてくる。
「アンタの首を取れば……良い、宣伝になる」
「悪いが首を取ってもシステム上すぐ消えるぜ?」
煙マンは俺の言葉に対して、無言で一點を指差す。その人差し指の先には隕鉄鏡……る程、首(じじつ)があればそれで良い、と。
「サンラク……俺の名を覚えておくといい……」
───新たなる開拓者殺し(プレイヤーキラー)の誕生を。
改めて相対したからこそ、ようやく頭上のプレイヤーネームが読み取れた。なるほど、いい名前だ……頭のおかしさを保証されている。
「よろしくRiot(ライオット)、良い一戦にしよう」
「……………」
暗殺者ロールプレイガチ勢め、化けの皮の分厚さを測ってやるよ。シャケの皮よりは厚であれよな!
念りにレベルを上げ、ステータスを鍛え、裝備を揃え、ロールプレイも恥ずかしがらずにできるようになってよっしゃ今こそ恐怖のプレイヤーキラー伝説の開幕だぁ!!って第一歩を踏み出す直前に王國騒シナリオが始まったせいでプレイヤーキルしてもペナルティがつかなくなって盛大に第一歩で転けた人
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