《【最終章開始!】 ベイビーアサルト ~撃墜王の僕と、醫見習いの君と、空飛ぶ戦艦の醫務室。僕ら中學生16人が「救國の英雄 栄のラポルト16」と呼ばれるまで~》第112話 イポテス②

みんなで一斉撃、からの僕の「7機連結マジカルカレント」で敵に反撃しようとしていたら、そのマジカルカレントが発しなかった。

その瞬間を狙われて、全機撃ち抜かれてしまった。

「お~い。みんな生きてる~?」

し間延びしたコーラの聲だ。僕らは――いや、モニターとかやられて視界が狹いんだけど――たぶんみんな、直撃で大の字になってる。

「ぷっはぁ。生きてる。びっくりしたっス」

「お、驚いたし」

「ホントスゴイ音だった~」

「みなさん! 無事ですね。直撃に驚いたと思いますが隔壁縦席(ヒステリコス)は無事なハズです。鼓に異常は?」

「確か、こんなに急に倒れたらDMTって壊れるんだよね?」

この狀況でも仕切ろうとするソーラさん、と現狀確認する桃山さん。

そうなんだ。対英雄さん戦でそうだったけど、DMTは転べば自重とその運エネルギーで破損する。骨格(スケルトス)も歪むか折れる。この自重なんだから當たり前だよ。

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重力子回路での浮遊も間に合わない。そもそも立ち上がりが遅いのが重力子回路の特徴だ。頭部方向に特化して作して、DMTがコケるのを回避する安全裝置ももちろん付いてるけど、加撃されて打ち倒されたのならもう継戦は無理だ。

「無理だね。――ける可能があるのは暖斗くん‥‥‥‥だけど」

コーラの言う意味はすぐわかった。対英雄さん戦を知ってるのか。

「いや、マジカルカレント発しようとして、プロテシスパネルはって無かった。‥‥‥‥それに、そもそも発が‥‥‥‥」

「そっか。‥‥‥‥その肝心のマジカルカレントも発ミスったと?」

「うん。ごめん。出來なかった。‥‥‥‥今まで普通に出來てたのに」

僕はコーラに、みんなに謝らなきゃいけない。

「ま、しゃ~ないよね? 今まで『意識して集中するだけ』で発してたズル能力なんだから。たぶん出來なくなっても、逆に原因とかもわかんないんじゃない? 自分?」

意外だった。一番厳しく言ってくると思ったコーラが‥‥‥‥。

「そう、なんだ。さっき何で出來なかったのか? がさっぱりわからなくて。‥‥‥‥だけど、そもそも僕がなんでマジカルカレント発できてたのかもわからないんだ。‥‥ごめん」

「あ、謝らないで。暖斗くん」

「そうよ。気にしないで。マジカルカレントの発原理は解明されてないんだから。もしかして、わたしがココにいることで未知の事象が起こったかもだし」

浜さんも依も、フォローしてくれた。

「そうよ。気にしない!」 「次。切り替えっス」

「暖斗くんのその能力に、私達がどれだけ救われたか。できない時だってあるよ」

初島さん、來宮さんに桃山さん。みんなを命の危険に曬しちゃったのに。はは。

「はは~ん。案外、依先生にいいトコ見せようとして力んだんじゃないの? 邪念が多かったとか?」

「もう! コーラったら! ごめんなさい暖斗さん」

邪念、か。依が後ろにいたから気恥ずかしかったのは確かかな。どうなんだろ。

「で、私達、これからどうなるの?」

敵の砲撃は止んでいた。敵も、僕らが被弾して沈黙したのはわかってるんだ。初島さんの質問にはコーラが答えた。

「そだね。このまま敵が來て、捕虜になるかな。‥‥大丈夫。隔壁縦席(ヒステリコス)は電源供給切られた狀態で蹴り飛ばされるくらいしないと、中の人は死なないから」

コーラの安心させようとしてるのか、してないのか、よくわからないフォローの言葉と共に。

ズシン、ズシン‥‥と、地響きが近くなった。敵DMTが前進して來てるんだ。萬事窮す。

最後の最後、僕の失敗でこんな事になってしまった。突然の事でみんな、慌てるヒマも無かったんだ。

みんな無言だった。確かに全世界に中継されてるし、自分達が中學生だとも表明した。敵は僕らを捕虜にはするだろうけど、一応ちゃんとは扱ってくれるはずだ。

けど、やっぱりいざとなったら不安になってくる。もし暴に扱われてしまったら。最悪殺されたりとか。――頼みの紘國が、國と國の事とかで助けてくれない、とかもありえる。國が戦爭に敗けたら、もう僕らはずっと捕虜のまま、だとか。

悪い想像ばかりしてしまう。‥‥‥‥やっぱり駄目だ。僕はともかく、みんなは逃がさないと。

「パラクセノ・エリュトロン! 立ってくれ!」

名をぶ。ギリギリと変な音がして明らかに異常音なんだけど、何とかいてくれた。

「やっぱり駄目だよ。みんな逃げて!」

僕は縦桿を握りなおす。挙上していくコックピットの風景の中に、敵DMTの前列が見えた。――何とか僕だけでもいて、みんなが逃げる時間を作れないか?

依先生はどうすんだよ?」

コーラの聲がした。ハッとして、振り返った。

「大丈夫よ。暖斗くんが戦うならわたしも戦う」

に回された震える手に力がこもる。そうだった。依がこの縦席に乗ってしまっていた。

「いや、でも‥‥‥‥」

「大丈夫よ」

「ダメだよ。依はもう2回も捕まって、両方とも危ない目にあってるのに! このままこの機で戦ったら、依も捕虜になっちゃうよ」

あちこちで異音を出しながら、僕の機UO-001は立ち上がった。満創痍だ。

「暖斗くん」

「そうだ。乗り捨てればいいんだ。依もみんなも病院へ行けば‥‥‥‥そうだよ!」

「でも、迂闊に外に出るのは危険です!」

「暖斗くん‥‥! わたしはここにいる。わたしの事は気にせずに戦って!」

依」

そこへ。

「‥‥‥‥‥‥ザ‥‥ザザ‥‥‥‥あ、繋がったゼ☆。通信できるよ子さん。KRMも起~♪」

聞き覚えのある聲。麻妃だ!

「ぬっくん! いよいよラストシーンだ。ウチも間に合った~」

僕が覚悟を決めようとしてた時に、能天気な聲。落ちてたKRMも浮き出した。

でも、という事は?

空を覆う巨大な艦。響く重力子エンジン。

聞きなれた重低音を発するラポルトが、病院と陣地の合間に浮いていた。

「みんな、無理させて本當にごめんなさい。‥‥‥‥そして間に合ったわ」

凜とした子さんの聲が響いた。

「私と『お兄様』との」

「デートの待ち合わせ時間に」

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