《異世界に転生したのでとりあえずギルドで最高ランク目指します》狀態、そして傷

「私ならこっちです」

そんな俺の疑問に答えたのはメルマンさんだった。

しかしその聲は今いる部屋の隣。確か資料や取り扱いの難しい薬が置いてある倉庫だったか?

そこから聲が上がる。

さっきと同じ方法で扉を開けると、資料棚からいくつかの資料を持っているメルマンさんがこちら見る。

するとニーナたち同様俺を見て固まる。

「えっと……しだけ話は聞こえていましたが、本當に旦那様……なのですよね? 弟君ではなく」

「ああ、どういう訳か分からないが俺は東だ。桐崎 東。それでメルマンさん、リリーとキリの狀態は?」

話が早くて助かる。

彼も納得はしていないが狀況が狀況なためそれで理解してもらうしかない。

「どちらも芳しくありません。リリー様の方は意識が戻らず、呼吸もかなり淺い狀態です。キリ様の方は何故か傷が塞がりません」

「なっ ︎」

キリの方は優男が言っていた通り傷が癒えない。

それだけじゃなくリリーは意識が戻らないだけじゃなく呼吸が淺い......

失敗したのか? でも俺自に影響はない。

いくら神様のおで狀態異常系が効かないとはいえ、によるへの癥狀まで防ぐことは出來ない、よな?

「キリ様に治癒核を使用してみましたが、初めは傷が塞がっていくのですが、すぐに切り開かれてしまいます」

リリーのことを考えているとメルマンさんが続けてキリの狀態も教えてくれる。

塞いでも切り開かれる......?

「それはどういうことなんだ?」

彼の報を聞いてもいまいちピンと來ない。

「傷が癒え、塞がり始めても治った場所が再び何かで切られた様にパックリと傷が開いてしまうのです」

メルマンさんがさらに詳しい報を提示してくれる。

「えっと、それは......激しくいて傷が開いた、とは違うのか?」

「似てはいますが、別とも言えます。キリ様が何をするでもなく、勝手に傷口が開き始めます」

肯定のような否定のような曖昧な返答。

それに余計頭を悩ませる。

「......実際にお見せした方が良いのでしょうが、それをすればキリ様は再び激痛に襲われてしまいます。舌足らずで申し訳ございません」

「あ、いや、責めている訳じゃない。ないんだが......原因が何か分からないか?」

「私も思い當たる癥狀がないので、調べているのですが似た癥例すらなく......申し訳ございません」

再度謝るメルマンさん。

元々歳で顔にシワの多かった彼の顔が悔しさと申し訳なさでさらに歪む。

「んー......! そうだ。バルバ・ティンっていう剣の魔道に聴き憶えはないか?」

優男が言っていたことを思い出したので訊いてみる。

何かのヒントになれば良いのだが......

「バルバ・ティン............申し訳ございません。聞き及んだことはありません」

「そう、か......」

「不甲斐なく、本當に申し訳ございません!」

俺の反応を見て深々と頭を下げるメルマンさん。

そんな彼に慌てて頭を上げるように言う。

「いや、だから違うんです! 頭を上げてください!」

責めるつもりはない。しかし今の質問の時といい、恐らく完全に表を隠しきれていないから、それで勘違いを......

いや、勘違いではないか。

期待から落膽の表を浮かべられたら相手は申し訳なく思ってしまう。

そして事実思ってしまったから表に出てしまったのだ。

これを勘違いで、と言い切るには無理がある。

互いにどうしたら良いか分からず、沈黙が続く。

「......もしかしたら」

その沈黙を破ったのは、ニーナだった。

「もしかしたらですが、その魔道について知ることが出來るかもしれません」

部屋の外で話を聞いていた彼が、恐る恐る告げる。

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