《【書籍化】勇者パーティで荷持ちだった戦闘力ゼロの商人 = 俺。ついに追放されたので、地道に商人したいと思います。》01 無盡の

とりあえず、第9章1〜41話まで書き上げました。

アルバスがある法律の制定を目指す話の、前後編のうちの前編です。

前編の位置付けとはなりますが、容的にはしっかりと區切りがつきました。

またまた間が開きましたが、暇つぶしにでもぜひお付き合いいただければ幸いです。

そして、実はまだ々と容に付け中なのです(汗)

「では、始めてくださいアルバス様」

しんと靜まり返ったに、アマランシアの聲が響いた。

この場所は地下だが、周囲はエルフ達の照明點燈(ライミタス)によって外と変わらぬほどに明るく照らされていた。

「ああ、わかった」

アマランシアにそう答え、俺は二回ほど深く深呼吸をした。

周囲にはずらりと並んだ白い牙のエルフ達。

そしてすぐ近くではロロイとクラリスが心配そうに俺のことを見つめていた。

時刻は夕暮れ時。

場所はアース跡群の地下第二階層だ。

袋小路になったおあつらえ向きの大広間を探し出し、り口に見張りを立てている。

Advertisement

だから、この場所は絶対に人目に付かない。

俺達はここで、『無盡時空(オメガ・ラドム)』についての実験をしていた。

「倉庫取出(デロス)」

ゆっくりとそのスキル発の呪文を唱える。

それと同時に、前へと突き出した俺の腕の先がゆらゆらと揺らめき始めた。

そして……

白と黒のうねりが混じり合った灰の球『無盡時空(オメガ・ラドム)』がこの世界に顕現した。

エルフたちが小さくざわめき、クラリスがあんぐりと口を開けた。

「マジで……、アルバスの『倉庫』の中に、アーティファクトがってんのか……」

クラリスはアルミラとの戦闘の後半戦にはいなかった。

だから実際に俺の『倉庫』スキルからアーティファクトが取り出されるところを見るのは初めてだ。

話には聞いていても、実際に見るまでは到底信じられるようなことではないだろう。

ましてやクラリスは『無盡太(オメガ・サン)』や『無盡水源《オメガ・スイ》』と言ったアーティファクトの影を間近で見ていて、本當にそれがどうにもならない不可思議な存在であることを知っている。

だから、その驚きは尚更のことだろう。

「ここまでは、問題ないな」

倉庫から取り出すことができるのは當然だ。

ここまでならば、無盡時空(オメガ・ラドム)も安定した狀態であり、問題が起きないであろうことは予測の範疇だった。

無盡時空(オメガ・ラドム)は、の空に靜かに浮かんでいる。

「ロロイ……頼む」

アマランシアをはじめとしたエルフたちに目配せをしながら、俺はロロイに聲をかけた。

実験は、ここから予定していた第二段階に移る。

「わかったのです」

俺の指示をけて、ロロイが魔寶珠を『無盡時空(オメガ・ラドム)』に向かって掲げた。

そして、目を閉じた。

要領は無盡水源(オメガ・スイ)と同じだ。

……そのはずだ。

元が同じものである以上、同じ方法で制することが可能であると俺たちは考えていた。

無盡時空(オメガ・ラドム)から取り出した魔法力を、ロロイが自在にる。

それができれば、実験の第二段階は功だ。

「あっ……、ヤバいのです」

突然、ロロイが聲を上げた。

それと同時に、ロロイのが指先からハラハラと崩れ始めた。

崩れたロロイのの破片は、重力を無視してに舞い散って行く。

「なっ!」

ロロイのが、指先から凄まじい勢いで消滅していった。

ロロイの手の支えを失い、魔法珠がゴトンと土の上に落ちた。

ロロイの腕はそのまま一気に二の腕の辺りまで崩れ去っていった。

「ロロイっ‼」

俺は反的に手をばし、無盡時空(オメガ・ラドム)を倉庫に収納しようとした。

だが、そんな俺の手を、ロロイが殘った方の手で制す。

「待ってアルバス。落ち著いて……。先に魔寶珠を頂戴……」

異様なほどに落ち著いているロロイにより、俺もし落ち著きを取り戻した。

すぐに魔寶珠を拾い上げ、ロロイの殘った方の腕に握らせた。

「アルバスに代わり、ロロイが命じる」

呼吸を整えながらロロイがゆっくりと言葉を紡いだ。

そのはすでに右肩までが消滅している。

「我々に……従え」

その瞬間、無盡時空(オメガ・ラドム)がブルブルと震え始めた。

それとほぼ同時に、空中に散って行ったロロイの腕が空中からのの粒で再形され始めた。

そして、まるで時間が逆行するようにハラハラと元通りになっていく。

ゆっくりと……

消えていった時の倍くらいの時間をかけて、消えていたロロイの腕は元通りになった。

「アルバス……後はお願いなのです」

「ああ。……倉庫収納(イロンパ)」

俺の言葉とともに、無盡時空(オメガ・ラドム)は俺の倉庫へと戻って行った。

「ふぅ……」

それと同時に、ロロイが俺の方へと倒れ込んできて、慌ててその小柄なを抱きとめた。

「大丈夫……な訳ないな」

「あ……危うく死にかけたのです。こんなの初めてなのです。今のは、かなりやばかったのですよ……」

へたり込んだロロイの肩が、小刻みに震えていた。

    人が読んでいる<【書籍化】勇者パーティで荷物持ちだった戦闘力ゼロの商人 = 俺。ついに追放されたので、地道に商人したいと思います。>
      クローズメッセージ
      あなたも好きかも
      以下のインストール済みアプリから「楽しむ小説」にアクセスできます
      サインアップのための5800コイン、毎日580コイン。
      最もホットな小説を時間内に更新してください! プッシュして読むために購読してください! 大規模な図書館からの正確な推薦!
      2 次にタップします【ホーム画面に追加】
      1クリックしてください