ネタバレ改題したらPVびましたね（笑）

ありがとうございます。

「でも莉ったら、出航までの一週間、『このプランでいいのか？　本當に瑕疵は無いのか？』って檄悩みだったんですよ～」

ラポルトのメンバーはみんな、通話アプリ「アノ・テリア」でふたり、騎士団長の錦ヶ浦さんと子さんの會話を聞いてる。そのふたりに加えて、渚さんの聲が聞こえてきた。

「『ふれあい験乗艦』なんで當然、出航式典も取材はあるし、験乗艦終えてみなと市に帰って來ても記者會見とかです。だから莉、『メガネ子やめてコンタクトデビューするんだ』って意気込んでたんですよ。――そしたら、気象庁からの竹取山の噴火兆候。各國のきな臭いき」

「おお。葵(ひなた)ちゃんか。お久しぶり。ああ、あんときゃ騎士団も騒然となったよ～『すわ侵攻か！？』ってね」

「あの時あの時點で、『私の計畫』が実行実現可能な場所にいたのは、世界でただひとり。私だけ、『ふれあい験乗艦』艦長定者の私だけ、だったから」

「莉ちゃんは『持ってる人』だからねえ。たぶん副參謀長(お父上)より持ってる」

「そうです。でもねえ。いくら參謀本部に父親絡みのコネがあるからって、作戦立案(デザイン)して提案(プレゼン)して、企畫通しちゃう中學生が世界の何処にいるのよ？」

「たしかそれが一年前か」

「そこから　みなと海軍広報部に參謀本部直屬の出向組織が立ち上がって、「運営」って(てい)でラポルト――いえ、ウルツサハリ・オッチギンのクルー選びが始まったわ。私の『計畫(プラン)』を現化するための。中學生が験乗船する『新造戦艦』。それがまさか、まさかまさか。紘國最新鋭の隠蔽(コンシール)能力を隠し持つ人類史上初の『潛空艦』で、新戦を駆使するゲームチェンジャー兵だったなんて、一誰が予想しますか？」

「だよねえ。莉ちゃんそういうトコ、マジでエグイから‥‥」

「『まさか！？　そんな重要大切な超機に、素人中學生だけを乗せるなんて！？！？』って考えますよね。常識では‥‥。その常識人の常識を完全に逆手に取って。はあ。まあ私も莉の計畫にまんまと巻き込まれたんですが」

「そうそう。その新戦での戦果は？　上手くいったのかい？」

「ええ。もう実行した私達が絶句してるわ。今特でデータ送ります。各國の後段組織の80％以上を壊滅、無力化しています」

「うわ。‥‥‥‥うっわ。‥‥引くくらいエグいね。これはオレら騎士団(イポテス)立場無えわ」

「そんなお兄様。でも、これは本當に、噴火と侵攻が起こるタイミングと、これを用意してくれた運営。そして素晴らしいラポルトの仲間達。みんな、みんなの戦果です」

「すべてが揃わないと、こうはいかんねえ」

「ああそうそう。話戻しますね。錦ヶ浦さん。それで出航前、言い出しっぺと実行役の重圧にテンパった莉は、眼科の予約すっぽかしてコンタクトデビューの機會損失(チャンスロス)をしたという‥‥‥‥」

「ちょッ！？　葵！　その話はしない約束――――お、お兄様？　莉はそんな相は‥‥‥‥」

「はっはっは。だっから『カワイイ』じゃないか葵ちゃん。‥‥‥‥でも‥‥ホントにそれで？　もっと他の事でも悩んでたんじゃないのかな～～。莉ちゃんは？」

「お兄様！　‥‥それは！」

「あッ！　ゴメン！　軽率だったぜ」

＊＊＊＊＊

アングリア王國、後方基地。

「どうしたんだ。我が軍のDMTの點がみるみる消えていくじゃないか？　一どうなっておる！？」

モニターを覗く上の男が唾を飛ばす。レーダー上で次々と、味方を表す點が消えていく。それを苦々しく見ていると、部下が答えた。

「これがヤツら紘國の！　皇帝警護騎士団(イポテス)の『モップ掛け』です。あの集団攻撃に対処法は‥‥！。戦力が『面』で削られます」

「何とか腹背をつけんのか」

「寧ろ我々の選択肢がそれ一択になるのが問題です。複數の隊がお互いを釣り役、掃役、警護役、とれ替えながら高度連攜しますから」

「まだ砲撃という手段があるだろう」

「可能ではありますが‥‥‥‥敵の艦艇用オプション砲臺『カタフニア』が健在です。先ほども撃つそぶりを見せてから消えました。先刻の砲撃でバリアを剝がされた我々は、砲にエネルギーを割けません」

別のオペレーターがんだ。

「我が軍のDMT部隊、壊滅しました！　全機です」

「なんだとう！」

上のほほに冷たい汗が流れる。

「予備選力を‥‥投すべきか？」

「DMTのパイロットは？」

「はい！　縦席は無事の信號が」

「それは映像で見ておる。なんだこれは。わざわざ縦席への加撃を避けながら戦っているではないか。貴様らの世代だとこういう手合いは『舐めプ』とか言うのだろう？」

「今回は戦闘行為が衛星で世界配信されています。それ故の人道的なポージングかと」

「くっ‥‥‥‥！　縦席を回収するには投降するしかないのか？　‥‥いや、本部は撤退する。パイロット達は、紘國ならば殺しはすまい。後で國同士で話をつければよい」

「いえ。司令‥‥‥‥」

先ほどのオペレーターが、苦し気に上申した。

「先刻の攻撃、あの空から現れた戦艦により、この本部も後段組織も機能喪失しております」

「なに？」

「‥‥‥‥撤退しようにも、戦艦が手ひどく被弾しており無力化、輸送艦など呼べる狀況では‥‥‥‥」

ここに於いて、男は己が置かれた狀況を理解した。

「あの皇帝警護騎士団(バケモノ)共の相手をさせられ、DMTを全機失い、この島から‥‥逃げる事すら葉わん‥‥‥‥だと？」

司令、と呼ばれた男はここで歯を食いしばる。

「そうだった。アギオスマレーノスとも音信が途絶えた。‥‥‥‥どうして‥‥何時から‥‥」

「いや！　我々はい込まれていた！？　最初から‥‥？」

拙著の第1部分「登場人紹介　子莉」からの伏線回収でした。

‥‥マジで1年以上、73萬文字かかるとは思わなかった(;´∀｀)