《【二章開始】騎士好き聖は今日も幸せ【書籍化・コミカライズ決定】》83.ありがとう

「騎士好き聖」4/7(金)発売しました!詳しくは活報告へ(*´˘`*)

の魔法の鏡の片方を、リックさんがマルクス様に屆けてくれることになった。

この國からトーリへ馬を走らせるのと、馬車で王都に帰るのは、ほぼ同じ時間を要する。

リックさんと別れた私たちは無事帰國した。

私とレオさんは、すぐにもう片方の鏡を持って、メラニー様の私室を訪れることにした。

「――ご無沙汰しております。メラニー様。お加減いかがですか?」

「……」

最初は面會を斷られた。けれど、私からメラニー様にお渡ししたいものがあると侍に伝えてもらうと、室を許可された。

メラニー様はベッドの上でを起こすかたちで休まれていた。

私とレオさんが一定の距離を保ってメラニー様に聲をかけるも、返事はない。

やはり元気とは言えないご様子だし、こちらを見ないその橫顔も以前より痩せて見える。

「あの、簡潔にお伝えしますね。本日はこちらをお持ちしました」

「……」

私だけがそっとベッドに近づき、魔法の鏡を差し出す。

「マルクス様のことを想ってみてください」

「……」

〝マルクス様〟という名前に、メラニー様はやっと反応して私に視線を向けた。

そして細い腕で鏡をけ取り、じっとそれを見つめていたメラニー様の表が、突然変わった。

『母上……?』

「マルクス……!?」

鏡から、マルクス様の聲が聞こえた。橫から私にも一瞬見えたけど、鏡にはマルクス様の顔が映し出されていた。

『母上! ああ……お元気でしたか?』

「貴方こそ……元気でやっているの?」

『僕は……元気ですよ。騎士たちに混ざって毎日トレーニングも頑張っています。どうですか? しはたくましく見えるでしょう?』

「ええ……そうね。そうだわ……」

メラニー様の瞳に涙が滲んでいるように見える。でも、顔は先ほどよりも確実にいい。

『ですから、母上もしっかり食べてくださいね? 僕は立派になって、必ずそちらに帰りますから』

「ええ……ええ、そうね。貴方がしっかりやっているのだから、私もしっかりしないとね」

リックさんがなにかを伝えてくれたのか、マルクス様はとてもしっかりしているようにじる。

本當に頑張っていたらいいなと思う。

そのまま數分話された後、メラニー様はそっと鏡をに抱き、靜かに私の名前を呼んだ。

「シベル」

「はい」

「貴、この鏡を手にれるためにわざわざ隣國に行っていたの?」

「はい……」

余計なことだったかしら……。

勝手なことをしたと、メラニー様の機嫌を損なう可能を考えなかったわけではない。

けれど。

「私のためにありがとう」

「……いいえ、メラニー様」

メラニー様は、私の目を見て、小さく微笑んでくれた。

久しぶりに、正面からメラニー様のお顔を見た。

頰が痩け、金の髪にもいつものような艶がない。

けれどマルクス様と同じ碧眼は、今にも涙がこぼれそうに潤み、まっすぐ私を見てくれている。

メラニー様のその表に、の奧がきつく締めつけられるようだった。

「本當にありがとう、シベル……それから、レオも」

「……」

今度は私の後ろに立っていたレオさんに視線を向けたメラニー様に、私もしだけ首を捻ってレオさんを見る。

レオさんははっとして、し驚いたように目を開いた後、口元に小さく笑みを浮べて軽く禮をした。

次回、マルクス視點です!

★騎士好き聖★小説第1巻

2023年04月07日(金)に発売いたしました!!

【honto様 數量限定サイン本】

売り切れました…!!( ;ᵕ;)ご予約ありがとうございます!

【書泉様限定アクリルコースター&イラストペーパー特典(SS付き)】

こちらはまだまだご予約付中です!

詳しくは活報告をご覧くださいませ(*´˘`*)

シベルとレオのお顔が見られますよ〜〜!\(^o^)/

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