《【最終章開始!】 ベイビーアサルト ~撃墜王の僕と、醫見習いの君と、空飛ぶ戦艦の醫務室。僕ら中學生16人が「救國の英雄 栄のラポルト16」と呼ばれるまで~》第114話 「にじ」Ⅱ①

「その話、いいんじゃないかな」

インカムから聞こえたのは、紅葉ヶ丘さん。さっきずっと黙ってたのは、コミュ障の彼は騎士団の人達のノリが苦手だから、らしい。

「そうだね。騎士団の猛攻で戦意喪失する機と意固地に戦う機が二分化しつつある。‥‥‥‥このままではいずれ戦死者が出るね」

さんの乙モードも終了して、いつもの學級委員長モードに戻っていた。

そうだよな。子さん、運営。加勢してくれた錦ヶ浦さん達。島や病院の方々。

あともうしで戦死者が出てしまうかもしれない。ここまでがんばったのに。

(((‥‥‥‥あなたがやるのです。暖斗さん)))

「え? 誰?」

誰かにささやかれた気がした。気のせいか。

(((‥‥‥‥‥‥人の心のを守るのです。あなたの心のが、世界を変えます)))

なんだろう。誰かに勵まされた気がする。背中の依と目があった。そうだ。

依が。こんなの子が泣かなくていい世界を。――そんな事を願っていたはずだ。

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(((そうです。さあもう一度立ち上がるのです。‥‥方法は‥‥‥‥あります)))

「それなら、僕もちょっとやりたい事があって」

実は試したいことがあったんだ。この陣地にいるの子達の話を聞きながら、漠然と脳裏に浮かんできていたこと。

これだったら、僕らがんだ結果が得られるんじゃないのかなあ。

僕は頭の中にあるアイデアをみんなに打ち明ける。「いいね」、「よし、やろう!」と賛同してくれた。

「それならラポルトの中央CPと暖斗機をリンクしよう。この日のタメにこの辺一帯は微に地形データを取ってある」

紅葉ヶ丘さんもかなりやる気になって、乗ってくれた。

「アタシら一個もミスできないんだけど?」

「大丈夫。集団Aと集団Bの地形座標を習合すればいいんだ。それをラポルトのCPでけ持つ。岸尾さん?」

「ほい!」

「私はこれに専念するから、DMTのエネルギー接続と流管理してもらっていい?」

「ほいきた!」

麻妃のKRMが、陣地の上でくるりと弧を描く。

「う~~しやったるか。ぬっくん。ウチがサポートしちゃるゼ☆」

僕らパイロットも、壊れかけたモニターで互いの顔を見合わせる。頷きあう。

相手を殺すため、‥‥‥‥‥‥じゃあない!

僕ら中學生が、世界に放つメッセージの一撃だ!!

「來宮さん」 「ソーラさん」

小破した機で、隣同士、互いに手をつなぎ合う。

並び順は右から、コーラ、桃山、浜、僕、初島、來宮、ソーラさん、だ。

「ありがとうコーラさん」 「いやあ。お禮を言うのはコッチ。桃山さん」

被弾して擱座した機はもうほぼけない。けど、最後の力を振り絞る。

関節を軋ませ、腕をばして、お互いが手を取り合う。

「パイセン‥‥いや、羽。フェンシングってくれてありがとう」 「ううん。験乗艦ってくれてありがとう。おかげで吹っ切れたよ。櫻」

もともと仲良しでも、改めて思う事ってあるよね。

「いちこ、護ってくれてありがとう」 「‥‥‥‥うたこ。お、おせっかいうたこ。もう私に気使わなくていいから。わ、私もう大丈夫だから」 「え?」

そして、様々な出會い。共に戦った仲間。

「実は暖斗くんとは絡みないんだよね。私。戦闘の時さりげなくフォローしてくれてありがとう。あと醫務室行きたかった」 「あはは。初島さんにはライドヒさんの時とか助けてもらったよね。ありがとう」

「‥‥‥‥あ、あの」

「何? 一華ちゃん。一華ちゃんにはを張って代わりになってくれたり、戦闘でも活躍してくれて。助かったよ」

「い、いえ。‥‥‥‥私、暖斗くん憶えてないかもだけど、研修の時に一緒の班になって‥‥‥‥そ、その時に、暖斗くんいい人だって思ってました!」

「え?」 「浜さん?」

「い、いえ。いいんです。返事もいりません。ただ‥‥‥‥私の気持ち知ってしくて。‥‥‥‥そ、そこに逢初さんがいるのもいい機會です。私、自分の気持ちにちゃんとしたくて‥‥‥‥」

固まる僕と依。「突然ごめんなさい」と呟く浜さんに、桃山さんが優しく囁く。

「‥‥‥‥よっしいちこ。よく頑張った。アンタの中のや! あ~~。縦席邪魔! ハグできないのがもどかしい~~~!!」

みんな、くすくす笑った。

最後に、僕が浜機と初島機とつながって、7機全部と接続する。カタフニアを再び降ろして、僕の機と接続した。

「暖斗くん。わたしは安心してる。今度はきっと、うまくいくから」

依の聲を聞いて、心がじんわりする。‥‥‥‥こんな、何ていうか、あったかい気持ちでマジカルカレント発した事‥‥‥‥あったかな?

「そ~らからしとしと~♪ お~にわがぬれて~♪」

依は、あのラポルトの後部デッキで歌った、「にじ」って謡を、僕の背中で口ずさみだした。‥‥‥‥でもわかるよ。歌の歌詞のように。

空からしとしと お庭がぬれて♪

風のいたずら ブランコ鳴いた

お空を映した 水たまり

うつった雲さん おうちへ帰れば

空いっぱいの おおきなにじ

みんな自然に えがおになるよ

空いっぱいの きれいなにじ

あしたはもっと 晴れるといいね♪

そうさ。

隔壁縦席(ヒステリコス)の空間に、綺麗な聲の余韻を殘して。

依が歌い終わった。

「空いっぱいの きれいなにじ

あしたはもっと 晴れるといいね」

本當にそうなればいい。そのために、僕らは虹を描くんだ。

虹を。

人々が爭い続ける大地の、その上に広がる、青い空に。

※作中歌の「にじ」ですが、自ら作詞したものに差し替えさせていただきました。

第1章 第47話 「にじ」Ⅰ も、差し替えております。

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